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閉じたくなる目を見開き、塞ぎたくなる耳をすまし

元旦から数日遅れてのんびりと見た今年の初夢。私は、最高潮の熱気に包まれた東京2020オリンピックの開会式を自宅のテレビにかじりついて観ていました。目が覚めて呆然としたのは、言うまでもありません。

思い返せば、昨年の年始挨拶で私は「昨年は30年ぶりに元号が改まり、今年は56年ぶりにオリンピックが開催されるというタイミングで、私たちは時代の画期にいるかのようです。」とも書いていました。

「時代の画期」という言葉がいっそう当てはまる状況になりながら、その内実がまったく隔絶しています。

2021年は日本が、そして世界が、痛切な苦しみを抱いたまま明け、通例の祝賀の言葉を言うことすら躊躇われます。前例のない世界的災禍のただなかで、依然として日々の生活を不安や息苦しさが覆っています。

いっそひと思いに「所詮この世も一夜の夢よ」と嘯いてみたい。

しかし、その「夢」は体が切れれば痛みとともに血が噴き出る迫真の現実であって、そんなことに何の意味もありません。

いま必要なのは、閉じたくなる目を見開き、塞ぎたくなる耳をすませ、そして蹲りたくなる体をとにかく前へと進めて「生きる」ことです。東京2020オリンピックが訪れなかった現実をしたたかに生きることです。

であれば、未だ少しも先の見通せないなかであっても、とにかくも新年を迎えたことはこれ以上ない慶賀でしょう。

みなさま、明けましておめでとうございます。

私たちLiving in Peaceは、メンバーの一人ひとりが今この社会を生きることの意味を受け止め、本年、2021年もNPO法人としての社会的意義を真摯に果たしていく所存です。

思うに私たちの社会は、少数で力を与えられなかった人たちにとっては、以前から「一寸先は闇」でしかありませんでした。そういう人たちの深刻さが、社会全体の苦境の背後にさらに隠されていくと感じます。

私たちの「すべての人にチャンスを」というビジョンを単なるお題目にしないために、「みんな大変」と語られる「みんな」からこぼれ落ちる人たちと、その状況への感度をよりたくましくする必要性を強く想います。

そして自分たちの持てるものを最大限に活かし、また多くの方々とつながることで、さまざまに困難な状況にある人たちの側にあって、彼・彼女らの「生きる」を支えるための前進を今後も止めまいと、その決意を新たにします。

本年もどうかよろしくお願い申し上げます。

執筆:中里晋三(Living in Peace共同代表)

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