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PFASによる飲料水汚染と様々な希少がんとの関連研究
飲料水中の人工の「永遠の化学物質」のレベルと、特定の消化器、内分泌、呼吸器、口腔および喉のがんの発生率との間には関連性があるようだ、という研究報告。ペル/ポリフルオロアルキル物質(PFAS)として知られる化学物質で汚染された飲料水にさらされている地域では、特定のがんの発生率が最大33%高くなるという。
PFAS汚染ががんの発生とどのように関係しているかを理解するために、研究者らは2つの包括的なデータセットを比較した。1つは米国国立がん研究所の 「監視、疫学、最終結果プログラム」から取得された2016年から2021年までのがん症例を網羅したデータであり、もう1つは公共飲料水中のPFASレベル(2013〜2024年)に関する米国環境保護庁(EPA)の 「規制されていない汚染物質監視規則プログラム」から取得されたデータである。
研究者らは、がんリスクに影響を与える可能性のあるいくつかの要因を調整後、各郡のがん発生率と飲料水中のPFAS汚染を、EPAが推奨するPFASの種類ごとのカットオフ値を用いて比較した。
飲料水中のPFASの推奨最大レベルを超えた郡では、消化器、内分泌、呼吸器、口腔および咽頭がんの発生率が高かった。発生率の増加は、わずかに上昇した2%から大幅に上昇した33%(ペルフルオロブタンスルホン酸(PFBS)に関連する口腔および咽頭がんの発生率増加)までの範囲であった。
飲料水が汚染されている郡の男性は、汚染されていない水がある地域に住む男性に比べて、白血病、泌尿器系、脳、軟部組織のがんの発生率が高かった。女性は甲状腺、口、喉、軟部組織のがんの発生率が高かった。研究者らは、入手可能な最新の EPA データに基づき、飲料水の PFAS 汚染が年間 6,864 件のがん症例の原因になっていると推定している。
「PFAS ががんと関連していると聞いても、それがどう関係するのかは分かりません。PFAS に起因するがん症例の数を計算することで、影響を受ける人の数を推定することができます」と研究者はコメントしている。
出典は『Journal of Exposure Science and Environmental Epidemiology』