粉ミルクへのウシ乳脂肪球膜添加による長期的な認知機能改善効果
乳児用調製粉乳に添加できる牛乳の複合成分が、子供の知能や実行機能の測定など、長期的な認知効果をもたらすようだ、という研究報告。
先行研究で研究者らは、ウシ乳脂肪球膜(MFGM)とラクトフェリンを添加した乳児用調製粉乳を与えられた乳児は、生後1年は神経発達検査で、また生後18か月の言語機能検査の一部でより高いスコアを示した。
今回の研究では、MFGMとラクトフェリンを添加した乳児用調製粉乳を乳児に12か月間与えたところ、5歳半の時点でIQが5ポイント上昇したことが示された。その効果は、子供たちの情報処理速度と視覚空間スキルのテストで最も顕著であった。ルールの学習と抑制を含む複雑なスキルである実行機能のテストにおける子供たちの成績にも、有意な差が見られた。
「あらゆる種類の哺乳類の乳には大きな脂肪球が含まれており、その脂肪球は人間の栄養と脳の発達にとって重要なさまざまな栄養素で構成される膜で囲まれています。牛乳ベースの乳児用調製粉乳が製造されるとき、通常、膜は加工中に除去されてしまうのです」と研究者はコメントしている。
膜はいくつかの異なる成分で構成されているため、成分の 1 つがこれらの利点に関与しているのか、それとも栄養素のパッケージ全体が一緒に作用して脳と行動の発達を改善するのかは不明である。
出典は『The Journal of Pediatrics』
http://dx.doi.org/10.1016/j.jpeds.2023.113483