枕。

「ねぇ、はやくきて、いつものしてあげるから」

君はあの日言った言葉を今も憶えているのだろうか

僕はハッキリ憶えているが

初めて一緒に夜明けのコーヒーを飲んだ朝

「わたし、あなたの腕枕で寝るの憧れてたんだぁ」

「ふーん、そうだったんだ」

「ねえ、あなたには何かある?憧れてるもの?」

「えーと、膝枕かなぁ」

「え~、何それ、ジジくさ~い」

という会話をしたことを

いつの間にかウトウトしてしまったらしく

「はい、耳かき終わったよ。どいて」

「えーと、もう少しだけこのままで」

「なにそれ、しょうがないわねぇ」

「そこは私の特等席なんですからね」と言いたげな

愛猫の視線を受けながら

僕は君の温もりをもう少し感じていたかった



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