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「完璧な」ゆで卵の作り方を解明
ゆで卵の黄身と白身の両方を最適に調理する新しい方法が発表された。研究者らが周期的調理と呼ぶこの手法により、従来のゆで方やスーヴィ―ド(低温調理法)で調理した殻付き卵よりも栄養価が高く、均一に調理された卵を作り出せるという。
鶏卵の黄身と白身は、2 つの異なる温度で調理される。卵白は 85℃で調理され、黄身は 65℃で調理される。従来の卵の調理法では、100℃で固ゆですると黄身が完全に固まるが、60℃から 70℃の温度で 1 時間湯煎調理する(スーヴィ―ド)と白身は十分に調理されなかった。
ペレグリノ・ムスト(Pellegrino Musto)氏らは、まず計算流体力学ソフトウェアで調理プロセスをシミュレートすることで、卵を均一に調理する方法を開発した。シミュレーションでは、100℃に保ったお湯の入ったフライパンと30℃に保ったボウルに卵を交互に置き、2分ごとに卵を一方から他方へ移し替え、合計32分間調理するという方法が提案された。
次に研究者らは、このプロセスを実際の場面で試して分析用の食品サンプルを生成し、「周期的調理」と名付けた。固ゆで卵、半熟卵、スーヴィ―ド卵も分析対象に含め、最終的に調理された卵の食感と官能特性を検査し、核磁気共鳴法と高解像度質量分析法を使用して化学的性質を評価した。
周期的調理された卵は、スーヴィ―ド卵に似た柔らかい黄身で、白身の硬さはスーヴィ―ド卵と半熟卵の中間くらいだった。周期的調理された卵の白身の温度は調理中 35℃から 100 ℃の範囲だったが、黄身は 67℃で一定に保たれた。化学分析により、周期的調理された卵の黄身には、健康上の利点が研究されている機能性成分であるポリフェノールも多く含まれていることが示唆された。
研究者らは、このアプローチが他の材料の硬化や結晶化にも応用できると考えているとのことである。
出典は『Communications Engineering』