天才でなくてごめん
Dear.小学生の私へ
あなたがタイムカプセルに込めた文書は、
『「教師」になってますか?』
でしたね。
私は今、東京の美大の大学院で美術学んでます。残念ながら、大学在学中に教師の資格は取れませんでした。理由は色々ありますけど、人生上手く思った通りにはいかないことを痛感しました。
あなたは、今絵を描くことに夢中だと思いますが、それでいいです。なんなら、もっともっと自由に描いてください。
そして、美術の面白さを知っていってください。同時に、難しさを知っていると尚良しです。
それはとても辛いことで、逃げ出したくなる、止めたくなるかもしれません。でも、描くことを諦めないでください。それが今の貴方にあると今後の人生より面白くなると思います。
Dear.中学の私へ
あなたは今とても辛い状況にいると思います。家庭も自分もあまりよろしくない状況だと思います。けれども諦めないで、なんてことは言いません。
「今」の私からすれば、逃げてもよかったと思います。もし、上手く逃げる道をわかっていたらと思うと、あなたには申し訳ないことをしたと思います。
あなたが今後選択することは、私はわかっているから言えるけど、全て上手くいきません。でも、最悪な道は避けられていきます。多分、それでよかったのかもしれませんね。
だけど、一つ言えるのは、窓の外をずっと部屋から見ていたあなたなら、伝わるはず。その景色を忘れず、絵に描くことを諦めないで欲しい。ずっと持っていた鉛筆は、勉強のためだけではないです。絵を描くためでもあるのです。それを忘れないで。
Dear.高校生の私へ
中学と比べるとグッと環境が変わり、勉強に打ち込む毎日になってると思います。読書も沢山してますね。それでいい。でも、勉強だけが人生の全てだとは思わないで。
高校三年の春にあなたには美大行くことになるきっかけが来ます。もし、そのことを早めに知り得たなら、私はもっとデッサンに打ち込んでたはずです。
世界は動いて見てみないとわからないことだらけです。何でもいいから色々経験してみて。あなたは知識だけの人間でしたから。
Dear.大学生の私へ
遊びに学び、恋に友と、どんどん呆気なく進む毎日に、自分が置いてかれていく感覚があると思います。でも、それが真実で、それに負けないくらい、沢山作り出して。もちろん、毎晩、必ず一作品、絵でも彫刻でも家で隠れて作ってたことは知ってます。周りに置いてかれないようにですよね。
でも、気づいてほしい。本当に必要なのは、周りではなく、自分だということ。自分に置いてかれないように、自分を本当に知るために作品を作ってほしい。
周りは勝手に挫折して消えたり、勝手に上手くなってたりします。でも、それでも、賞が取れるわけではありません。
そこに着眼点を置くのではなく、自分の表現の幅を知る、足りないのであれば、埋める。それを忘れないで。
あなたは大学四年最後の製作でようやくそれに気づきます。でも、もしこれが三年で気づいたなら、二年で気づいたなら、いや、一年で気づいたなら。
そう思うと、早くに知りたかった…。
Dear.全ての私へ
私は、美大に入って卒業して、ようやく自分の世界観を見つけ出して、でも、まだまだひよっこで、入口にしか立ってない。
そんな私です。
まだ有名にも、賞を取ったわけでもなく、そのへんの腐ったゴミのような私。
だから、本当に。
「ごめんなさい。
あなたたちの希望には答えられなかった。
ごめんなさい。
あなたたちの想像した未来には立てなかった。
天才でなくてごめんなさい。」
…一つ、そんな私でも、まだ藻掻いていることがあります。
それは、
来年の岡本太郎賞で、大賞を取ること
です。
今の私にはそれしか見えてません。もちろん高き壁で、一次で落ちることもあるかもしれません。いえ、そんなことはザラにあります。いや、それは、何度も経験してきました。
だから、これが、私の人生最後の賭けです。
大博打です。これであなたたちに、顔向けしたい。だから、挑みます。本気で、一ミリも手を抜くことなく。
もし、落ちたら、私の人生はそこまでなのだろうな、そう思います。その先の事は考えてません。そこが私の人生の大きな壁だと思います。
私は、戦う!絶対に負けない!!
最後に、この記事を見てくれた「あなた」に。
いつ見てくれたのかわかりません。私が生きてる時に、もしくは死んでしまった時に。
でも、この記事を見てくれたこと、私と関わってくれたことに感謝します。
ありがとうございます。
さよなら。
From23歳になった私
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