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a story of a letter 'L'

突然ですが、あなたは「L」という文字からどんな言葉を連想しますか?

「L」で始まる単語といえば、何でしょうか。Love、Life、Luck、Logic、Laughter、Look、Leave、Long、Large、Lion、Lizard、Leaf、Lock、Labyrinthなんていう言葉もありますが、この「L」という文字は、わたしがこのnote.comやYouTubeであれこれ書いたり作ったりしているものの根底にある二つの大きな概念の頭文字でもあります。それは、LightとLanguage。光と言葉、すなわち、すべての映像と文章の基本元素です。

わたしがサイト名やチャンネル名として使っている「Lingua Luminum」というタイトルは、ラテン語で "Language of Lights" という意味になっているはずの言葉です。

※妙な物言いになっていますが、ラテン語をちゃんと学んだわけではないので、本当にそうなっているかどうかはわかりません。もしなっていなかったとしても、カタコトの日本語で「ヒカリノコトバ」と古代ローマ人が言っているようなイメージで捉えていただければと思っています。

元々、文章を書くことが好きで、やがて映画という創作物に強く惹かれるうちに自分でも動画を作るようになった自分にとって、文章と映像というものは、「生きていく上で」という言葉を頭につけたいくらい、大きな意味を持っています。光と言葉。光を紡ぎ、言葉を綴り、映像を織り成し、文章を編んでいく。その営みの器、あるいはその旅の「Vehicle」として選んだのがこの、Lingua Luminumというフレーズでした。

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そしてそのフレーズが自分の中で形を取ってからまもなく、2年ほど前に、国立新美術館で『ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道』という展覧会がありました。19世紀末から20世紀初頭にかけてウィーンで花ひらいた、煌びやかな光に彩られ、隠微な影に縁取られた「世紀末文化」を「モダニズムへの途上」として捉え直すというコンセプトで、非常に見応えのある展示だったのですが、その一角に「雑誌・広告・ポスター文化とそこで発展したタイポグラフィー」に関するコーナーがありました。言葉を文字に分解し、そして再構築する試み、あるいはそのコンセプチュアルな「挑戦」はとても魅惑的で、その時代の才能が掴み出してくる、言葉から還元された文字の「強さ」のようなものは、色鮮やかな絵画にも決して見劣りのしないものでした。

展覧会出口のショップには、そのコーナーで紹介されていたタイポグラフィーからアルファベットの1文字ずつを抜き出してモチーフにしたマグカップ全26種類が売られていて、もう何年も前に「これ以上、うちにマグカップを増やすのはやめよう」と固く決意し、その誓いをずっと守っていたわたしではあったのですが、さすがにこれには抵抗しようもなかったわけです。

しかし、26種類の中のどの文字を買うのか? 自分のイニシャルにするのか、はたまたウィーンのW(またはV)か。

思えばこの時が、本当のスタート地点だったような気がします。「L」が、その1文字だ、と決めた瞬間。すべてがそこに収斂していく一点。あるいは、すべてがそこから発散していく一点。映像と文章が光と言葉になり、光も言葉もひとつのシンボルに還元され、そしてそのシンボルからまた光と言葉が生まれて映像と文章になっていく。

美術館疲れで朦朧としていたわたしは(美術館の展示を見て出てくるとへろへろに疲れますよね?)そんな妄想に促されるままに、マグカップを買い求め、そしてそのマグカップは今この瞬間もわたしの机の上にあります。

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そしてこの度、改めて自分のロゴとして、この「L」の文字をモチーフとしたアイコンを、Twitter上でかれこれ10年、相互フォローでのゆるいお付き合い(というほどでもないかもしれない関係)のニンパイ(シノブ)/@shinobukさん(本職のデザイナーさんです)に、デザインしていただきました。

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これまではWebで拾ったフリー素材で、中世の写本などに端を発する、いわゆる「Illuminated Alphabet」の「L」を使っていたのですが、そのモチーフを下敷きに、オリジナルロゴとしてこのアイコンを新たに描き下ろしていただいたわけです。見てください、この傑作。クラシックな装飾文字の雰囲気は残しつつ、「繊月」のように空間を鋭く切り取る円形の縁取りにモダンさを香らせながら、やや硬質なグリフを植物の紋様がたおやかに包み込む、調和の取れたデザイン。そして二段組のLingua Luminumでは、「i」の点が星座のように、完璧な角度と距離で繋がれ、光と言葉が結ばれるべきこの場所に与えられる名前として理想的な象徴となっています。

ニンパイさんには、これまではTwitter上でのアイコンの七変化でその片鱗だけを垣間見るばかりだったデザイナーとしての技と力を存分に奮っていただき、本当に素晴らしいロゴを仕上げていただきました。しかもアイコンはこれだけでなく、一段組のLingua Luminumもアイコンとのバランスを考慮して配置されたバージョンも作っていただいており、さらにそれにとどまらず、この最終案に至るまでに他にも二案、展開例まで含めてご提示いただきました。まさにプロフェッショナルの仕事です。どれだけ感謝しても感謝しきれないところですが、納品いただいた後のわたしにできるのは、せめてこのアイコンの素晴らしさに恥じないようなものを作れるよう精進を続けることだけなので、ここから改めて頑張っていきたいと思います。

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