カフェ居酒屋始めました。
一月中旬から、田原町でカフェ居酒屋を始めた。住所が台東区寿四丁目なので、KOTOYONというコの字カウンターの店。スペースを曜日でシェアしているので、金曜と土曜のみが担当。「美味しいものだけ食べて生きたい」と思ってきたので、自分の思う“美味しい”を日々追及している。
お酒は好きだけど、酒に飲まれる人はあまり好きではない。お酒は好きだけど、お酒だけが好きなわけでもない。珈琲やお茶にもこだわりたい。あとは旬のものや野菜。素材そのものの味を感じて欲しい。そんなことを思いながら、先週でちょうど三ヵ月が経過したところ。
人生で初めてのバイトは16歳の時。東京ドームてキリンビールを売っていました。ちょうど「一番搾り」が発売になったばかりで、売っているのは「一番搾り」なのに、「ラガーじゃないの?」とよく言われた。「はい、今のキリンの一番のおすすめは“一番搾り”です!」と繰り返す未成年。
いまのビール売りはタンクを担ぐそうですが、その頃は500ml缶を18本とおつまみをいれた箱を持ち、札を中指に挟み、小銭入れの袋をつけて階段を降りたり昇ったりを繰り返す。売り切れるとバックヤードに戻り、もう一度ビールを詰めてもらう。ここで女性はまた18本、男性は24本入れられる。私は痩せっぽちだったけど、背が高かったのでいつも24本入れられて、軽々と運んでいた。計算は暗算。時給は決まっているけれど、まとまった本数を売るとボーナスがつく歩合制。他のメーカーとの競争もあり、会社からは「他のメーカーがいても同じ通路に入って売れ」と指示を受けている。通路で他のメーカーの販売員とすれ違うと「来るんじゃねえよ!」と耳元で囁かれる。なかなかエキサイティングなバイトでした。しかも2時間働くと、体重が2、3キロ落ちる重労働。
色気もクソもないダサいユニホームを着て売ってるのだけれど、赤い口紅を塗ると売上が上がることに気づいたり、紙コップにぴったりに缶ビールを注ぎ切る技を学んだり、16歳なりに頑張っていた。「君から買いたいから、30分後にまたいらっしゃい」と言ってくれるおじさんなんかもいたものです。飲食業とはなんぞやの初体験でした。でも、ビールが美味しいと思えたのは、もっとずっと先のことです。
自分が何をしたいのか。それをずっと考えて生きてきた。映画の宣伝、沖縄クラフトの営業ときて、料理教室をやりつつ、カフェ居酒屋の開店にたどり着いた。どれも自分には必要なことなので、そのバランスをどうとって形にするかを、いまは考えている。まだ、たった三ヵ月。始まったばかり。
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