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林修先生に逆らってみた話

離れて暮らす友達にお漬物を送ろうと、百貨店にあるそのお店に行った。
普段お漬物を食べることがないのでどれが美味しいのかよくわからない。
名前だけは知っているお漬物と、その他に京都限定のものをいくつか選んだ。
送り伝票を書いている間に、店員さんはいそいそとわたしのクレジットカードを持って会計ルーム(って言うの?どこか行きますよね)に行った。
iPhoneの住所録を見ながら送り伝票を書く。
ペンを持って字を書くのは何日ぶりだろう。
元々字がキレイな方ではないが、しばらく字を書いてないのでいつもよりもっと汚いグニャグニャした字になる。
少しでもと悪あがきをして、ゆっくり書いた。

2人連れのご夫婦が売り場に来てお漬物を選び始めた。
わたしはチラッと横目で見る。
常連さんなのかお漬物をすぐに1つ手に取って、売り場カウンターの方を見ている。
カウンターの中には別の2人の店員さん。
が、2人ともお客さんに背中を向けていた。
わたしは、お客さんですよー。と店員さんたちに念を送った。
1人は若くて、新人さんぽい。
そして何かを一生懸命教えているらしいパイセン。
いま一生懸命になるのはそこではないですよー。
ペンを動かしながら必死に念を送る。
キレイな字を書くために集中しないといけないのに、集中メーターが下がっていく。
ご夫婦は店員さんに声をかけることなく、お漬物を片手に気長に待っている。
さすが百貨店。急かさず待てる、大人の余裕をもった客層。(勝手な想像)
それでもわたしはキレイな字を諦めて念を送りに送った。
だめだ、全然気付かない。
相手が2人だからどちらか1人に集中して念を送らねば。
こういう場合、パイセンがお客さんに気付いて
「あっ!お待たせして大変申し訳ございません!商品をお預かりいたします!」
と、新人に、見て学べ。と後ろ姿で接客のワザを見せたいところ。
なのにがっつり向こうを向いちゃってる。
カウンターに立つ接客業者として、お客さんに両方の肩甲骨を見せてはいけない。
新人にはそこから教えてあげないと。
もう全くペンに集中できなくなって顔を上げたら、お漬物を持っていたご夫婦はいなくなっていた。
あーあ、やっちゃった。
そこへクレジットカードを持った、わたしの店員さんが戻って来た。
わたしにクレジットカードを返し、自分用に買ったお漬物を包んでくれる…のかと思ったら、カウンター内の新人とパイセンが急にこちらを向いてわたしのお漬物を包み始めた。

今!?
今じゃないでしょ!!

新人に包み方をレクチャーするパイセン。
それを見守る何も知らないクレジットカードの店員さん。
わたしの送った念は行き場を失ってカウンター辺りを漂って、虚しく消えた。

※ 受験生のみなさん頑張ってください!

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