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「夫と起業したい」、「英語と算数を教えたい」 ~LIP-Learning 卒業生インタビュー~

LIP-Learning卒業生にインタビューを行いました

こんにちは。認定NPO法人Living in Peace (以下、LIP)難民プロジェクトです。
難民プロジェクトの取組のひとつとして、日本で生活する難民等の方々に向けた日本語学習支援事業(通称:LIP-Learning)があります。2019年度に始まったこのプログラムは、21年度までで累計42名に日本語学習を提供してきました。(活動レポート

受講期間は最大2年間。主に初級~初中級者が受講し、生活や仕事に必要な日本語を学び、日本語能力試験N3、N2にチャレンジする受講生もいます。今回は、2年間の受講を終えた2名に、日本語でインタビューを行いました。

※インタビューの内容は、”やさしい日本語”から意訳しています。

Rさん(以下、R)

2児の母。夫の紹介でLIP-Learningを知り19年度から受講開始。現在は、幼稚園児に英語を教えている。

Dさん(以下、D)

2児の母。夫の紹介でLIP-Learningを知り19年度から受講開始。現在は、ファミレスで接客の仕事をしている。

LIP-Learningでは、普段よく使う日本語を学べた

LIP-Learningを始めるまで、日本語を学ぶ機会はありましたか?

D:市役所のレッスンがあり、3カ月ほど勉強しました。レッスンに大きな不満はなかったですが、バイトが始まって、勉強・仕事・子育ての両立が大変になり辞めてしまいました。

R:夫が通っていた大学で機会があり、週2回のクラスで自分も勉強していましたが、卒業とともに引っ越すと、勉強する機会がなくなってしまいました。引越し先でも勉強を続けようと思っていましたが、子育てや仕事などが忙しくなると、独学だけではなかなか続けることが難しかったです。

LIP-Learningでは、子育てや仕事とできるだけ両立できるよう、オンライン授業かつ少人数クラスとし、レベルはもちろんながら、クラスメイトの日時も考慮し、授業実施時間などを設計しています。

R:LIP-Learningでは、やさしい先生と一緒だったので、順調に勉強を続けることができました。

どのような授業でしたか?

R:日常生活でよく使う日本語が学べました。授業もそうですが、交通機関で聞く言葉や、地震が起きたとき…など、教科書にもたくさんそういった表現があるため、とても役に立ちました。

D:習う言葉が、すぐに使えるので忘れにくかったです。

R:そうです!ビジネス日本語を最初に学んでも使うチャンスがないと、それまでに忘れてしまうので…。

D:また、1年目は個人でしたが、2年目はグループレッスンになったのですが、それもよかったと思います。先生やクラスメイトと、授業で話すのが楽しみでした。

Rさんの勉強ノート

勉強で、大変だったことはありますか?

R:漢字は、大変でした。

D:私も、漢字の勉強が大変でした。
また、定期的にテストがあるのですが、それも大変でした…。ただ、そのために勉強しなければいけないので、日本語の勉強には良かったと思います。

授業以外の時間も学び続けた

授業の予習復習はどうしていましたか?

R:授業の資料や、漢字の宿題など、学校から提供されるツールがたくさんあったので、それで勉強しました。

D:宿題も、復習テストもあったのでしっかりと勉強することができました。

二人とも、宿題の提出率も高く、復習もしっかりできていると、先生からも高評価でした。定期テストでも、Rさんは平均90点以上、Dさんも平均80点以上を収め、努力したことが大変伝わりました。

それ以外にも、日本語の勉強はしていたのでしょうか?

D:授業が終わったら、職場で日本人の同僚と一緒に習った表現を練習しました。
店長も同僚も優しくて、自分の日本語レベルをわかって伝えてくれます。日本語のわからないことは質問し、教えてもらうことで少しずつ覚えることができていると思います。

Dさんの勉強ノート

話せる!読める!伝わる!

LIP-Learningを学ぶ前と後で、どのような変化がありましたか?

R:英語の授業を、以前は、日本人の先生と一緒に教えていました。今は、1人で授業を任せてもらえるようになりました。

D:以前は、なかなか日本語ができなくて、ママ友の輪にも入りづらかったです。今は、7割くらいは、話していることがわかります。
何を聞かれているかわからず、返事もできなくて、もどかしい思いをしました。友達や、子どもたちと日本語で話せるようになったのが嬉しいです。

R:これまで、役所や学校関係の書類が読めず、いつも夫にやってもらっていましたが、先日、一人で手続をすることができました!

卒業後はどのように勉強していますか?

R:漢字は、まだ苦手なので勉強しています。子どもの国語の教科書などで一緒に勉強したり、図書館で絵本を借りて読んだりすることが多いです。

D:市役所の無料のオンライン授業を見つけ、週に1回授業を受けています。

R:それから、自分の子どもや、ママ友とおしゃべりをするときが、日本語の練習になっていると思います。

D:私も、ほとんど毎日、アルバイトで日本語を使うので良い練習の機会になっています!

日本語がわかる…のその先に

最後に、これから日本で叶えたいことがあれば、教えてください

D:今は、日本語能力試験N3を目指しています。日本語がもっとうまくなったら、別のアルバイトに挑戦したいです。子どもが大好きで、先生の仕事をしてみたいと思っています。アニメも好きなので、子どもと一緒に、字幕なしで見れるようにもなりたいです。

R:今は少人数クラスの担当ですが、もっと多い人数も担当できるようになりたいと思っています。
それから、英語だけでなく、算数も得意なので教えられるようになりたいですが、それには、まだまだ日本語の勉強が必要です。

D:母国で、夫はエンジニアを、私はアシスタントエンジニアを専門に学びました。いつか二人でそれを活かした会社を起業するのが、私たちの夢です。

インタビュー後記

お二人は、LIP-Learningの中間面談でお話しするたびに、決して大変そうなそぶりはなく「勉強が楽しい!」「先生が優しい!」と明るく話してくれました。

しかし、子育て、仕事、語学の勉強…これらの両立は、一般的に見ても簡単なことではないのではないでしょうか。お二人の熱心さやまじめさがあるからこそ、二年間の学習を続けることができ、そして、仕事でも子育てでも「日本語ができたら…」の目標を少しずつ叶えられているのだと、改めて感じたインタビューでした。

LIP-Learningの伴走支援を通じ、前向きさと継続する努力こそが、語学習得に重要な要素であることを、折に触れて実感しています。また、それと同じくらい、学んだ言葉の実用場面の存在が、語学上達に欠かせないと、考えさせられます。

「日本語がわかる…」のその先を、受講生と共に描いていけるような支援に、引き続き取り組んでまいりたいと考えています。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

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執筆:宮本麻由(Living in Peace)

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