Sounds of Summer: 虫の音と鳥の声と焚き火のキャンプ
千葉県のとあるオートキャンプ場での平日ソロキャンプの模様をSigma fpで撮影した4K動画です。今回は他にもう1組、お客さんがいらっしゃって、完ソロではなかったのですが、遠目に見ながら頭を下げて会釈をするというくらいの接触でした。
今回の動画編集では(自分的には初めての試みなんですが)「とにかく短く」ということを心がけてみました。結果として、「刻むこと」と「刻んだものを一つずつ繋ぎ合わせること」を意識しすぎるあまり、全体の流れ、という観点でややぎこちなくなってしまい、編集の難しさというものにまた別角度からぶち当たった感がありますが、しばらくはこんな感じで試行錯誤を続けていこうと思っています。
撮影機材について
冒頭に書いた通り、今回の動画はすべて、Sigma fpだけで撮影しており、レンズの方も、同じくSigma社の看板製品、Artラインの24mm(Sigma 24mm F1.4 DG HSM)だけで撮影しています。(さらにすべてのカットがf/1.4の開放での撮影)
Sigma fpはフルサイズで4K動画が撮れるカメラの中では圧倒的に軽量コンパクト(バッテリー込み約420g)なのですが、操作系をそもそもSTILLとCINEに完全に二分し、専用の物理的な切り替えスイッチでそれを瞬時に切り替えられることからも分かるように、マーケットの中でも、動画撮影に「最も正面から向き合った」カメラということで、かなりそそられる一台です。
そして24mm Artはわたしが個人的に愛してやまない「24mm」「開放f/1.4の大口径」レンズの中でも特に気に入っている一本であって、この二つはもう、組み合わせた時点で尋常じゃない色気が漂ってくるんですが、実際、動画から1コマ切り出してみると、
…こんな感じで、非常に好ましい「湿度」と「暗さ」を毎秒、約24コマずつ捉えてくれているわけです。
実のところ、キャンプ動画を撮影するにあたっては、通常のアイレベルでの撮影がほとんどないのでやっぱりバリアングル液晶が欲しいなぁ、もう少しバッテリー容量が欲しいなぁ、とか要望が無いわけではないのですが、やろうと思えば12 bit CinemaDNGで撮れてしまったり、ボディが動画撮影時の排熱性能の確保を最初から念頭に置いて設計されているようにしか見えなかったり、24mm含め、単焦点のおいしいところが大量に取り揃えられていたり、ということで、今の時点でも割と唯一無二のポジションを確保してしまっている気がします。
わたし自身はキヤノンで育った人間なので今後もキヤノンと併用していく形になると思いますが、これからフルサイズデジタルでがっつり4K動画を撮ってみたい、と考えている方には、割と第一の選択肢としてアリなんじゃないかと思います。
タイムラプス撮影について
今回の動画にはタイムラプス撮影で制作した星空のカットが含まれています。これもSigma fpと24mm Artで撮ったものですが、前半部分のカメラの動作にはmiops社のCapsule360を使用しています。
これは三脚とカメラ本体の間に設置して回転動作を実現するもので、スマートフォンと連携して操作できるようになっています。面白いのは1台のスマートフォンから2ユニット同時に連携できることで、組み合わせることでパンとチルトの2軸回転が可能になります。1回のオペレーションで単方向のみなので動作自体は単純なものしか対応できないのですが(「上がって下がって」とか「行って戻って」とかをまとめて実行することはできない)、今回のタイムラプスでもやっているように、徐々に上昇しながら右回転、とかいうことができるだけでも結構面白い絵になります。
ちなみにこのCapsule360にはカメラのリモート端子に繋いでシャッターを連携させる機能もあるのですが、fpは未対応ということで、Capsule360側は他の対応カメラと連携している体で「8秒静止して4秒動く」設定、fpはシャッター速度4秒で8秒間隔のインターバル撮影にして、よーいドンで両方スタート、みたいな原始的なやり方を取らざるを得ないのが残念なところです。(今回もやはりどうしてもズレが生じて、露光中にカメラが動いて星がブレて写っているコマが結構混じっています。)
ちなみにもちろんタイムラプスだけでなく動画撮影にも使えるのですが、本体が回転するときの動作音がそれなりに聞こえてしまいます。普通に撮るとその音がかなり目立ってしまうので、別録りの音声など対策が必要になるので注意が必要です。
今回、こうして撮影した静止画はLightroomで下処理してからPremiereにインポートしてクリップ化しています。静止画自体は6,072 × 4,056の元画像をそのまま使っているので、出来上がったクリップは4Kよりかなり大きな素材になります。そのまま使う場合は64%程度に縮小しますが、元の画が大きいとズームしたり切り抜くポイントを動かしたり、と色々小回りが効くので、今回も最初のカットと最後のカットでそういう小細工を使っています。
テント(シェルター)について
今回、久しぶりにハンモックではなくテントというかシェルターでのキャンプでした。使ったのはドイツのTschumというメーカーのテントで、そこの製品は会社(?)のオーナーのFlorianさんが一つずつ自らミシンで縫製しているため、注文してから届くまで数十週間かかるというなかなか難儀なものです。わたしが今回入手できたのはKama 1P Leichtという1人用のオープンシェルターなのですが、これも注文したのは去年の11月で、当初通知された24週間、という納期よりもかなり遅れ、つい先日ようやく届いたのでした(遅延はコロナの影響とのことです)。
このTschumのテントはシンプルながら高品質で、かつ「火」を身近に置いて過ごすスタイルを想定しているのが特徴で、今回のキャンプはこの冬に備えてどんな運用ができるか、久しぶりに薪ストーブを持ち出して合わせてみる、というのもテーマの一つでした。(動画冒頭で薪ストーブが写っているのにその後出てこないのはそういう背景がありました。)
今回改めて確認してみて、使用している薪ストーブの煙突に付属のシンプルなカバーをつけるとカバー部分の温度が約180〜190℃、綿の耐熱上限が大体250℃、ということで、ちょっと余裕が足りない気がするので、これから冬に向けて色々しばらく考えてみようと思っています。
なおこのKamaシェルターは高さ140cmのポールを使う想定のデザインなのですが(ポール別売)、今回はDoDのポール2本を二股化して中を広くしています。
ちなみにポールの連結にはモノタロウで購入した「ユニバーサルジョイント」という金具を使っています。ビニールハウスとか柵とか、農業で必要になる様々な工作に使われる金具だと思うんですが、19mm径のポールに完璧にフィットします。
なお、二股化して中央を開けたシェルターはコットを入れても十分な感じでなかなか快適でした。開口部のすぐ前に焚き火を置いてその向こうにリフレクタープを設置すれば冬でも結構いけてしまうのではないかという気がしています。
夏のキャンプ
個人的にはキャンプの本番は「冬」と考えていたりするので、夏のキャンプにはそれほど強い思い入れはないのですが、今回、改めて「夏」という季節を芯から味わった感がありました。
暑い、湿度が高い、虫が多い、というのももちろんあるんですが、とにかく「音」が冬と全然違うんですね。種類も、ボリュームも。わたしが撮るキャンプの動画はそういう「何を感じたか」を捉えておくためのものなので、今回の編集では少し音を前に出すように進めていったんですが、朝から晩まで、とにかく音が「分厚い」わけです。いろんな虫が鳴いていて、いろんな鳥が鳴いていて、まさに生命を謳歌しているというか、とにかくひたむきに、能動的に「存在」しているそのエネルギー量に圧倒されました。というか、もう、シンプルにうるさかったです。
ただ漫然と過ごしていても、とりあえず「死なない」というのは、夏のキャンプのメリットなんだと思うんですが、そういう意味では命が圧倒的に許されている季節だからこそ、他にも無数に許されている多種多様な生命の中に包み込まれて過ごすこと自体を堪能するべきなんでしょうね。
などと言いつつ当日は虫除けを大量に投入していたので、特に虫の被害などはなく、うるささを除けば快適に過ごした一日でした。
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