海外出版ニュース 5.19.2020 ちょっと気になるこれから出る本

ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』や、ウィリアム・マクニールの『世界史』など、テーマが大きくて、ページ数が多くて、なにやら一読で世の中の森羅万象が理解できた気にさせる本を勝手に「大風呂敷ノンフィクション」と呼んでいるが、次くるのはこれじゃないですかね? ジョナサン・ロー著 LIFE STORY: Nature, Culture, Future。

テーマは、どうやって自然環境から文化が生まれ、枝分かれし、今対峙すべき環境問題にどう取り組めばいいのか、おそらくコロナ禍後の世界に対しても提言がありそうで。でも刊行予定は2023年なのでしばらく時間はかかるが。

著者は環境科学、生物学、文化人類学を学んだダイバーシティー保護の専門家で、国連の環境保護団体やWWFのコンサルもやっているとか、初の著書ながらクレデンシャルは申し分ないかと。アメリカではBasic、イギリスではJonathan Capeが版元なので、信頼性も話題性もありそう。

Dr Jonathan Loh | Felicity Bryan AssociatesJonathan is an independent scientist and consultant to organifelicitybryan.com

エージェンシーはフェリシティー・ブライアンだけど、日本語翻訳権はAndrew Nurnbergへどうぞ。

外出自粛要請のせいで、私のSNSでも知り合いが大勢パンを焼き始めてる。個人的には、んな糖質の塊、自宅でデカイの作ったらどんだけ体重増?という恐怖が支配してるので手は出していない。残念なのはSNSだと、焼きたてのあのパンの香りが伝わってこないこと。匂いがシェアできたらスゲーのにな。

で、パンの本が来るだろうなと思ったら、やっぱりきましたよ。BREAD THERAPY: The Mindful Art of Baking Bread、パンを焼くと癒されるよ〜というこの本の著者、ポーリーン・ボーモントのウリは、心理学と哲学の学位と6人の子持ちで、カウンセラーの資格持ちという点。
インスタアカウントのパンも美味しそう。


英語圏の本にしては、ムチャ突貫工事で今年の9月には出る。イギリスだとYellow Kiteから、アメリカはホートン・ミフリン・ハーコート、日本語版権はGraham Maw Christieのレベッカまでお問い合わせ。

一方、数学好きの日本人にウケそうなのがBERNOULLI’S FALLACY: The Story of a 300-Year-Old Mathematical Mistake and the Threat it Poses to Modern Scienceというノンフィクション。著者Aubrey ClaytonはハーバードやUCバークレーで学び、今はムーディーズ・アナリティックスのリスク解決研究所のディレクター。

この本では数学、哲学、歴史を網羅して、統計学の画像再構成に欠かせないアルゴリズムの基礎論、ベルヌーイ分布が現代社会で驚くほど多方面で使われているかを説明しながら、そこに潜む不具合を指摘し、科学的根拠とデータの見直しを訴えるという。刊行は2021年予定、版元はコロンビア大学出版と渋いチョイス。エージェントはJoan Brookbank。

この人、トランプ政権が早くロックダウン解除をして経済活動を再開させたいがために採用したキュービック・モデルというコロナ感染拡大予想を真っ向から否定する意見をボストン・グローブ紙に寄稿してますね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?