僕の一番の危惧
自省も込めてLincが主戦場としている外国人向けサービスに関して最近思っている事を書きたいと思います。
まず結論ですが、僕の一番の危惧は「優秀な外国人材が日本を好きになれず、長期的に日本に残らないこと」ことです。
まず、時代の背景として去年12月に安倍政権のもと所謂「単純労働」に従事する外国人労働者を2019年より今後5年間で最大34.5万人増加させる「改正入管法」が可決させました。各メディアも連日に渡って報道や特集を組むなど、「改正入管法」は直近では一番社会的インパクトが大きかった政策だったのではないでしょうか。
外国人に対して門戸を開き、受け入れることはこの少子高齢化による人手不足が深刻に進む時、国の持続的な発展のために欠かせない一手であり、抗えない大きな「波」だと僕は日本に来た時からずっと強く思っていました。
このマクロトレンドをもと、ここ最近 来日外国人向けの各種サービスが一気に増えた気がします。代表的なサービスだと、住宅、携帯、アルバイトの斡旋、就職か挙げられると思います。
一方で、これらの多くの事業は「斡旋」の域を超えていないと感じてます。 斡旋の本質はやはり業界の多重構造からなる情報格差を使ったマネタイズであり、付加価値が低いため結果ユーザーの満足度が低くなりがちです。このようなサービスに対して個人的にはかなり危惧しています。
情報の非対称性は言ってしまえば恒常的に存在するものだし、別に斡旋事業が必ずしも悪いと言いたいわけではありません。一方で情報の格差のせいで一外国人として本当に日本に来る、日本で学ぶ、働く、生活するって大変だな、とは常々感じてきました。
そしてこのような情報の非対称性を利用した付加価値の低い斡旋サービスが多い状況だと、今後日本を目指す外国人も当初の自分のように、来日後のいろんなことに対して不便・不安・不利と感じるのではと懸念しています。結局はるばる日本まで来て、それで日本のことが好きになれなければ人は離れてしまいます。
実際に僕も当初、数百ある日本語学校の中からどうやって自分に合う学校を選べば良いのか?日本の大学はどうやって受ければよいのか?何が必要なのか?試験?英語?TOEFL?アルバイトはどうやって探すべきなのか?就活は何すればよいのか?OB訪問?家を借りるのに何故こんなにもいろんな金(礼金、敷金、保証金 仲介手数料 blah blah blah)が必要なのか?そもそも日本人の友達すら両手で数えられる程しかいないのに 笑 どうやって日本人の保証人を探さないといけないのか?(そもそも家賃のx倍のお金を初期費用で払っている訳だし、本当に保証人とか必要あるの?)なんてことを福岡の語学学校に通ってた時からずーと考たりしていました。
起業当初、自分がLincのMissionを「日本に来てよかったをもっと」に設定したのも、もっと多くの外国の方に自分みたいに日本が好きだから日本に来る、日本が好きだから日本に残りたいと思ってほしいと心底思ったからです。そのためには、外国人材が(情報の非対称性や適切なサービスがないなどの理由で)日本社会で生きていく上での機会損失を無くさないといけません。
機会損失を無くすためには情報の透明化と需給リソースのマッチングが必須です。そんなLincが目指している「本質的なマッチング」とはユーザーとクライアント双方に対して非常に付加価値のある、満足度の高いサービスを提供し、そしてそんなサービスをLincの社員が誇りと自信をもって提供できる、「三方良し」の状態になっているかどうかに尽きると考えてます。そのためには常に「これってユーザーのためになっているのか?」「本当に付加価値があるのか」「18歳来日当初の自分が受けたいサービスなのかどうか?」を自問自答するようにしています。
また、Lincがサービスとプロダクトに拘るのは単純に僕自身が外国人だからではありません。それはユーザーエクスペリエンスの悪い中途半端なサービスやプロダクトを外国人向けに提供した際、長期的に日本にとって如何にマイナスなのか、誰よりも危惧しているからです。僕の大好きな日本という国の持続的な発展のため、今後来日する外国人が僕の時と比べ、もっと快適で便利に日本に適応し、生活できるためにも、質が高いサービスやプロダクトが必要なのです。
Lincもまだまだです。Lincが目指すVisionである「外国人材にとって多様性と包容力溢れる社会の実現」に向け、もっと多くの外国の方に「日本に来て良かったをもっと」感じてもらえるよう、ユーザーを大切にし、プロダクトを磨いていきます。
最後に、スパイダーマンに “With great power comes great responsibility” と言う名言があります。 社会的にインパクトが大きい事業とうのは、裏返すと少しの失態、ミス、不備などが大きくクローズアップされ炎上し、個人、企業、ないしは一つの国に対する印象すら変えてしまいかねない程の大きな影響力を持つ可能性があるという事だと思っています。まだどんなにサービスが小さくても、ユーザーに利用して頂いている限り、社会の公器としての責任感をこれからも僕は強く意識していきます。
今後、より多くの外国の方に「Lincのおかげで日本が好きになった」と言ってもらえますように!