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長い非コードRNA分子が腸管の食物移動に必須

血管に強度と柔軟性を与える、健康な平滑筋細胞に豊富に含まれる RNA の長い分子は、胃腸管を通して食物を移動させる継続的な収縮にも不可欠であるようだ、という米国オーガスタ大学ジョージア医科大学からの研究報告。

CARMNという、長い非コード RNA、つまりたんぱく質は生成しないが細胞活動の調節には役立つRNA、がなければ、長さ 30 フィート(9m)の消化管は正常に収縮できないのだという。

その結果、部分的に未消化の食物が閉じ込められ、痛みを伴う、さらには致命的な状況を引き起こす可能性がある、と主任研究者のジリアン・ジョウ博士は述べている。

「CARMNは、両方の場所での収縮性の重要な調節因子であり、それが最適に機能していない場合、私たちは最適に機能することはできません」

研究チームは、2021年に『Circulation』誌に、CARMNが、ヒトとマウスの両方の血管のヒト血管平滑筋細胞に一貫して豊富に存在する唯一の長い非コードRNAであると報告した。彼らはまた、アテローム性動脈硬化症のような血管疾患では、その存在が明らかに減少していることも発見した。血管疾患のマウスモデルでより正常なレベルを回復させると、血管内の瘢痕形成と不健康な細胞の増殖は劇的に減少した。

その研究中に、研究チームは、嚥下管、つまり食道、胃、腸を含む消化管の動きにおける CARMN の重要な役割に気づいたという。

ジョウ博士によれば、血液が血管を通る以上に、CARMNは実際に胃腸管において重要であると指摘している。というのは、血液は心臓の拍動によって動かされているからである。

「消化管平滑筋細胞の収縮機能不全の結果は、血管平滑筋細胞よりもはるかに深刻になるでしょう。それは彼らの一定の機能にとって非常に重要です」とジョウ博士は言う。「当たり前のことだと思っていますが、それができていない場合は問題があるのです。」

消化管の動きの不具合が問題を引き起こし、致命的になる可能性があることは明らかだが、この重要な動きを調節する平滑筋細胞を制御するものについての詳細は不明である、と研究チームは述べている。

研究チームは、胃腸管におけるこの予期せぬ役割を発見したとき、その結果を調べるためにCARMNを完全にノックアウトすることで、血管平滑筋細胞という主な関心を追求した。その結果、CARMNがなければ、胃腸管が必要に応じて収縮しなくなるため、100%の確率でマウスは生存できず、仮に生存できても腹部が膨満することを発見した。

研究者らは現在、偽腸閉塞を患っている人々の消化管細胞内のCARMNを調べて、発現が低下しているのか、それともその機能を変える変異があるのか​​を調べたいと考えている。

出典は『Gastroenterology

https://www.gastrojournal.org/article/S0016-5085(23)00583-8/fulltext


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