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眠りに落ちると認知機能が向上する

平静状態ではなく睡眠に落ちることによって、認知機能が向上し、それは低周波電気刺激によっても再現できる可能性があるようだ、という研究報告。

研究者らは、マカクザルが30分間のノンレム睡眠の前後に視覚識別課題を行っている間の、マカクザルの複数の脳領域の神経活動を調べた。マルチ電極アレイを使用して、視覚処理と実行機能に関連する一次および中位視覚皮質と背外側前頭前野の3つの脳領域にわたる数千のニューロンの活動を記録した。マカクザルがノンレム睡眠中であることを確認するために、研究者らはポリソムノグラフィーを使用して脳と筋肉の活動をモニタリングし、同時にビデオ分析を行ってマカクザルが目を閉じて体がリラックスしていることを確認した。

データ解析の結果、睡眠によってマカクザルの視覚課題の成績が向上し、回転した画像の識別精度が高まったことが実証された。重要なのは、この成績向上は実際に眠りに落ちたサルに特有のものであり、眠りに落ちずに単に平静状態であったマカクザルには同様の成績向上は見られなかったということだ。

研究者らは、視覚皮質の低周波電気刺激を通じて睡眠の神経効果をシミュレートした。動物が起きている間に、4 Hz の刺激を与えて、ノンレム睡眠中に観察されるデルタ周波数を模倣した。この人工刺激は、睡眠後に見られる非同期効果を再現し、同様に動物の作業パフォーマンスを向上させた。これは、特定のパターンの電気刺激を使用して、睡眠の認知的利点を模倣できる可能性があることを示唆している。

「この発見は、睡眠の回復効果やパフォーマンス向上効果の一部が、実際に眠る必要がなくても達成される可能性があることを示唆しており、意義深いものです」と研究者はコメントしている。

出典は『Science

http://dx.doi.org/10.1126/science.adr3339


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