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ダンボールの机と布団代わりの寝袋。それでも憧れの吉祥寺

大切な3人の友人を巻き込んでスタートした『株式会社LinkStory』。
会社設立とほぼ同時期、運よく舞い込んだ『株式会社旺文社』とのお仕事。

その東京本社の広告マネージャーがこぼした
「東京に支社があったらもっと仕事がしやすいんだけどね」
の一言をきっかけに始まった、東京でのオフィス探し。

予定外ではありましたが、一人暮らしの下宿先を探すかのようにワクワクしていた、あの頃…。

もはや宿命なのか?ハプニング続出だった僕・宮下の「ワクワク(ハラハラ?)上京物語」を今回はお届けします。

都会の洗礼は突然に?紹介してもらった不動産屋が、まさかの…

東京オフィスを探すに当たって最初に検討したのが、「ザ・会社」的なオフィスビルの一室。
ところがこれが、めちゃくちゃ高い!
保証金だけで家賃6か月分が必要なうえ、そもそも実績がないと借りられないとわかり即刻断念。「それならワンルームでもいいや」と路線を変更しました。

気を取り直し、まず目星をつけたのが「渋谷」。
東京のIT交流会で知り合った人に紹介してもらった不動産屋に、おすすめの物件を3件ほど、見せてもらったのですが…

これがまた、高い。
いや、月10万円くらいだったので今思えば安いんですが、当時はとにかくお金がなかったので

(10万か…)

と決めきれずにいたんですね。

そんな中、車を運転していた不動産屋に「どうしますか?」と聞かれたため「ちょっと考えます」と僕…。

すると不動産屋は
「あ、そうですか」
と言ったかと思えば、いきなり車を飛ばしはじめ、渋谷駅の辺りで

「はいどうぞ!ここで降りてください!」

とまさかの強制下車!

一瞬、何が起こったのかわからず「???」で頭がいっぱいになりつつ
「おーこわー、東京やべぇ」
と、東京の洗礼?を受けた気になったものでした。
※東京の不動産屋すべてがこのような対応だという意味ではありませんので!悪しからず

いくつもの珍物件を乗り越え、たどり着いた「吉祥寺」

その後は自分たちで探すことに。
「良さそうかな」と思うエリアの駅近にある不動産屋を調べ、実際に足を運んだり、いろいろな物件を見せてもらったりしました。

候補に挙がった駅名は10以上!
渋谷駅に近く、ドラマ『東京ラブストーリー』のロケ地にもなっている「神泉」を皮切りに、東京(浜松町)、品川、中野、代々木公園、明治神宮前、阿佐ヶ谷、高円寺etc…
東京駅から乗り継ぎなしJR一本で行ける【中央線沿いの駅】を中心に、旺文社の最寄り駅「神楽坂」も候補に。

仲間3人のうちの1人が東京在住だったため、彼の助言も参考にしつつ、候補エリアを広げながら物件を吟味していきました。

実際に見学した中では、「ありえへんでしょ!」な物件にも多数遭遇。

たとえば扉を開けた瞬間、玄関が虫の死骸だらけで「ひっ!」となった

★    虫の死骸大量物件

不動産屋も
「うわっ!…これはないですよね…」
と開けた扉をそっと閉じ、何とも微妙な空気が流れました。

もうひとつ、印象に残っている珍物件が

★    足の裏びしょびしょ物件

内覧中、気付けば足の裏がびしょびしょになるほど濡れていたのでそのことを不動産屋に伝えたところ、
「地下なので湿気が多くて。実はなかなか決まらないんですよね…ハハハ」と一言。
『いや、これはないでしょ!』と内心、激しくツッコんだものです。

*****

さまざまな物件に出合う中、僕がどうしても譲れなかった第一条件が「値段」。

とにかくお金がなかったので、駅から遠くても、日当たりが悪くても「安けりゃいい!」と考えていました(だから珍物件に遭遇しやすかったのかもしれません…汗)。

そしてもう一つ、こだわっていたのが「イメージ」です。

・    コリアンタウンのイメージが強い「新大久保」
・    おばあちゃんの原宿とも呼ばれる「巣鴨」
・    風俗街のイメージの「大塚」 etc…
※田舎者のイメージなので、実際はどの街も素敵でしたよ。

「東京オフィスが“その場所”にあるとなったら、逆に会社のイメージが悪くなりかねない」と、東京の不動産屋に勤める友人に言われたエリアは避けるようにしました。

要するに

【お金はないけど、見栄は張りたい】

というのが正直な気持ちで。

加えて当時、東京への主要アクセス手段だった夜行バスの到着地である「品川」「新宿」、そして旺文社の最寄りの「神楽坂」へのアクセスにも考慮した結果、たどり着いた東京オフィス候補エリアが「吉祥寺」でした。

最終的には「安さ」より「モチベーション」重視で物件を決定

「吉祥寺」は駅近にこだわらなければ意外と安く、また「神楽坂」まで乗り継ぎなしでアクセスが可能。僕の希望条件を満たす、ぴったりのエリアでした。

さらに拍車をかけたのが、井の頭公園の存在。
岐阜の田舎から出ていくので「自然がほしい」というのが密かな希望だったのですが、いざ現地を訪れてみたら「めっちゃいい公園!最高!」とテンション急上昇。
おしゃれな街の雰囲気も相まって、すっかり気に入ってしまったのです。

井の頭公園

そんな吉祥寺にて。
オフィス候補物件を2つにまで絞り込んだところで、仲間3人を招集。
最終決定するべく、4人全員で物件を見に行きました。

いずれの物件も、吉祥寺駅からは徒歩15~20分程度。
築年数は古いけれど広めで「安い物件」と、おしゃれできれいだけど「少し高い物件」の2つでした。

僕としてはどちらにも決めきれない、そんな状態でしたが、吉祥寺駅に降り立ち、物件に到着する前の段階で、後者物件が優勢ムードに。
というのも、物件へと続く道中にあった商店街『ハーモニカ横丁』や雑貨屋がひしめくおしゃれストリートに、3人みな、目をキラキラと輝かせたのです。

「何これ吉祥寺!オフィス行くまでの道めちゃくちゃおしゃれじゃん!」
「みんなでいっぱいランチできんじゃん」
「超たのしー!」

とまぁ、テンション爆上がり。

ハーモニカ横丁

商店街が途切れ、少しさびれてきたところにオフィス登場!なんて展開にもまんまと乗せられ(笑)、ちょっとお高い物件で満場一致。
僕自身「モチベーション大事」と思っていたので、一切の不満もなく、契約に踏み切ったのでした。

ちなみに…
「リアルにいくらだったかな?」と調べてみたら、お家賃なんと5万5,000円(1ルーム5.5畳。簡易のキッチン&ユニットバス付)。
思った以上に安すぎて、他ならぬ自分が今、目を疑うほどです(驚)
この家賃+光熱費を、毎月4人で割り勘をして出し合っていました。(一応、宮下が少し多めに出していました(笑))
当時の「お金のなさ」がひしひしと伝わってきますね…。

憧れの東京オフィス。自分たちのアジト。すべてが楽しく、かけがえのない記憶

旺文社・東京本社の広告マネージャーがこぼした
「東京オフィスがあれば…」
から約半年後の2014年11月末。
晴れて吉祥寺に東京オフィスを構えた僕たち。

お金がないので、デスクはダンボールで代用。
ダンボールの上に置いたパソコンで、旺文社のバナー等を制作していました。
泊まり込む際には寝袋にくるまって眠り…。
傍から見れば、間違いなく「極貧オフィス」だったでしょう。

ダンボールの机でパーティ

お風呂も狭かったので近所の銭湯を頼りにするも、湯が激アツで入れば体が真っ赤っ赤。
出勤ラッシュ時には改札が大混雑、オフィスまで30分かかってしまうこともざらで。
「こんなはずじゃなかった…」
な思いも散々しましたが、それでも僕たちにとっては【憧れの東京オフィス】。

東京に自分たちのアジトができた「事実」は、僕たちを否応なしにワクワクさせてしまう、そんなインパクトがあったように思います。

東京オフィス開設後は少しずつ仕事が増え、お金もできたので、デスクやイス、ソファなどを揃えるべく4人でIKEAへ。
秋葉原でモニター2台も購入し、次第にオフィスがオフィスらしく整っていくのも感慨深かったです(パソコンを揃えるお金はなく、みんな自前でしたが)。

東京オフィス 狭!

ほかにも『ハーモニカ横丁』で飲んだくれたり、4人で壮大な夢を語り合ったり…。

極貧オフィス話がかすんで見える(どころか一種のスパイスにすら感じられる)ほど、吉祥寺で過ごした日々は

「最高に楽しかった!」

ただこの一言に尽きます。
昔も今も変わらず、かけがえのない記憶の一つです。

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