作品は初心者のうちから発表するべき
どうしても最初のうちは「もっと上手くなってから発表しよう」と誰もが思います。しかし、今このAI到来の時代だからこそ、初心者からいきなり発表するほうが良いのです。
発展途上の作品の稚拙さは「作風」となる
私は中学の時に作曲を始めてからもう随分と経ちますが、当然ながら初期に作った曲はあまり出来はよくありません。
私の場合、曲終わり方が上手く作れないということがよくありました。それでもどうにかこうにか完成までやり切りました。(未完成も数多くあります…)
完成させて数年程度は自分の中でも黒歴史的な作品になったりするのですが、それがさらに10年、20年と時間が経つと見方が変わってきます。
昔は稚拙だと思っていた自分の作品が、実はその時代の私を表現した、その瞬間にしか作れなかった作品だということがわかるのです。つまり、稚拙であることに大きな意味が発生するのです。
長く活動を続けていればたいてい上手くなり、手グセなどがついてきます。そうなると、もう音楽を始めた頃の感覚の音楽は作ろうと思っても作れないのです。
作り続けていると、その作品の連なりがストーリーとなります。自分が時代ごとにどんな曲を聴いていたか、誰の影響を受けたか、どんな機材を使っていたか、何を考えていたか、誰と作っていたかなど。
それは、もうあなたの作品にしかないものなのです。
作品発表の際に気をつけること
しっかり名乗る
自分の名前(ペンネームでOK)をちゃんと動画の中や、コメントに書きます。
そして、その名前はよほどのことがない限り変えないでください。変えると作品のストーリーがリセットされます。
しっかり曲名をつける
制作はじめの頃はコンセプトとか考えずに作ってはそのままなんとなく完成ということも多いと思います。なにより私がそうでした。
それで「M1」とかコードネームのようなイイカゲンなファイル名をそのまま曲名にしてしまうことも多かったです。あとから気づくのですが、これは良くなかったです。まず自分自身がこの曲名を見ても曲を思い出せない。
後付けでいいので、作った曲にストーリーや目的を付けてください。じっくり考えてみると、これが意外と無意識に曲に込めている世界観やメッセージがあったりします。それを曲名に落とし込みます。
堂々と発表する
言い訳がましく「初心者ですが」「まだまだ未熟ですが…」とかコメントに書いてはいけません。それを読んで聴き手が「じゃあそれを考慮して聴いてみよう」とはなりません。
心配するまでもなく批判はまず来ません。なぜなら、興味のないものにはいちいち批判のコメントなんてしないのです。最初はそういうものです。
もし批判のコメントが付いたとしたら、それはその人の心になにか残るものがあったのです。これは慰めではなく、本当にそうなのです。
もし作品を気に入ってくれた人がコメントを書いてくれたら、感謝のコメントを返しましょう。
批判されるのはとても辛いことです。しかし、創作するものはそれを受け入れなくてはいけません。そして、自分の作品を好きだと行ってくれる人のことは大切にして、批判する人は無視してください。相手をする必要は全くありませんし、なにより時間がもったいないです。
評価は時間経過で劇的に変化することがある
発表後、恥ずかしくなって消してしまう人がたくさんいます。しかし、これは将来売れる可能性を自ら落とす行為です。
発表直後は不評だった作品が、10年後「実はあの作品結構好きだった」と言い出す人が現れて評価が逆転することは珍しいことではありません。公開した作品はたとえ不満があっても消さずに残しておきましょう。大逆転があるかもしれません。
あなたに出来て、AIに出来ないこと
冒頭で「AI到来の時代だからこそ」というのは、時間経過というストーリーにあります。
生成AIはプロンプトを打ち込めばハイクオリティなコンテンツを秒で作り出します。その制作過程に葛藤はありません。稚拙であること、制作の際の苦労や葛藤は今や人間の特権なのです。
音楽は上手くて技術力が高い人だけが評価される社会なら、そもそも私のようなアカデミックな音楽教育を受けていない人間が評価されるわけがないのです。
創作は情熱です。ぜひ、たくさん作品を作って発表してください。