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バンブーポテト戦役-7話くらい

前回
https://note.com/liruk/n/ndc96e849dae4

(これまでのあらすじ:バンブーエルフ集落はポテサラエルフ集落に斥候を送る。白羽の矢が立ったのはパンダ騎兵隊のルーキーであるツーズー。しかし、竹のないポテサラエルフ集落では上手く身を隠すことが出来ず、見つかってしまう……!)

 張り詰めた沈黙は、30秒続いた。

 「逃げなゆ?」ポテサラの番兵は問いかける。

 「いや、だってさ……明らかに包囲陣形組まれてるし、割と詰んでるでしょこれ」ツーズーは、正面に3人、後方に少なくとも5人の気配を感じ取っており、彼らの武装は奇妙な形をした鈍器が中心と見られる。
 竹林でありさえすれば問題なく突破できよう。しかし、この地は木すらもまばらであり、得意のムーブは活かせそうにない。

 「じゃあこっち来ゆ。後で開放するから、捕虜になえ」「アイー……」

◆竹◆芋◆

 目の前には、植物の塊根(芋というらしい)を煮詰め、潰してグズグズにし、調味料と具を大量に突っ込んだ料理が取り分けられている。一見噛みごたえのなさそうな軟弱なメニューだが、ポテサラエルフ達はこれを美味しそうに頬張っている。

(なんでアタシはポテサラエルフと一緒に食事を取ってんのさ)ツーズーは困惑する。捕虜になった彼女が連れてこられたのは、集落内で最も大きい建物である食堂であった。食堂に入った彼女を出迎えるは、芋を茹でる熱気。次いで、芋と調味料が調和した香りであった。

 「たべないゆ?」子供と思しきポテサラエルフが勧める。……子供の姿はバンブーエルフとあまり変わらないようだ。可愛いものである。

 「……一口、試してみるとしよう」早鐘を打つ心臓を無視し、木の匙を用いてピンク色の具と一緒に口に運ぶ。

 ホクホクとした柔らかすぎる食感に、穏やかな酸味と香草の刺激、そして、まろやかな後味がついてくる。軽く噛むと、具が千切れ、さらなる旨味をもたらした。

 味は良いが、物足りない。では、青竹に詰めればどうだ……? 彼女は好奇心に抗えなかった。給仕に断って、食用の青竹に詰めてもらった。いただきます――!

 青竹を咀嚼する、バリバリという凄まじい音が食堂内に響き渡った。

 「美味いぞこれ!」

◆竹◆芋◆

 酋長室にて。

 「で、バンブーエユフはポテサアエユフの内情を調査すゆためにスパイをよこしたと」
 「まあ、そうなるな」
 「わざわざそえを言うかゆ」
 「メシおごってもらったし、隠して上手くいくわけでもないだろ?」
 「そゆね。そういえば、今回の戦争の原因になった“宝物の窃取”の件ゆけど……あえ、心当たりないゆ。何を盗んだことになってゆ?」
 「初代酋長の竹細工。成人バンブー氏族の倍くらいの大きさでさ、広場にドカンと置いてあったんだけど、起きたら無くなってて、びっくりしてさあ」
 「そえで、どうしてポテサアのしわざと」
 「地面に血文字でさ、『取り返したくば我がポテサラの氏族から力づくで奪うが良い』って」
 「……なんか妙ゆ。バンブー、お前、ここに来て色々見て回って、その“大きい宝物”は見つけられたかゆ?」
 「そこだよ。倉庫も宝物庫も、地下すらも見て回ったんだけどさ、どこにも無いんだよなー。そもそも戦争吹っかけて美味しい点もないし、引っかかるんだわ」
 「……ちょっとそっちの酋長に一筆したためゆ。分かってゆと思うけど、割と状況はめんどくさゆ」
 「すまねえな」
 「いいゆ。ポテサアエユフは平和にポテサア食うためならなんでもすゆ」
 「ははは……」

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