海外出版ニュース 7.7.2020 ちょっと気になるこれから出る本

なんか最近、おもしろいノンフィクションを読んでない気がする。なので、これからぞくぞく出てくるといいなぁ、などと。

日本でがんばってフェミニストとして発言をしている聡くて若い女性が、バカなクソウヨからSNSで叩かれ続けるのを見ているのはけっこう辛い。だけど、そうやって粘着しているバカウヨでも私らみたいな海外在住組のおばさんを出羽守だの、クソフェミだのといくら叩いてもめげないということだけは学習したらしい。だからってもっと若い子にいくんか、意気地なしどもよ。

最近読んで面白かった、いろんなことがわかった、と感じたノンフィクションの本では、レベッカ・ソルニットのCALL THEM BY THEIR TRUE NAMES(渡辺由佳里さんの訳で『それを真の名で呼ぶならば』日本語版が出ています)やWANDERLUSTとか、ローナン・ファローのCATCH AND KILLとか、シャネル・ミラーのKNOW MY NAMEなどが秀逸だった。(フィクションでも最近文学賞をとったり、面白いなと思ったのはほとんどが女性作家によるストーリーだったりする。あらためてそのうちリストアップしようっと)

そして次にこれも刊行されたら読んでみたいと思わせるノンフィクションの本がボストン・グローブ紙のジョーン・アンダーマン記者が上梓するLIPSTICK: A HISTORY。個人の体験を振り返りながら、ルージュの社会学的が歴史を辿り、その裏にある政治的意義や、フェミニスト理論を探報し、同時にコスメ産業の肥大化や、ビューティービジネスも網羅するという内容。アメリカの版元はハーパー・ペレニアル、日本語版権はたぶんBresnick Weilエージェンシー。そして著者は普段はポップ音楽レビュー担当の記者なんだと、これは期待大。

最近、SNSでおばさん仲間もツイっていたんだけど、世界中でこれだけマスク着用が当たり前になってくると、おそらく全世界で口紅の消費量が落ちるよね、って話。私もようやく日本でお気に入りのブラウン系のを見つけて、出かける時にはバカの一つ覚えのようにつけていたが、おそらく3月以降、触ってもいない。今頃カビてるかもw

日本だとたびたび「女が化粧するのはマナー」とか「身だしなみとして化粧もしてない女サイテー」とか言われがちだけど、こういう考え方が単なる社会からの刷り込みで、裏にそれで儲かるコスメ産業の力が働き、余計な時間と負担を女性に与えている社会的プレッシャーがそこにあることはスルーされている。

いや別に世の中のオンナみんながみんな綺麗になりたいって努力してるわけじゃないし、ZOOMでオンライン会議してればもう下はナニ着ててもわかんないし、顔だってアプリで化粧したかのように見せられる時代。というわけで、世の中がZOOMの背景や部屋のライティングという、コロナか時代の新しい身だしなみやらマナーやらを身につけている間に、私は相変わらず暗い部屋から(単に部屋に直接照明で照らすのがキライ)陰気なすっぴん顔で会議に参加してますw

もうひとつおにゃのこがらみの本で気になるのが、RISINGという短編集。著者はTHE GIRL FROM BLIND RIVERでフロリダの文学賞をとったというゲイル・マッシーで、女の子が男性社会文化において、個人の尊厳や存在価値についてどんな風に有形無形のメッセージを受け取っていくか、がそれぞれの話から浮かび上がるという。これまでクライム・フィクション書いてたんか。読んだことないな。

そしておにゃのこだけでなく、日本にいると感じてしまう、なんつーか、周りの人と比べて自分の幸せの価値を見出す、みたいな考え方についての本はどうだろ?

COMPARISONITISってタイトル、造語なんだけど、これはもう「比べっこ病」としか訳せない。著者がこれまでおにゃのこ向けのMASTERING YOUR MEAN GIRLとか、OPEN WIDEなどを上梓してきたメリッサ・アンブロシーニで、どうやったこの「人と比べて自分の幸せを図る」病から抜け出せるのかということを書いていて、注目。

フェミ系タイトルばっかりだったので、オマケとしてニュートラルな本も入れておこう。ワイヤード誌の編集者で、ニューヨーク・タイムズでSmarter Living欄を担当してきたアラン・ヘンリーによるPRODUCTIVITY WITHOUT PRIVILEGE。職場でハブられていたり、差別されていてもどうやって対処していくかというストラテジーを紹介した本とのことで、版元はロデール。これは日本でも需要ありそう…




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?