ファンドレイザーという職業。まちづくりの資金調達手段は無数にある。
先日、企業版ふるさと納税のことに触れました。最近は様々な資金調達方法があって、昔の「寄付一択」とは異なってきています。いや、同じ寄付でも、ただお金を出すという負担だけだったものが、戦略的に活用できるようになって発展してきていると言ったほうが良いかもしれません。
青年会議所の活動は、基本的に会員の会費を原資として様々な活動をしています。1ヶ月あたり1万円くらいの会費を持ち寄って、年間事業予算は700〜1,000万円くらいが茅ヶ崎青年会議所の予算となります。
このお金の中には管理費も含まれますので、純粋に事業にかけられる会費はこの半分くらいです。つまり350万円〜500万円程度をかけて、人口24万人が住まう茅ヶ崎市のまちづくりを目的として、人材育成や対外事業を展開していきます。
このお金は十分な予算でしょうか?
残念ながら、何をするにもお金がかかるものです。会場費も捻出しますし、広告宣伝もおこないます。さらに、謝金も必要になります。(ちなみに飲食費等は会費に含まれないので、会員の自己負担が別途発生しています)
というわけで、本当にまちづくりをしていこうとするならば、どれだけ費用対効果を工夫しても限界があるのが率直なところです。
そこで、事業予算をかき集めて、よりスケールのある事業ができないかを考えます。
よくあるのが、地元企業に協賛をいただくというものです。お祭りを開催したいから5,000円の協賛をお願いします、というのはどの地域でも行われてきたでしょう。みんなで地域のためにやるのだから協力してください!というのはすごく分かるのですが、年に1つとか2つくらいならまだしも5から10とかあれば協賛する側も躊躇します。実際に、こういうことがたくさん起こって、まちを盛り上げようと思って活動する人が協賛活動に疲れ果てて、協賛する人たち(企業)も協賛疲れをして、まちが衰退するなんてこともあります。
次に、協賛の対象者をもっと広く募ってクラウドファンディングをするというものもあります。CAMPFIREとかreadyforというようなメジャーサービス以外にもたくさんのサービスが立ち上がっています。
これは実施したい事業の内容や発信力がものを言うため、どうしても「ウケる」事業に寄っていきがちで、時間をかけても結果的に成功しないで調達できないで終わるケースは結構あります。また、寄付が集まらないので、結局身内でお金を出して成功させるケースもすごく多いのが実態です。苦笑
次に、補助・助成金です。行政が出すようなものもあれば、財団などの民間団体が募集するものもあります。休眠預金制度を活用した大規模な助成金もあります。
青年会議所は事業の企画をするときに、かなり念入りに事業計画書を作成するため、それを助成金申請に転用すれば十分いけると思いますが、こういった調達手段の場合は事業終了後の報告も大切になってきますので、事務負担はとても大きくなります。
これら以外にも、物販をして収入を上げる方法もありますし、青年会議所が文化会館のような施設の指定管理団体になっているケースもあります。スポンサードされている青年会議所もあります。
このように、資金調達にも本当に多くの手法があって、これらを使いこなせる組織は組織規模の大小に関わらず非常にうまくやっているのが実情です。
ちなみに、海外ではこういう非営利活動の資金調達業務を専門とする役職としてファンドレイザーという役があって、NGOの職員でありながら1,000万円以上の所得を得ているケースが結構あります。これだけたくさんの調達手段があっても、それらを理解して適切に使い分けができる人材って本当に少ないですし、かなりの力が必要です。
SDGsの浸透によって、企業活動と非営利活動のフィールドがこれまで以上に重なりやすくなってきました。だからこそ、どのように発信をするかが売り上げや資金調達において非常に重要な意味を持っています。たった1人のこういう人材がいるかどうかが組織の活動の幅をガラリと変えるため、是非とも人材育成や拡大対象において考慮してきたいところです。