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思い出したくなかった高校時代が、少し大切になった大学最後の夏休み

本日もお疲れ様です。


私の高校生活は、あまりにも思い描いていた楽しい日々とはかけ離れていた。しかし優勝を目指すチームに所属するには、「高校生」という青い春と引き換えに体育祭も、文化祭も、スポーツ大会も、修学旅行も後回しにしてバレーボールにだけ集中する必要があった。


全国レベルになれば、そんなことはもしかしたら当たり前なのかもしれない。でも、私達のチームのスタメンは、完全に体が怪我や不調で壊れ切っていた。それでも毎日、毎日、毎日。大好きなバレーボールが、拷問にも思えた当時の仲間の本音はわからない。好きなことや、目標のためならと踏ん張っていたのか、私と同じように逃げたかったのか。試合に出ていなかった私にはわかるはずもない。簡単にわかったような気にもなりたくない。自分で選んだ高校だけれど、大学生になっても、別の高校を選んでいればと思う気持ちが残っているのが悔しい。


家族よりも一緒に毎日を共にし、必死に笑い飛ばしていた仲間達との「楽しかったことだけ」を切り取って覚えていようとしてきた。私にも、楽しかった高校生時代はあると思い込ませるかのように。


あの時に比べたら大人になったけれど、当時副部長だった私が海外留学を志したことや、大学進学に対する学校の大人達の言葉を未だ許せていない。思い出すと自然に涙が溢れるくらいにこの感情だけはコントロールができない。そういう意味では、今でも自分が思うよりずっと子供なのかもしれない。


特色選抜でバレーボールをするために入学したことが高校との約束だとするなら、確かにチームから離れて留学という道を選んで約束を破った。チームの集大成を迎える大切な時期だったこともあり、学校の大人達は強化指定であるバレーボール部の部員であり、副部長でもある生徒が留学に行こうとしていることにしか興味がないようだった。


バレーボールの他に好きなことや夢をもっただけの高校生は、職員室で泣きながら謝っていた。唯一の救いは、1番失望させるだろうと思った仲間達が背中を押してくれたことだった。最終的にはパンデミックに追い打ちをかけられたが、むしろ部活ができなくなったことにほっとしている自分がいた。


あっという間に部活が本格的に再開を迎えないまま引退を迎え、あっけなく高校での全てが終わっていた。いつからか「無知」は「無力」だと言い聞かせてきた。大人の世界には、知っていれば同じ土俵に上がれていたかもしれない知識が自分にあるかないかで変わることが多々ある。何も知らないちっぽけな私のまま社会に出たら、また大人の力に負けてしまう。


だから、どんなに環境に置かれても、自分の目指す場所への切符だけは2度と手放さなくていいように、強くなれるように、大学で勉強もそれ以外のことも一生懸命やろうと決めた。


自分自身や、守りたい大切な人、気持ちを自分の力で守れるようになりたかった。


大好きな英語に背を向けて、海外に行きたい気持ちを守ってあげられなかった高校生の自分に胸を張れる自分になりたかった。


そして何より、何気ない学校の大人達の言葉を許せるようになりたかった。高校生の頃描いていた英語教師という夢を手放したことは、どんな理由であれ自分が選ばなかっただけだ。誰のせいでもないし、いい加減大人になりたかった。でも、簡単に忘れられるはずもなく、心の傷は時間を重ねても深いままだった。


どんなに真面目に頑張っても、高校生の私の代わって今の自分が新たな夢を追うには足りないと思うばかりで、過去を上書きするのは大学のどんなに楽しい思い出でも難しかった。嫌な記憶ほど残ってしまうものだ。夏休みや年末年始に地元に帰っても、高校時代の仲間や友人達会うことや当時を思い出すことが怖くて、バレーボールからも離れていた。


そして今年、大学最後の夏休み。グループLINEにメッセージが届いた。


みんなで集まらない?


会いたくないとまで思っていたけれど、今回は「今なら会いに行けるかもしれない」と思えた。自分でも不思議だったけれど、大丈夫な気がした。


私は、しっかり前に進んできたから。


そして、別の場所で同じように成長してきた大好きな仲間にもう1度会いたかった。


一緒にご飯を食べて、お酒を飲んで。大学のどんなに親しい人達とでさえ、飲み会は苦手なのに、この日は3時間ずっと話が尽きず、ただただ楽しかった。誰かの笑顔に安心するこの感覚を、高校生の私は知っていただろうか。帰り道、みんなと別れてからすごく温かい気持ちに満ちていた


やっぱり仲間はいつまでも仲間なんだ。それぞれ大人になって、見ている世界や考えている未来は当たり前に違っているけれど、あの毎日を共に過ごした事実は消えない。私たちの高校時代の財産だ。あの時も今も、それを共有できるのはこの人達しかいない。お互いに今頑張っていることを話せたその日が、素直に嬉しかった。


今見ている夢を叶えられたら、大人の世界ももっと綺麗に見えるかもしれない。都合良く覚えていたい部分だけ切り取って大切にしておくのは、悪いことじゃない。私には、楽しかった高校生活がある。それでいい。過去の傷も、前ほど痛まないような気がする。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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