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【Oral care-4】歯周病と肥満はお互いに悪影響を及ぼしあう

オーラルケアシリーズの第4回目です。
今回は歯周病と肥満が炎症を介してお互いに悪影響を及ぼしあう、という九州大学から発表されたレビューをご紹介いたします。

▶論文タイトル
「The Link Between Periodontal Inflammation and Obesity」
▶論文情報
Curr Oral Health Rep. 2021 Oct 1;1-8.
発行日:2021年10月1日
▶概要
歯周病菌であるPorphyromonas gingivalisを投与すると、食事誘発性肥満マウスの体重がさらに増加し、脂肪組織が増加することが示されている。
また、Porphyromonas gingivalisによるエンドトキシン血症は、マウスの褐色脂肪組織の内分泌機能を変化させることで、肥満に影響を与える可能性があることが報告されている。
いくつかのコホート研究では、肥満は5年後の歯の喪失と関連し、肥満の人の歯周病状態は非肥満の人に比べて治療後2および6ヵ月後に有意に悪化することが示されている。
また、肥満度は歯周病の炎症の指標である歯周病炎症表面積指数と正の相関があることも報告されている。
これらの結果は、肥満による炎症の亢進だけでなく、炎症性シグナルの活性化がエネルギー調節に影響を与えている可能性を示唆している。
肥満と歯周炎の組み合わせは、脂肪組織を介して全身に影響を与えるレベルまで炎症を増幅し、肥満は更に歯周炎の悪化を加速させる
歯周病とエネルギー代謝障害との関連をさらに理解することで、両方の疾患に対する新しくより効果的な治療戦略につながることが期待される。
したがって、歯周炎を改善し、体重を制御することは、健康と将来の生活の維持に大きく貢献することができると考えられる。

このように、歯周病は肥満を更に亢進させ、また炎症を惹起し、さらに歯周病を悪化させるという恐ろしい悪循環が生じる、という報告でした。

別の報告では、肥満の妊婦(BMI ≥30 kg/m2)は、妊娠中(T1)と出産後(T2)で歯周炎の有病率が高く(p<0.001)、T1では唾液中のTNF-α(p=0.003)とIL-1β(p=0.009)の濃度が高いこと、また出生時の体重が低く(p=0.022)、低体重(2,500g未満)または体重不足(2,500~2,999g)に分類された子どもがいた、ということです。
Placenta. 2021 Sep 25;115:151-157. 

これまでもお伝えしているように、歯周病は妊娠出産時には特に注意が必要で早めに治療することが重要であり、また本日お伝えしたようにメタボとも密接につながっているころから、歯周病を早期に治療し体重を増やさないことが自分の健康とともに家族の健康にも貢献できる、ということを多くの方に知っていただければと願っています。


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