見出し画像

俺の好きな短歌を紹介しようの会

シロナガスクジラのお腹でわたしたち溶けるのを待つみたいに始発

上坂あゆ美『老人ホームで死ぬほどモテたい』

俺、まじでこの歌が好きなんです。頭に思い浮かべただけで、うううううーって震えます。やばすぎる。美しいとかだと違う、リアルとかも違う、全部を含んだヤバすぎるぅぅぅぅぅ!!っていう感じ。この短歌について僕が想像した2つのストーリーを紹介します!












夜、恋愛関係にある相手の家に行って、でも何か悲しい理由で、性行為までいかなかった。相手はセフレかもしれない。悲しいのは相手も同じかもしれない。単純に相手が悪いんじゃないかもしれない。だけど、とりあえず、悲しい理由で、性行為までいかなかった。そのあと、なんとなく、小さい公園に寄りながら、駅を目指して、深夜を早朝まで散歩する。
駅に着く。ホームに座る。始発を待つ。ちょっと田舎の駅だから、ホームの屋根が、シロナガスクジラのあばら骨のように見える。シロナガスクジラは世界で一番大きい動物といわれる。その安心を感じる。そのお腹の中は暖かくて、それの安心も感じる。溶けたい。シュッと消えたいわけでも、死にたい訳でもない。お腹の中の暖かさの中で溶けたい。この気持ちをそうやってどうにかしたい。
そう思いながらも結局は始発を待つ。私が存在する未来のために。それは私の逃げたい日常へと溶けていくための電車だ。じんわりと溶けて消えたいと思いながらも、実際には始発に乗って日常へと溶けるしかない。閉じた循環がまた始まる。


家出をした未成年が、遠く遠くまで行こうと思う。昼から電車で移動し続けて、もう終電の時間。全く知らないド田舎の終点の駅で降りる。田んぼを散歩する。真っ暗ですごく怖くなる。駅から遠ざかって、怖くなって駅に戻って、また遠ざかって、、、と繰り返す。怖さをかき消すように、ヘッドホンをして最大音量に。気づいたらちょっと寝ていて、太陽が少し出始めている。駅が空くのを待つ。空いたら、ホームに座る。始発を待つ。すごく田舎の駅だから、ホームの屋根が、シロナガスクジラのあばら骨のように見える。シロナガスクジラは世界で一番大きい動物といわれる。その安心を感じる。そのお腹の中は多分暖かくて、それの安心も感じる。溶けたい。シュッと消えたい、死にたい。お腹の中の暖かさの中で溶けたい。
そう思いながらも結局は始発を待つ。僕の存在する未来のために。それは僕の逃げたい日常へと溶けていくための電車だ。じんわりと溶けて消えたいと思いながらも、実際には始発に乗って日常へと溶けるしかない。閉じた循環がまた始まる。

もっと紹介したかったけど、カロリー使っちゃったから、ここで終わりにします。

いいなと思ったら応援しよう!