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難民キャンプを知る。「ヒューマン・フロー/大地漂流」より

こんにちは!Living in Peace難民プロジェクトです!
難民問題と聞いて、難民キャンプを思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。
度々ニュースなどで、難民がキャンプに集まったことや、そこでの問題点などが取り上げられることがありますが、いったい難民キャンプにはどうやってたくさんの人が集まり、どのような方法で生活をしているのでしょうか?
難民キャンプで暮らせるようになった人々は安心した生活を送ることができるのでしょうか?
今回は、そんな実態が掴みづらい「難民キャンプ」について「ヒューマン•フロー/大地漂流」というドキュメンタリー作品と共に、解説します。

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◆作品紹介

アイ•ウェイウェイ 監督/脚本
2019年公開

2008年、北京オリンピックのメインスタジアム「鳥の巣」の設計に携わった中国の現代美術家アイ・ウェイウェイが、23カ国40ヶ所もの難民キャンプと国境地帯を巡り、難民のリアルを捕らえた壮大なドキュメンタリーで、ヴェネチア国際映画祭で五部門を受賞している作品です。
監督のアイ•ウェイウェイ自らキャンプに潜入して撮影しており、空撮を使ったお洒落な映像の中に、壮絶な生活を送る難民たちの様子が映し出されています。
この作品は、難民キャンプや、難民を生み出している国や地域を映像で知ることができ、難民問題に興味を持った人におすすめの作品です。

▼ヒューマンフローでたどるキャンプの場所と特徴
ぜひURLの難民キャンプ地図をたどりながら、映画をご覧ください。
キャンプの場所と特徴が詳しく解説されています。


◆難民はどこから?

難民の出身国の68%をシリア、スーダン、ミャンマー、ソマリアの5カ国が占めています。紛争が長期化するシリアでは、国民の30%の669万人が国外に逃れています。(国連UNHCR協会ホームページより)

戦争や紛争以外でも難民は発生します。アフリカの国々からの難民の多くは、気候変動の影響で起こる干ばつや飢餓から逃れるケースです。
こういった様々な事情により祖国で暮らすことが困難になった人々は、自分達を受け入れてくれる国を目指し逃れますが、その過程で危険な手段を取る必要性に迫られることも少なくありません。

命がけの航海をするために、密航のブローカーに大金を支払う人もいます。
作中でも、凍える寒さの中、何百人もの難民が小さなボートに乗り、避難し、支援機関に救助される様子が映し出されています。


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◆難民キャンプで起きている問題とは?

自国の情勢悪化により近隣諸国、受け入れ先の国に逃れた人々が、難民申請が支援団体により認められたのち、難民キャンプで生活できるようになります。難民がキャンプで過ごす避難生活は平均で26年にも及びます。(「ヒューマン・フロー本編より)

UNHCRが支援物資を運び、その場所の気候に応じたキャンプを設営します。材料には、テントや木、竹などが多く使用されます。難民キャンプでは、食料や水、医療、生活用品、衛生用品などが提供され、NGOが経営する学校で勉強をできることもあるそうです。

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一般的に上記のような場所を難民キャンプとされていますが、実際、公的な援助を受けているキャンプは一部に過ぎません。
トルコでは、アフガニスタンやシリアから難民を多く受け入れていますが、公的な難民キャンプは10%しかありません。(ヒューマン•フロー本編より)

援助が行き届いていないキャンプでは、病気が蔓延していることがあり、衛生環境や医療が不十分な環境のキャンプで生まれ、ワクチンを打てずにいる子どももいます。

また、食料不足も問題となっており、支援機関からキャンプに、人数分食料が配られているとしても、配給システムの問題から、きちんと食料が行き渡らないことがあります。

◆難民が移住した先では

難民は近隣諸国に避難することが多いことから、難民を多く受け入れる国は、一部に偏っているため、貧困問題など多くの課題が発生しています。
欧州に流れてくる移民を減らすため、2016年トルコとEUが交わした合意により、欧州にやってきた難民をトルコに送還できるようになりました。

トルコは「第一次庇護国」であり、難民にとって安全な国とされていますが、難民を保護するための法整備が、入国してくる難民に追いついていないのが現状です。
そのため、教育や医療など様々な問題に直面する難民が多くいます。

また、レバノンでは、人口の3分の1に当たる約200万人の難民を受け入れており、60年以上パレスチナ難民を保護しています。
レバノンに住むシリア難民の子どもの半分は学校に通っていません。
家族、友人を失くし、トラウマを抱えている子どもの多くは復讐のために戦闘員になってしまうケースが多くあるそうです。

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(出典:https://keynoters.co.jp/lebanon/)

◆作品を通して

「ヒューマン•フロー/大地漂流」の作中では、以上の難民キャンプの様子や問題などを人々の感情とともに感じることができます。

・終わりの見えない避難生活から、涙ながらに平和を訴える女性

・避難している途中、海で家族を亡くしてしまった男性

・いつ開かれるかわからない国境付近で、大雨に打たれるテントの中に暮らすギリシャのシリア難民

・ドイツの難民キャンプで「楽しみがない」と訴える少女

・建てた家がシリアの内戦で爆撃の遭い、何も無くなった土地を見つめる人

・パレスチナのガザ地区で、劣悪で自由のない暮らしを強いられている人々の様子

など、難民になりうる人々のリアルな姿を映し出しており、本当に同じ世界の事なのかと、衝撃を受けるシーンが数多くあります。


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筆者はいままで本や記事で、難民キャンプの問題、現状などを見ることがあっても、どこか遠い世界の話なのではと、無意識に感じてしまう事がありましたが、この作品を観ることで、いつでも自分たちが難民になる可能性はあり、自分が当事者だったら生きていくことができるのか、どんな問題が起こりうるのか、など、とても考えさせられ、キャンプで起きている事を自分ごとと感じました。

ぜひ、「ヒューマン・フロー/大地漂流」を通して難民キャンプの視点から難民問題に触れてみてはいかがでしょうか。



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最後までお読みいただきありがとうございました。

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執筆:里見春佳(Living in Peace)

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