【LIPS labo】無印良品「ヘルス&ビューティ」担当が語る、SNSバズの背景&新作シリーズの魅力とは【2024年10月2号】
こんにちは、LIPS編集部です。LIPSユーザーの美容事情や、ビューティトレンドをピックアップする『LIPS labo』。10月2号は、新たな試みとして、美容オタクがこぞってラブコールを送る「無印良品」にインタビューを敢行。『発酵導入美容液』のSNSでのバズりを皮切りに、一躍スキンケアブランドとしての地位を確立した背景を深堀りしていきます。
1、スキンケア商材を中心に、SNS上の大きな盛り上がりを見せる「無印良品」
今や美容オタクも注目している名品が多く展開されている「無印良品」のスキンケア。
今年の3月に入ってからの検索ボリュームが右肩上がりな点に着目。2023年8月発売の『発酵導入美容液』が美容オタクだけでなく、一般層にまで評判が広がり、LIPSで商品やクチコミレビューをチェックする人が増加したことが要因として考えられます。
2023年10月〜2024年9月の1年間で「無印良品」と一緒に検索されたキーワードを上位から紹介。定番の化粧水に次いで、美容液が注目されていることがわかります。また、上位5アイテムがスキンケア商品であることから、無印良品=スキンケアに定評のあるブランドとして認知されているようです。
「無印良品」スキンケアアイテムの大きなバズりを受けて、株式会社良品計画「ヘルス&ビューティ」担当者に話を聞いてみました。
ーーSNSでの大きな盛り上がりは、みなさんにも届いていますか?
最近は特にインフルエンサーの方によるSNSの投稿が増えた実感があります。化粧品のなかでも幅広く、"まとめ投稿"の形式でさまざまなアイテムを取り上げてくださっているのを見かけます。
SNSのクチコミで話題になると、その商品の売上が1日でがらっと変わります。嬉しいことではあるのですが、売れ行きを正確に予想するのがとても難しいと感じています。
去年の8月に発売した『発酵導入美容液』については、情報解禁のタイミングで反響があったことは知っていましたが、売上進捗のスタートダッシュがこれほど好調とまでは予想できませんでした。
ーー衣服や生活雑貨など、多岐にわたるカテゴリを取扱うなかで、"スキンケア用品"の立ち位置についてどう捉えていますか?
化粧品カテゴリだからといって特別扱いするのではなく、毎日の生活に欠かせないものとして、歯ブラシやシャンプーなどの日用品などと同じものとして認識しています。年齢によるターゲティングをせず、幅広く使っていただけるものとしてスキンケア用品も開発しているんです。
ーー化粧品カテゴリを扱う上で、「無印良品」ならではの強みはなんでしょう。
店舗には、お目当ての商品が決まっている"目的買い"のために来店される方もいらっしゃるとは思いますが、弊社では衣服や食品などさまざまな商材を取扱っているため、商品ジャンルを超えて"合わせ買い"をされる方が大半。
こういった特徴的な購買行動もあり、「無印良品」という店舗を持っていることこそが、大きな強みであると考えています。
2、商品開発において、一環して貫く「生活者視点」
ーー最近発売された『高濃度美容液』は、「レチノール誘導体」「ビタミンC誘導体」「セラミド」「ナイアシンアミド」の4種のラインアップ。自然派のイメージのある「無印良品」が攻めの「レチノール誘導体」を展開されている点に驚きました。
『高濃度美容液 レチノール誘導体配合』は、消費者の情報量が増える今、成分により詳しい方が増えてきている状況を受けて開発しました。企画をした当時、レチノール誘導体配合の商品は美肌効果が期待できる一方で、高価格帯のものが多いことから、「無印良品」で何かできることはないか、といった想いのもと開発した背景があります。
ーー商品開発において、美容トレンドはどの程度参考にしていますか?
「無印良品」では、一過性の"トレンド"を積極的に追いかけることはしていません。ただ、ニーズとして今後も続いていくようなお悩みであれば、それに対応した商品を揃えていきたいと考えています。今の美容トレンドが長く続くものであるのか、というのが見極めポイントです。
新商品の開発にあたり市場調査に時間をかけるという手もありますが、弊社ではお客様が何を必要としているのかを徹底的に考えるのがもっとも重視されています。
あくまでも化粧品も日用品のひとつ、生活に欠かせないものとして捉えること。リニューアルによる切り替えのタイミングで旧品をいつまで販売するのか、新商品の情報に関するユーザーコミュニケーションなど、社内で丁寧に話し合う機会もあります。
ーー"生活者視点"を貫く「無印良品」ならではのエピソードを教えてください。
とにかく写真をたくさん撮影します(笑)どういう場面でその商品が使われているのか、具体的にイメージするためです。
例えば、9月中旬発売『インテリアフレグランスオイル』は、秋限定の香りの発売のタイミングでボトルのデザインを見直しています。暮らしになじみ、インテリアとして目で楽しむ佇まいを考えたボトルデザインに変更しています。ボトルは生活の主役にはならないからこそ、部屋のノイズにならないこと。そういった点は化粧品に対しても同様に考えています。
化粧品に対する考え方としてはやや特殊かもしれませんが、パッケージを加飾する必要はないと思っています。自社の売り場をもっているからこそ、そもそもボトルを目立たせる必要もない。お客様のご自宅に入るとその必要性はもっとなくなります。このように不要なものは一切削ぎ落とせることは強みであると考えています。
3、より深い悩みにアプローチ。「薬用リンクルブライトシリーズ」が新たにお目見え
もともと高い支持を得る「エイジングケア薬用美白シリーズ」と「エイジングケア薬用リンクルケア」シリーズの後継品として新たに誕生した「薬用リンクルブライトシリーズ」。なかでもイチオシは、『薬用リンクルブライト クリームマスク』という。
ーー『薬用リンクルブライト クリームマスク』の一番のこだわりポイントを教えてください。
コクのある濃厚なテクスチャーと、翌朝のうるおいの実感です。無印良品のクリームのなかでもかなりこってりしていますが、乾燥、シワをしっかりケアができるようあえて重ためにしました。一方で、伸びがいい珍しいテクスチャーをぜひお試しください。
ーーリニューアルに伴い、「米ぬか発酵液」をベース成分に選んだ理由は?
「無印良品」ならではの原料である「米ぬか発酵液(保湿成分)」。米ぬかはビタミンやミネラルが含まれ、古くから洗顔などのスキンケアアイテムとして活用されていた点に着目しました。美容との相性がよく、米ぬかを発酵させることにより、得られるうるおい成分が、もっちりハリのあるなめらか肌に整えます。
また、『薬用リンクルブライト クリームマスク』の他に、『薬用リンクルブライト化粧水』もおすすめ。化粧水は水をベースにした処方が一般的ですが、主成分として「米ぬか発酵液」を採用しました。ベースの成分を変えるということで処方の調整が大変でしたが、その分、保湿成分の配合量を増やすことが叶いました。
4、どこまでもシンプルで、それでいて本質主義の「無印良品」。今後のスキンケア領域の展望とは
一般層だけではなく、美容感度の高い消費者からも支持が厚い「無印良品」のスキンケア。今後はスキンケア領域外のヘアケア、メイクアップの化粧品関連のアイテムについても全体的に伸ばしていきたいという。
そして、今回の取材を通して強く印象に残っているのが、この2点。
徹底した生活者視点
本質重視の商品開発
SNS上が多くの美容情報で溢れる昨今。さまざまなアイテム使用経験のある美容オタクが本質的な価値を求めはじめたこのタイミングで、「無印良品」の本質主義な商品展開が美容オタクの心を掴んだことで、これほどの大きなバズりが生じているのかもしれません。
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