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早期死亡率を半減させるロードマップ
1970 年以来37 か国が、国民の 70 歳以前の死亡率を半減させた。これは、多くの国が病気の予防と治療において目覚ましい進歩を遂げたことを示す画期的な出来事である。新しい報告書(The Global Health 2050)は、早期死亡率を削減することを選択した国なら、戦争や貧困に苦しむ国であっても、この目標は達成不可能なものではないと主張している。
「ランセット健康投資委員会」が10月14日に発表したこの報告書は、2050年までに国民の早死にの可能性を半減させることを選択したすべての国に向けたロードマップを示している。委員会が「50 by 50」と呼ぶこの目標は、小児予防接種の拡大や、一般的な予防可能な死亡原因に対する低コストの予防と治療など、一連の対象を絞った健康投資と、新しい健康技術の開発への資金拡大を組み合わせることで達成可能であると報告書は主張している。
「今日、死亡率の削減に取り組むべき理由はかつてないほど高まっています」と報告書の執筆を主導したデューク大学のギャビン・ヤメイ(Gavin Yamey)医師は言う。「これは手の届く目標です。健康、福祉、経済に多大な利益をもたらすでしょう。『50 by 50』を達成すれば、死亡率と罹患率が下がり、経済成長を促し、貧困を軽減できるでしょう。」
「世界保健サミット」で発表された「The Global Health 2050」報告書は、各国が早期死亡の最も大きな原因となる15の健康状態を優先すべきだと主張している。これには、結核や呼吸器感染症などの感染症、糖尿病や心血管疾患などの非感染性疾患、事故や自殺などのその他の問題が含まれる。報告書によると、過去20年間の世界の平均寿命の伸びのほとんどは、これらの疾患による死亡率の低下によるものだという。
しかし、世界中で何百万人もの人々が、早死の原因となるこれらの病気から身を守る予防・治療サービスへのアクセスをまだ得られていない。著者らは、これらの15の病気に対処するための必須医薬品、診断、ワクチン、その他の介入の費用を公的に補助することで、各国は大きな利益を得ることができると述べている。この公的補助は、新たな医療技術を開発するための研究とイノベーションへの資金提供の拡大と組み合わせるべきだ、と著者らは主張している。
「50 by 50」の目標がすべての国で達成されれば、2050年に生まれた人が70歳までに死亡する確率は、2019年に生まれた人の31%からわずか15%に低下する。この基準に到達しそうな37カ国の中には、バングラデシュ、中国、イランなど世界で最も人口の多い7カ国が含まれている。
報告書は、このような成果が、高所得国、中所得国、低所得国のいずれにおいても達成可能かつ持続可能であると主張している。著者らは、最貧国でも死亡率を減らすための費用対効果の高いアプローチを採れるようにする具体的な政策と医療財政戦略を提示している。
「早期死亡や病気による早期死亡は、家族、地域社会、経済、そして国家にとって悲惨なことです。人々が長く、健康で、生産的な人生を送ることを望んでいます。この報告書が、この世界的な健康課題に焦点を当てる一助となることを願っています」とヤメイ医師はコメントしている。
出典は『The Global Health 2050報告書』(全文PDFは要無料登録)
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(24)01439-9/abstract