レビュー『嫌われる勇気』
「なぜ、私はこんなに頑張っているのに認めてもらえないんだろう?」そんな悩みを抱えるあなたへ。
「嫌われる勇気」は、アドラー心理学を基に、哲学者と青年の対話形式で書かれた自己啓発書です。
この本を読むことで、あなたは「なぜ、人は悩むのか?」「幸せとは何か?」といった根源的な問いに対する答えを見つけることができるかもしれません。自分自身と向き合い、より良い人生を送りたいと考えている人におすすめです。
アドラー心理学自体が「勇気の心理学」という風に形容されることも多く、タイトルの由来にもなっています。
ここからはちょっとネタバレになるんですが、簡単な要約という形で書きます。
まず、アドラーの心理学は、他の心理学とは大きく異なるアプローチであると言えます。
ユングやフロイトが唱えている心理学は、原因論であると説いています。
例えば、僕が小さい頃にいじめを受けていたとしましょう。そして、大人になってから威圧的な相手と対峙すると、体が勝手に萎縮してしまうとします。これは、過去にいじめられていた経験があるから、 それが原因で萎縮する、というような原因論に基づいています。
いわゆるトラウマです。
つまり、過去に原因があるから今の自分があるっていう考え方がベースです。アドラー心理学はアプローチが大きく異なります。アドラー心理学は、目的論だと説明します。
では、目的論とは何でしょうか?
過去にあることは一切関係なくて、今自分が萎縮する理由は、
萎縮することで、僕に得られるメリットがあるから、 道具として萎縮というアクションを私が意図的に使っている。と考えます。
つまり、 萎縮とは、経験からくる判断で、トラウマではないと言います。
例えをもう一つ出しましょう。「怒り」も道具であると言えます。例えば、親が子供に対して
早く片付けなさい!と怒りますが、例えばその瞬間に、来客があったとします。すると、先ほどまで怒っていた親は、怒りをどこかに無くし、急に「お待たせしました。どうぞこちらにお上がりくださいみたい」な形で怒りをしまうことができるんですね。
つまり、「怒り」というのは感情としてあえて、作り出したもの。生理的なものではなくて、自分が怒ることによって相手を従させようとする、そのもくろみから生まれた道具だと、アドラーは話します。
これ、すごいびっくりする考え方ですよね。
このような形でアドラーは原因論ではなくて目的論であなたの行動は決められていると結論付けます。
続いて、アドラーの心理学では、全ての悩み=対人関係という風に解釈します。
例えば、仕事でミスしたら怒られますよね?これは、仕事をミスしたくない!という個人的な悩みよりも、「怒られる」という相手がいるからこその悩みだと言い換えています。
もうひとつ、例を出しましょう。
お金に関して。お金自体はただの紙や、コインだったりするので、物自体に価値があまりありません。しかし、そこに価値を持たせた人がいるからこそ、お金に価値が生まれているという考え方です。
つまり、仕事とか友情とか愛情とか、そういったものが全て対人関係がベースになっている。悩みは全て対人関係なんだと位置付けています。
そして、大事なポイント。対人関係が悩みの全てだけれども、それは相手を敵だと思っているから、悩みが発生してしまうと話します。共同体感覚、つまり自分以外の全ての人は友達、仲間なんだみたいな感覚を持ってさえしまえば、そんな心配一切なくなくなくなるというのが アドラーなんですね。
では、その共同体感覚を持つために必要な課題、それは、「課題の分離」だと話します。
これ何かと言うと、 自分の課題は自分のもの。相手の課題は気にしない、と線引きをしっかりしようというものです。例えば、勉強する、 コピーを作る、SNS投稿をするみたいなものが自分の課題になりますね。そして、それを相手に出します。
そして、相手が判断して僕に評価をくれます。で、この評価だったり、判断は自分じゃコントロールできないじゃないですか。
100点くださいって言ったって、間違えていれば99点になるわけなんで。そして、この相手判断になるものは一切気にしない。
これがアドラーの考え方なんですね。
この課題の分離がうまくできていないから、敵が生まれてしまう、喧嘩が起こってしまうと話します。例えば、「子供に対して早く勉強しなさい!」こう怒るのは、筋違いで、「 子どもが勉強するかどうか」は、 僕の課題ではなくて、子供の課題。で、そこに対して介入するから、ケンカが生まれてしまうのです。
もちろん、子供が勉強しなかったら、それを当然諭すのは必要だと思います。
「いつ勉強するのかな。勉強しないとどうなるのか考えてみてよ」
みたいな形で言えば、子どもの課題には踏み込んでいない状態で、子どもに課題として認識させることができます。
課題の分離を行うことで、怒る必要もなくなる=対人関係が良くなる、となります。
これが、アドラーの心理学のゴールと言えるでしょう。つまり、この対人関係のゴールっていうのは、共同体感覚、つまり仲間であることっていうところが大事なんですね。
仲間であれば、誰かのために何かをしようと思えますよね。ガンジーのように。そこが幸せなのだとアドラーは結論づけます。あくまで幸せは自分の中から生まれるもの。つまり、他社貢献なんです。
何かをしてあげたから何か返してね、もらったことで嬉しい!ではなくて、「何かしたこと」に対してに喜びを得ましょうねっていうところが他社貢献。
端的に言ってしまえば、自己満足で幸せになれるよ、ということです。
片思いの相手が困っていて、それ助けられたら嬉しくないですか?そんな気持ちを抱きましょうね、ということ。
これができるようになると、課題の分離がしっかり行えて、自分の幸せをきちんと感じることができます。さらに、対人関係、相手の判断基準に委ねられるところは気にしないというスタンスをモテるようになります。良い意味で個人主義になれます。
この線引きが 難しいけれども、勇気を持ってやっていこうよっていうのがアドラーの心理学、勇気の心理学、つまり嫌われる勇気なんですね。
気になる方はご一読ください!
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