数珠玉。
数珠玉(ジュズダマ)。
てっぺんに白、灰、茶黒の玉がついている。
ツルツル、テカテカと光沢のある玉(実)をお数珠のように糸でつないで遊んだ(過去形)のが名前の由来だそう。実際に仏事で使う数珠を作るのに使ったと書かれている辞典もあり。(まあ、諸説あり)
小学校登校のショートカットコースは竹藪や田んぼのあぜ道だった。
田が黄金色になり稲穂が垂れはじめる初秋、あぜ道には赤い炎が燃えるように彼岸花の花がつらなって咲いていた。
チリチリと彼岸花の花が燃え散りはじめた頃と同時期に数珠玉の実がつき、そこにそれらの生えていたことにようやく気づく。
オトコのコの多くが背丈の長くしなる植物をみつけると引っこ抜いてムチのようにしゅっしゅっと飽きることなく振り回しながら歩いていたが、こいつはあまり引っこ抜かれたのを見たことがなかった。茎が固く、粋にしゅっと抜けない上に葉も多いので扱いにくかったのかも知れない。
ぼくはそれをジュッダマと呼んでいた。
秋がもう少し深くなった頃、母に頼まれて焦げ茶や黒くなったこの実をたくさん採取していた。
母がコレを中身にしてお手玉を作ってくれた。
そういえば母はお手玉のことを「おじゃみ」と呼んでいた。宮崎ではそう呼んでいたらしい。
ボクは日本古来のジャグリング、このお手玉遊びが下手くそで、何度やっても、がっしゃがっしゃと地面に落としていた。
上手な母のその手さばきをうらやましく思いつつ、チャッチャ、チャッチャ、チャッチャ
とリズミカルに刻まれる音を聞くのが好きだった。
かあさん!じゅっだま、取ってきたよ!!
秋の思い出、30年近く思い出すこともなかった思い出を浮かべる、秋。