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第二創業のつもりでビジネスモデルの転換を

みなさん、こんにちは!
社長の大学主宰、株式会社リンケージM.Iコンサルティングの長谷川博之(はせがわ・ひろゆき)です。
一旦は、新型コロナウイルルの感染拡大が収まりかけましたが、緊急事態宣
言が解除され、県をまたぐ移動が緩和されたことで、わずか1ヶ月半で東京
の感染者は過去最多となり、地方にも飛び火しています。
そうこうしているうちに、新型コロナウイルスで急減した消費を喚起する
「Go To トラベル」がスタートします(7月15日現在)。
メディアでは開始時期に関しては疑問視する声が多く、都道府県知事や市町
村長の中には感染拡大に繋がるとあからさまに政府を批判しているところも
出てきました。このような現状を踏まえつつ、新型コロナウイルスの収束に
は、まだまだ時間がかかりそうです。
そこで、コロナ禍に対応できる強い経営を目指すために、「第二創業のつも
りでビジネスモデルの転換を」をお伝えいたします。
遅かれ早かれ、ビジネスモデルの転換は経営者がブチ当たる壁です…。


なぜビジネスモデルの転換が必要なのか?

今年の前半は新型コロナウイルス一色で、かつてないほど経済が停滞しまし
た。
また、感染することの恐怖感をこれほどまでに抱いたのも初めて経験するこ
とでした。インフルエンザの比ではありません…。
2020年4月、レッドフォックス株式会社が「企業で働く人の行動データ
を分析し、コロナウイルス環境下でも好調な営業活動をしている企業」を調
査しました。
これによると
============================
●業績にマイナスの影響がある 80.3%
●業績に影響はない       9.0%
●業績にプラスの影響がある   2.1%
●わからない          8.6%
=============================
という調査結果となりました。
つまり、8割の企業で業績にマイナスの影響があったということです。
そして、業種別にみると圧倒的に、「飲食業」「観光業」がマイナスの影響
がありました。
また、象徴的だったのは、大手旅行代理店「エイチ・アイ・エス(HI
S)」が6月に行った決算会見で代表取締役の澤田秀雄さんが、コスト削減
の一環として国内の店舗数を今後1年間で、現在の258舗の3分の1にあ
たる80店舗~90店舗を閉める方針を示したことです。
閉店の計画はコロナ以前から計画していたこととはいえ、「店舗の時代は半
分終わった」と強調しました。
不足分はオンライン販売の強化で補っていく方針で、本社にはDX(デジタ
ルトランスフォーメーション)推進本部を設置して、ウェブやテクノロジー
を活用した新しい旅行のビジネスモデルを構築していく予定です。
楽天トラベルなど、旅のネット予約が当たり前になり、店舗に来店して旅の予約や相談をする人は激減しています。
これが現実なのです。
私も10年以上、旅行代理店を利用したことがありません。大手企業も真剣
にビジネスモデルの再構築を考えている時代なのです。
なぜ、ビジネスモデルの転換が必要なのかといえば、「少子化による人口減
少」「ネットショップの台頭」「エネルギー問題」「働き方の変化」「消費
行動の変化」などに加えて、「AI化」「ロボット化」「5G」「無人店
舗」「キャッシュレス決済」などの最新のテクノロジーが加わります。
これにより、戦後から続く旧態依然としたビジネスモデルが通用しなくなっ
てきたのです。
そして、とどめとなったのが、新型コロナウイルスの感染拡大です…。

もう耐えきれない…このビジネスモデルでは?

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新型コロナウイルスの感染拡大で、ビジネスモデルが崩壊してしまった業界があります。
その代表的なものが、「飲食店」です。
飲食店のビジネスモデルは、店舗に来店してもらい、店内で食事をしてもらうことで成り立っていたビジネスモデルです。
儲かるか儲からないかは、料理や飲み物の原価率にもよりますが、それより
も席数の稼働率と回転率です。
たとえば、席数が50の飲食店があったとします。
毎日、50席が2回転すれば100席ということになり、客単価が5000
円であれば売上は50万円ということになります。
ここから、材料費を引けば粗利益になります。
ですから、粗利益は材料費にどれだけかけているかによります。
ですが、これは満席になって2回転するという机上の空論ですから、実際に
はこの通りにはいきません。
ところが、新型コロナウイルスの影響でソーシャルディスタンスという考え
方が重要視されるようになりました。
感染防止のために、隣の人とは社会的な距離をしっかり取りましょうという
ことです。
こうなると、飲食店はどうなるかといえば、席数は50ありますが、ソーシ
ャルディスタンスを考慮して顧客同士の距離を保たなければいけません。
その結果、席数は15程度になってしまいます。
3分の1以下の席数です。
毎日、15席が2回転しても30席です。客単価は変わらず5000円だとすれば、売上は15万円です。
家賃、光熱費などの固定費は、売上が上がろうが下ろうが変わりありません。人件費は、労働時間を減らしたり、人数を減らせば下がります…。
ここで注目すべきは、そもそも50席あるお店なのに、わずか15席を2回転しただけでは、採算が合うようにはできていないということです。
つまり、ビジネスモデルの崩壊ということです。
さらに、「三密」を避けるために「マスク」「消毒液」「換気システム」「空気清浄機」など、感染防止のためにコストがかかります。
そこで、飲食店がこぞって始めたのが、「テイクアウト」や「デリバリー」です。
そもそも、飲食店はお弁当を製造したり、総菜を製造するのが仕事ではないので、大量に製造できる設備があるわけではありません。
ですから、1食500~800円のお弁当を、毎日100食程度人海戦術で作って、店頭で販売する程度です。
店内での飲食に比べれば、お弁当の利益など微々たるものです。
恐らく週5日間、弁当販売を行ったところで、1ヶ月の家賃にもならないような気がします。
そう考えると、やりきれなくなりますが。
これが現実なのです。
やらないより、やった方がいいという程度です。

まだまだありますビジネスモデル崩壊の業界!

飲食店に似ているビジネスモデルとして、「ライブハウス」「舞台」「スポーツ観戦」などがあります。
これらも、ソーシャルディスタンスの視点から、会場のキャパいっぱいに顧客を入れるわけにはいきません。
7月10日から、Jリーグやプロ野球でも観客を入れての試合が始まりました。観客の上限は5000人です。
参考までに7月11日、ほっともっとフィールド神戸スタジアムで開催された、巨人対ヤクルトの観客数は4503人でした。
スタジアムのキャパは3万5000人ですから、7分の1以下の観客で開催されたということです。
規定により、観客は5000人以下でしか開催できませんので、4503人という入場者数なのでしょうが、これが続くと球団経営のビジネスモデルも崩壊してしまいます。
どう考えても、球場に7分の1以下の観客しか入れない状況で採算が合うとは思えません。
もちろん、グッズ販売で多少は補うことはできますが…。

世界に目を向けると、あの有名企業も大量閉店を!

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日本でもすっかり有名になった「ZARA(ザラ)」の親会社であるスペインのインディテックスが、今年から2021年にかけて1200店舗を閉店すると発表しました。
インディテックスといえば、H&M、ファーストリテイリング、ギャップを加えた4大SPAの中でも売上高は3兆円を超える世界最大のファッション小売業です。
リアル店舗の大量閉店には驚きましたが、新型コロナウイルスの感染拡大の最中だったので閉店の理由はコロナかと思いきや…、実はこれまでの経営方針をさらに加速させた既定路線だったのです。
インディテックス目指しているのは、「店舗とオンラインストアの完全な統合」です。
デジタル時代にマッチした未来の店舗のあり方を模索し、6年前から店舗ネットワークの再編に着手していました。
ネットで注文して店舗で受け取る「クリック&コレクト」や、店舗での返品などのサービス機能を加えた、広い面積を持つ大型旗艦を一等地に構える戦略を打ち出していました。
また、複数あった小型店を集約することで、在庫を効率化して、人員とオペレーションも効率化していました。
今回の新型コロナウイルスによって、既定路線が加速した程度のことで、6年も前からビジネスモデルの転換を目指していたのです。
参考までに、インディテックスの売上は3兆3111億円で、そのうちEC売上は4563億円と、売上の約14%がネットでの売上です。
一方、ファーストリテイリングの売上は2兆2905億円で、そのうちEC売上は2583億円と、売上の約11%がネットでの売上です。
これよりもダイナミックな経営戦略の転換をしたのが、電気自動車メーカー「テスラ」です。
テスラは昨年2月、主力車「モデル3」の廉価版をアメリカで発売したのに合わせ、オンライン販売への全面移行を表明しました。
テスラはアメリカだけで、約130の店舗を直営で運営しています。
そのほか、中国、欧州、日本など約30の国と地域にも販売拠点を構えています。
テスラはこれらのすべての地域で、段階的に店舗でのセールス活動をやめて、オンラインでの販売に切り替える方針を発表しています。
人通りの多い場所に立地する一部の店舗は、販売機能を持たないギャラリーとして残しますが、それ以外の店舗は閉鎖する見込みです。
この大胆ともいえる戦略の背景には、コストの削減があります。
当初、テスラは高級ブランドとしてスタートしましたが、大衆車を含めてラインナップする自動車メーカーへの脱皮を目指し、2016年にモデル
3の予約を始めました。
一番安いグレードを3万5000ドルにする計画を示して予約客を集めていましたが、投資回収を優先し中高級グレードの車両しか納車してきませんでした…。
モデル3の価格が高止まりしている状況に、CEOのイーロン・マスクは、「まだほとんどの人々にとって高価過ぎる」と不満を漏らしていました。
テスラではオンライン販売への移行と、ほかのコスト削減策を組み合わせることで、テスラ車の平均価格を約6%下げることができると見込んでいます。

アーチストたちに希望の光を与えたライブ配信!

前述した「ライブハウス」「舞台」「スポーツ観戦」などを活躍の場しているアーチスト、俳優、スポーツ選手たちは、行き場を失ったかにみえましたが、やはり画期的なことをやる革命児が登場しました。
それは、サザンオールスターズです。デビューして42年になるそうですが、42回目のデビュー記念日となる6月25日、横浜アリーナでサザン初となる無観客配信ライブを行いました。
このライブは、8つの動画配信サービスを通じて有料配信され、1人3600円のチケットを約18万人が購入しました。そして、総視聴者数は推定約50万人以上にものぼったというから驚きです。
3600円のチケットを18万人が購入すると、6億4800万円になります。これが売上です。
かかったコストは、横浜アリーナのレンタル料金が、設営、当日、撤去の3日間で900万円です。
そのほか、照明、音響、動画配信、チケット販売のプレイガイドなどの手数料がコストに含まれます。
また、当日のスタッフは約400人ということです。
リアルライブであれば、大量の警備スタッフも必要ですので、随分コストのかからないライブになったと思います。
また、リアルライブに比べてチケット販売数が一桁違いますから、1回のライブとしては売上の新記録だと思います。
今後は、リアルライブとオンラインライブの併用が主流になると思われます。
これは、ドームなどの大規模会場だけでなく、小さなライブハウスでも同じ流れになるでしょう。
どう考えてもリアルライブでは先程紹介した飲食店同様、ソーシャルディスタンスを考慮しなくてはいけません。
そうなると、100人のキャパのライブハウスでも、25~30人程度しか入場できなくなります。これでは、採算が合いません。
そこで、オンラインでライブを配信するのです。
そうすることにより、リアルライブで減った観客をカバーすることが可能です。
また、オンラインライブならば、遠方のファンでも気軽に参加できることから、リアルライブだけよりも大幅に観客数が増えることが期待できます。
オンラインのメリットはこれです。
商圏がなくなるということは、日本の裏側にあるアルゼンチンからもオンラインライブを視聴できるということです!
世界と繋がることができる放送局を手に入れたようなものです。
オンラインライブが浸透すればするほど、リアルライブは貴重になります。ここで考えられるのは、リアルライブの入場料をウンと高額にできるということです。
キャパ100人の会場に、わずか25人だけ観客を入れて行われるライブは非常にレア感があるからです。
これは音楽業界だけでなく、舞台業界やスポーツ業界でも同じ動きが起こるでしょう。

オンライン化でコロナに勝った業界がある!

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今年の2月終わり頃から、セミナー業界はにわかに活気づいてきました。
その理由は、「オンラインセミナー」なるものに、活路を見出した人たちが現れたからです。
新型コロナウイルスの影響で、セミナー業界や研修業界は壊滅状態でした。
まさに、三密の場を作る代表的なようなものだからです。
ところが、ZOOMを使った「オンラインセミナー」なるものが登場しました。
ZOOMとは、本誌6月号の特集で紹介しましたが、ビデオ通話ができるシステムです。
これを使えば、セミナーを簡単に開催することができるのです。
参加人数は数百人でもOKです。
リアルセミナーであれば、会場を借りて、会場の設営をして、資料を人数分コピーして、受付で参加費の授受をして、セミナーが終われば懇親会というのが常識的に行われていました。
また、告知期間や集客のことを考えると、開催日の2ヶ月前くらいから計画しないと間に合いません。
もちろん、会場費をはじめとしたコストもかかります。
当日は、会場に行くまでの交通費と移動時間がコストとして加算されます。
ところがオンラインセミナーの場合、10人程度の参加者を集客するのであれば、コストはほとんどかかりませんし、準備期間も2週間もあればできます。
さらに、リアルセミナーとオンラインセミナーを比較すると、集客で1.3倍~2倍程度オンラインセミナーの方が参加者が集まります。
弊社で5月に開催したオンラインセミナーは、定員10名のところ2日で12名集まりました。
告知は、メールマガジンを2回発行しただけです。
それ以外、何も行っていません。
また、セミナーで使ったポワーポイントの資料は、セミナー終了後、メールで送りました。
もし、このセミナーをリアルで行おうとすると、どれだけのコストと時間がかかったでしょうか。考えるとぞっとします。
このように、セミナーや研修業界は、オンライン化することによって、リアルよりも多くの参加者を集客する人が多発しました。
これもライブと同じく、新型コロナウイルスが落ち着いたら、リアルセミナーとオンラインセミナーの同時開催でやるのが賢明です。
もちろん、リアルセミナーは少人数で高額にします。
オンラインセミナーは、何人でも参加できるようにしておき、低額に設定します。
また、セミナーや研修のカリキュラムを連続講座化して、動画で撮影したものを販売するビジネスモデルも登場しました。
これは、集客と課金システムをしっかりと構築すれば、ほぼ自動で売上を構築することができます。
たとえば、「年収3千万円稼げるコンサルタント養成講座」という動画講座を作成して、動画をネット上にアップします。もちろん、IDとパスワードをかけて、購入者のみ閲覧することができるようにします。
動画閲覧とZOOMを使った2回程度のコンサルティングをパッケージにしてもいいでしょう。
今後は、リアルビジネスを展開している企業がオンラインを併用して、相乗効果を狙うようなビジネスモデルがグングン加速してくるでしょう。ビジネスのハイブリッド化ですね。
新型コロナウイルスで学んだことは、リアルだけでもリスキーだし、オンラインだけでもリスキーだということです。リアルとオンラインを融合したハイブリッド型ビジネスモデルが収益を最大化できますし、リスクを最小限に抑えることも可能です。
やはり、収益のチャネルはいくつかあった方が無難です。ひとつというのは、大変危険だということがわかったと思います。

新型コロナウイルスを乗り越えた地方の強者たち!

広島県でリフォーム事業を展開する「マエダハウジング」の取り組みは特筆すべきものがあります。
まず、新型コロナウイルス感染拡大の中で始めたのがオンライン営業です。コロナ以前から行っていたリフォームやリノベーション関係のセミナーは、すべてZOOMを使ったオンラインに切り替えました。
また、リフォーム相談などもオンラインの個別相談を導入して、設備のカタログや図面をお客様と共有して商談を進めたそうです。
そして、注目すべきはLINEを使った見積りサービスです。これは、リフォームや修理したい箇所の画像を送れば、最短30分で概算見積りをするという画期的なサービスです。
オンラインでも、より精度の高い見積りをするために、「現場の計測方法」に関するマニュアル動画も作成しました。お客様がこの動画を見て正しい計測をすれば、1万円のクーポン券をプレゼントしました。
さらに、YouTubeチェンネルにアップしている動画も充実しています。
若手スタッフが、お風呂やトイレなどの設備機器をじっくりと時間をかけて丁寧に紹介しています。
動画の最後は、設備機器を大幅割引した価格に工事費をプラスしたパッケージ価格で訴求しています。
ジャパネットたかたのテレビショッピングまではいきませんが、地方のリフォーム会社がここまでできることに驚きを覚えました。
また、新築の紹介はベテランの営業パーソンが一部屋、一部屋、じっくりと紹介しています。
この動画を見ているとモデルハウスに行かなくても大よそのイメージがつかめる反面、本物を見てみたいという欲求にかられます。
「新築の動画を見る→問い合わせする→新築の相談をする→商談」という流れを作れる予感がします。
住宅関係意外の経営者も、ぜひマエダハウジングのホームページをご覧ください。
住宅業界で、新型コロナウイルスをものともしなかった工務店があります。それが、横須賀市にあるサンエーです。
ここは、2017年から無人のモデルハウスに取り組んでいます。
20代~30代はモデルハウスに行くと営業攻勢をかけられるのを嫌がっています。
ならば、営業はせずにゆっくり見学してもらおうという競合とは真逆の戦略です。
住宅の説明は、モデルハウスの各所にあるQRコードをスマホで読み取ると動画と音声で説明されます。
さらに、庭ではバーベキューや花火、食卓で家族団らんもできるというから驚きです。食材や花火は用意されています。
しかも、モデルハウスにいるのはお客様のみです。
サンエーの営業担当者はいません。
つまり、お客様は家族水入らずで、新築を持つ楽しさや喜びを味わえるということです。
参考までに、2人の営業パーソンで年間33棟も販売するそうです。

●電子見積もりや無人モデルハウス、在宅化で変わる中小住宅業の営業
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19nv/120500136/052700152/

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