「ソロキャンプを動画に撮る」シリーズ:8K RAWで焚き火を撮る
今回はCanon EOS R5Cで全編「8K RAW」での撮影を試してみました。普段の動画は4Kですが、せっかく8Kで撮影したので、ちょっと無理をして8KのままYouTubeにアップロードしてあります。
今回はソロキャンプ動画というよりはむしろ実証実験的な撮影だったので、ちょっとその辺りのことを覚書的にまとめておきます。8K撮影を検討されている方には、何かしら参考になる部分があるかもしれません。
セッティング
メインの撮影機材は以下のようなセッティングです。
EOS R5C
RF24-70mm F 2.8 L IS USM
Sennheiser MKE 600
Zoom F3 Field Recorder
録画フォーマットはCanon Cinema RAW LTで(解像度:8192x4320)、Premiere Pro上でCinema RAW Light Source SettingをC-Log2/Cinema Gamutとして下処理したものにCanonが公開している純正LUTを適用したものをベースに最低限のカラーグレーディングとちょっとした画像処理を施したものです。(※実際にはそれに加え、YouTubeでの圧縮による暗部グラデーションの乱れ対策として人工的にノイズを足しています。)
音声はZoom F3による32bitフロートのPCM録音をベースに、若干の音量調整をしたものです。薪がはぜて突然大きな音が入っても破綻しないのがいいですね。
撮影ファイル
撮影したものはCFexpress Type Bカード(512GB)に記録していて、素材としてはカードがほぼ一杯になるまで撮っているのですが、編集時に採用したのは8ファイル、457GBほどでした。これをただ繋いだだけで何も編集しない状態だと尺は47分ちょっとなので、実効ビットレート的には1分10GBというところでしょうか。素材を2時間分撮影するくらいの想定だと1TBではちょっと足りない、という感じです。
完成ファイル
元々今回はただ焚き火を撮る、というコンセプトだったのでほぼ素材を繋いだだけの編集になっています。マスターの尺は47分弱で、YouTube用にエクスポートしたファイルは70GBほどでした。エクスポートは今回8Kということで普段より画質優先の設定で行っています(VBR 1passでターゲットビットレートと最大ビットレートは共に200Mbps)。
なおエクスポートにはうちのMacで30時間ほどかかりました。割とガチの構成のはずなんですが、さすがに8Kのエンコーディングには時間がかかります。YouTube側でもアップロード終了から8Kでの視聴が可能になるまで30時間以上かかっていた模様です。
結果
実際に動画で見る分には、肉眼ではほとんど区別がつかないのですが、一応、4Kと8Kだと多少の違いはあるようで、以下に5KモニターでYouTube上のこの動画を「4Kを選択して再生」した時と「8Kを選択して再生」した時のスクリーンショットの切り抜きを貼っておきます。
はい、全然違いが分かりませんね😆
ということで拡大したものを置いておきます。
厳密に同じフレームではないので、色の違いは炎のゆらめきのせいですが、薪の表面を見るとやはりディティールに差があります。(※4Kは5Kに対して拡大処理が入っていて8Kは縮小処理が入っているせいなので、4Kモニターで見る分には同じになってしまうかもしれません。またnote.comで見る分には違いが分かりにくくなっている可能性もあります。)
まとめ
とりあえず、一度はやってみたかった、というだけの話なので、まとめも何もないんですが、やはり結論としては「8Kはまだ早い」ということになる気がします。
エンコーディングに実尺の30倍以上の時間がかかる、というのは実作業上、やはり現実的ではないですし、YouTube側も8Kについては「とりあえずアップロードもできるし視聴もできる」という以上のことをやっておらず、たとえばアップロード後、HDや4Kは「処理中」とか「処理完了」といったステータスが管理画面上のアイコンなどで分かるようになっていますが、8Kではそういった表示もなく、8Kの再エンコーディングが終わっているかどうかは実際にブラウザなどでその動画を視聴して解像度設定で8Kが選べるかどうかで判断するしかありません(2023年3月現在)。
(もっと言うと、PCなどで8Kを視聴できる環境というのも現時点あまり現実的なものではなく、実際、わたしのところにもそういう環境はないのでChromeの「利用可能なすべての解像度を選択できるようにする」というプラグインで8Kが選択可能かどうかをチェックしています。)
というような状況なので、「なるべく高解像度のコンテンツを作りたい」と思う時の現実的な選択肢は、やはり4K撮影ということになる気がします。あるいはSuper35mmクロップでの5K撮影でクロッピングの自由度を確保しつつ、4Kアウトプットというのもアリかもしれません。
その他
今回、ATOMOS Ninja V+側でProRes RAWでの記録も試そうと思っていたのですが、持って行ったSSDの速度が不十分だったようで、カメラ側のCFexpressカードにしか録画できませんでした。Blackmagicが提供しているBlackmagic Disk Speed Testで確認した時はBlackmagic RAWの8Kは記録できそうだったんですが、Canon Cinema RAW Lightはそれより重いようです。皆さんも8K撮影を行う際は、実際にSSDの動作確認をされることをお勧めします。