2023 年に詠んだ短歌

二〇二三年に詠んだ短歌の纏めです。しばらく俳句を中心に詠んできて忘れていた短歌の韻律を、ようやくすこしずつ思い出せてきたかなというかんじ。

「推し短歌」に応募した歌は省いているので、以下をご参照ください。

また、俳句については立春以降に纏める予定です。

近江より若狭に入りたるを知るとびだし坊やなき峠道

沈黙を今宵は選ぶきみはけしてぼくからぼくを奪わないから

この脚は痛みを帯びて颱風の居る島々と繋がっている

救急車絶妙なタイミングだねと笑いあう不謹慎な二人
接触の悪きレンジの扉閉めわれ旅路よりいま帰りたり

四番目に好きなあなたの声だからこんな闇夜を癒やしてくれる

サヨナラが染み込むまでのあとすこしこの汗を身に纏っておこう

明日まで爪を切らないことだけが諦めることへの抵抗で
つい口を滑らすほどにゃ酔えるけど忘れるほどにゃ酔えぬ今宵も

カーテンを閉めるあなたがいた朝の光を明日も思い出すため

真っ白な視界の中で流れ行く黄身わたしにはなにもできない

この時が永久なら幸せかもだけどそんなものにはなりたくはない
隙間より入り込んだる金蚉を放り出すだけ僕の生業

バイパスを片道九分深夜二時過ぎにニコチンの切れた脳味噌

初雪に乾いた空気すこしだけ湿らすきみとギターの声で

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