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Essay: 果てしなき旅路

確かに五十年なんてあっという間なのである。

ついさっき、ゼナ・ヘンダースンの『果てしなき旅路』の茶色くなった頁をめくっていて、ふとデヴィッド・ボウイの「Oh! You Pretty Things」のワンフレーズが頭の中によみがえった。

両者のあいだにはなんのつながりもないので、最初はまったく気にも留めずに、ただiTunesでボウイの古いアルバムを探して、ヘッドホンで聴き始めたのだった。

それから、なんで最近ほとんど聴かなくなってしまったボウイなんだろうかと不思議に思い、少し考えてやっと、文庫を買った時期にボウイを聞いていたことに思い当たった。

本の奥付をみると昭和53年7月15日発行になっていて、ああ、やっぱり、と思った。「Oh! You Pretty Things」が収録されているボウイの『Hunky Dory』は1971年のアルバムだけれど、僕が初めて聴いたのは1975年で、それ以降お気に入りの一枚になって今に至っている。

でも、なんでよりによって「Oh! You Pretty Things」なんだろう、と思って歌詞をみた。なるほど、新世代の出現をSFチックに歌ったものだ、ということは、まさに≪ピープル・シリーズ≫にうってつけの歌だったわけである。

当時は歌詞のことなんて気にも留めなかったし、そもそも当時は歌詞の英語が聞き取れなかったのだが、50年後の今になって(ホントに今更だけど)両者が結びついたというわけなのだった。


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