駐在帯同で働くこと@インドネシア
夫のインドネシア駐在が決まったとき、私は新卒で入社した会社で約10年間キャリアを積んでいた。それなりにバリバリと仕事をしていたのもあって、駐在帯同のために退職することに逡巡がなかったかといえば嘘になる。
ただ他方で、例えば東京に単身残り同じ仕事を続けても、なんとなく見えはじめてきたキャリアパスにワクワクしない、「自分の人生これでいいのかな」とモヤモヤとしていた側面もあり、最後は夫と一緒に暮らすことを優先して、仕事を退職した上で駐在帯同としてインドネシアに来ることを選んだ。この選択には後悔はない。
怠け者を自認する私はのんびり気ままなゴロゴロ駐妻ライフをはじめたのだが、ありがたいことに当地に来てそうそう知り合いからジャカルタで働かないかというオファーをもらった。
帯同ビザは働けない
インドネシアの帯同ビザ(C317)は就業を許可しておらず、働けない。ちなみにこれは国により、アメリカやシンガポールは帯同ビザでも働ける。一般的には、新興国ほど自国民の雇用を守る傾向が強くビザによる規制が強い。
日本の会社員のまま越境リモートワークができるかというと、これは税務上の取り扱いで引っかかる。日本の会社は、当然日本国居住者の為の税法・社会保険に則った社員への制度を持っているが、駐在帯同となると日本に居住していないので現地で納税義務を負うことになる。この辺の国際税務のややこしさから、そもそも認めている会社を私は聞いたことがない。
個人で業務委託契約を結ぶというのも税務観点から考えると厳密には難しいだろう。
現地の会社で働く場合は、配偶者の会社がスポンサーになっている帯同ビザを失効させて、現地会社に新規で就労ビザを発行してもらう必要がある。
ビザ切替えの難しさ
新しい勤務先を現地で見つけたとして、まず配偶者の会社がビザ切替を認めてくれるか、を確認する必要がある。
驚いたことにこの時代にそもそも配偶者は働いてはいけないというルールの会社もあるらしい。(安全管理上の面などを考えると、確かに単純な規則のほうが管理をしやすいのかもしれない)
さて、私も夫の会社に問い合わせをしてみたところ、以下の回答を得た。
①切替はOK。ただしインドネシアにて配偶者が当地で就業ビザを取得して働いた事例はなし。
②帯同ビザから就業ビザに切替える場合は、「帯同家族」という取り扱いではなくなる。
③帯同後、一定期間を経ないで就労ビザに切替えた場合は「帯同した」ということにならないので帯同時の一時的な費用は全て返納すること。
超大企業でありながら、配偶者が当地で働いたことのある実績がないことにまず驚いたが、その取扱いを聞いて納得をした。要は働かない方が、会社からの経済的な手当が(相当)厚いのである。「配偶者は必ず働かない」という前提で作られた制度だ。
興味本位で、米国やシンガポールなど帯同ビザのまま働ける場合はどうなのかと聞いたがお茶を濁された。(おそらく帯同のまま普通に働けるのであろう)
「駐在妻」さん達は千差万別で、働かなければ働かない方がいいよね〜という人もいれば、自分のキャリアとどうにか折り合いをつけて駐在帯同を選びキャリアを悩み模索している人もいる。異国の地で自ら仕事を見つけて挑戦する機会があるのであれば、その経験はプラスになると思うが、背を押してくれる人がいないのはしんどい。
女性活躍促進が謳われて久しいが、こういうところにもやりにくさは残っている。
結局、私はもう少しゴロゴロしたいのと、インドネシア語の勉強に興味を持ったので今回の機会では就労しない選択をした。ただし、もう少し続きそうなインドネシア生活をどのように過ごすかというのは継続課題である。