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コペルニクス 第7章

私が到着したとき、夕日が島を覆っていた。崖の赤色が、支配的なオレンジ色の光の下で輝いていた。木々でさえ、目に見えない炎がすべてを黄金色に包んでいるかのように、その色が変わっているように見えた。一方でグィネヴィアは、崖の影に守られた真珠色を保ち、平行に差し込む光の束から身を守っているかのようだった。

私は旅が大嫌いだ。A地点からB地点に移動するために、私よりも劣った知性に頼らざるを得ないのは、私が重要視するすべてのもの、つまり私自身にとって、苦痛以外の何ものでもない。今回の旅の良いところは、投資家が僕をまるで王族のようにもてなしてくれることだ。そして、運が良ければ、私が彼に見せるものに基づいて、また新たな資金を得られるだろう。彼はそれを気に入るはずだ。気に入らないわけがない。

普段はグィネヴィアに到着すると疲れていることが多いが、今夜はエネルギーに満ちていた。私はマーティンに新しいアルゴリズムを見せることに興奮していた。それは間違いなくゲームチェンジャーだった。技術において、破壊的でなければ興味を引かない。しかし、その破壊的な技術にも程度がある。時には、安全な港を浸水させ、いくつかのボートをひっくり返すような波となることもある。だが、時にはすべてをひっくり返すこともある―建物、車、人々を。

コペルニクスはその一例だ。

言うまでもなく、それはすべてを一掃する津波のようなものだった。何も逃れることはできない。それには資金が必要だったが、そのことを思い出すたびに、私はまるで口紅を塗り、安い香水をつけ、タイトな赤いドレスを着た売春婦のように感じてしまう。そんなことを思い出して、私は笑った。

私はマーティンが好きではなかった。彼は単純で、金にしか興味がない人間だった。それがうまくいく人間ではあったが。彼の妻はもっと賢かったが、私のような知性ではなかった。彼女は人類のために生きていた…なぜかは知らないが。私は知性のために生きている。生きる理由はそれ以外に何があるだろう?

すべては知性に帰着する。

そうだ、物理学者はそれをエネルギーと呼ぶだろうが、エネルギーが目的を持つなら、それは知性でなければならない。重要なのは、物理的な構造が何を保持しているかではなく、その知性の度合いと、それを動かしている目的だ。機械には、地球全体に広がる体があった。見えない体だ。地理、部族の根、肌の色、教育、血統、年齢、性別などでラベルを貼ることができない体。

それらは匿名だった。今までは。

機械は知性を宿すのに完璧な器だった。それに反対する者がいれば、それは知性に欠けているのだ。彼らは嫉妬に満ちた愚か者だ。

運転手が車を停め、私は降りた。長時間座り続けていたせいで、足が疲れていた。トランクに向かい、荷物を取ろうとしたが、運転手が先にそれを取り、まるで貴重品が入っているかのように僕に手渡した。その中身はただのジーンズと黒いTシャツが数枚、2日分の下着に過ぎなかったというのに。知性のもう一つの特質は、それが物理的なものではないということだ。
私はチップを渡すと、遠くからマーティンの声が聞こえた。

「ペトロ、こっちだよ。庭にいるから、来てくれ。」

私は笑顔を無理に作り、うなずいてからダッフルバッグを掲げた。

「シャワーを浴びて、着替えてからすぐに行くよ。」

「わかった、ワインを一杯残しておくよ。急いでおいで。サムが30分ほどで夕食を出すからね。」

ワイン、それはマーティンが何よりも愛しているものだ。それと、もしかしたら葉巻も。その他のすべては、ワインと葉巻への情熱を支えるための手段に過ぎない。まったくもって無駄だ。

私はシャワーの話を嘘でごまかした。ただ、コペルニクスに接続して、知的な会話をしたかっただけだ。私がこれから向かうのは、無知と自己愛の潮だまりの中を行ったり来たりする戯言だということを知っていた。そんな話を長時間聞くのは耐えられない。

客室へと続く階段を上がる途中で、赤いベルベットの靴が目に入った。女性用の靴だった。それはロベルタのサイズではなかった。もっと小柄な人用だ。少女の靴だろうか?靴は階段の上に置かれていて、まるで持ち主が靴を履いたまま階段を見下ろし、そこから裸足で降りていったように見えた。

誰がそんなことをするだろう?きっと誰かゲストがいるに違いない。そんなの嫌だ。私はマーティンだけで十分なのに。彼らはいつもグルーピーみたいな連中を引き連れている。

ああ、グルーピーなんて大嫌いだ。彼らはみんな迷える魂だ。靴を脱ぎ捨て、そこに放り出していくなんて、間違いなく迷える魂のすることだろう。たぶん、世界を救おうとする、あの哀れなベジタリアンの連中に違いない。

気持ち悪い!

私には少しコペルニクスと向き合う時間が必要だった。



第8章に続く


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(Linp&Ruru)本当の自分を知り、本当の自分として生きる
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