妊娠中の母親と新生児の両方に乳児型ビフィズス菌を補充することが乳児の免疫力向上に役立つ
本日は、妊娠中の母親と新生児の両方に乳児型ビフィズス菌を補充することが乳児の免疫力向上に役立つ、という発表がありましたのでご紹介いたします。
▶論文概要
生後1000日は免疫の発達に重要な時期であり、新生児の腸内細菌叢の大規模な初期コロニー形成が行われる重要な時期である。
乳児型のビフィズス菌の補充は、母乳栄養児であっても、免疫介在性障害を回避するための有望な戦略であることが強調される。
乳児型ビフィズス菌は、病原性感染に対する重要な短期的防御を確立することによって新生児免疫を高めるだけでなく、長期的には代謝的および免疫学的な利益をもたらすと考えられている。
腸内細菌叢は修正可能であることを考えると、幼少期にその構成を最適化することは、免疫介在性疾患を治療するためのアプローチとして可能性があるのかもしれない。
また、妊娠中の母親と幼少期の新生児の両方に乳児型ビフィズス菌を補充することが、乳児の免疫力向上に役立つ可能性が示唆された。
▶論文情報
Intestinal ‘Infant-Type’ Bifidobacteria Mediate Immune System Development in the First 1000 Days of Life
(中国)
Nutrients 2022, 14(7), 1498
発行日:2022年4月2日
今回ご紹介する論文で最もお伝えしたい点は、新生児だけでなく、妊娠中のお母さんが乳児型のビフィズス菌(新生児に特有のビフィズス菌)を摂取することで、生まれてくる赤ちゃんの免疫力がより高まる、というところです。
実際に、以下の論文では、森永乳業株式会社のM-16Vというビフィズス菌を使った試験で、「妊婦のB.breve M-16V摂取は大気汚染曝露によって助長される子のアレルギー反応を予防・緩和する」
PLoS One. 2020 Sep 11;0238923.
という報告もあります。
このように、妊娠中からのビフィズス菌摂取、それも乳児型のビフィズス菌を摂取することが生まれてくる子供の将来にまでよい影響を及ぼす可能性があるという考え方は、もっと広く知っていただければと思います。
先週ピックアップした論文はこちら👇
ぜひこちらもご覧になってください。
◆2022年 4月15日 【妊婦・産後】
【Review】乳児型ビフィズス菌の投与が腸内微生物の生態系を修正し、免疫介在性疾患の進行防止に役立つ
◆2022年 4月14日 【小児】
グルテンの摂取と炎症は、リスクの高い子どもたちのセリアック病の発症に影響する
◆2022年 4月13日 【スキンケア】
【in vivo】カプサイシンは皮膚科領域における皮膚老化防止剤として応用できる可能性が高い
◆2022年 4月12日 【新型コロナウイルス】
喫煙者はCOVID-19mRNAワクチン接種後の抗体価が低くなる可能性
◆2022年 4月11日 【脳機能】
高齢者における食事性AGEレベルの高さは、より速い認知機能の低下と関連していた
この頃、温度差が大きくて、なかなか体調が整わない日が続いています。近くの同志社大学では、新入生が大勢歩いて、昨年のオンライン授業とはちがって、みんなの表情が楽しそうで、本来の風景が戻ってきたなと、思います。慣れない一人暮らしの方もたくさんおられるとは思いますが、しっかり食べて、しっかり寝て、4年間たっぷり京都の生活を楽しんでください!
とはいえ、新歓コンパはほどほどに。