ヨルシカの歌詞が心に響く理由
ヨルシカの歌詞って、なんだかすごく胸を締め付けてきませんか?
ヨルシカは、ボカロの曲を作っていたn-buna(ナブナ)さんと、ボーカルsuis(スイ)さんの2人で構成されたバンドです。2018年から活動されています。ヨルシカの曲を聴いたことのない人はぜひきいてみてください!
n-bunaさんが書く文学的な歌詞が、繊細で精巧な音楽と、suisさんの透き通るようなきれいな声で、心に届いてきます。
ある曲では真夏の太陽の下で白いスカートのすそから光が差し込んでくるような情景が浮かんだと思えば、別の曲では雨のじめじめした、でもなんだかすっきりした雰囲気で物思いにふける女性の情景が浮かんだり…と、いろいろな感情を想起させられます。
私はまだにわかファンなので、歌詞の中身の詳しい考察は他の方のnoteやYouTubeのコメント欄を参照してください(笑)
一時期ずっとヨルシカの曲をリピート再生していたのですが、いくつかの単語が頻繁に使われているような気がしました。
「雲」、「夏」、「雨」など…
ということで、
①本当にこれらの単語が頻繁に使われているのか
―他にn-bunaさんが好きな言葉って何なのか
②私がこんなにもヨルシカの歌詞に惹かれる理由って何なんだろう
という問いについて、定量的に分析してみることにしました。
分析にはKH Coderというソフトを使用しました。
分析方法について詳しく知りたい方はこちらものぞいてみてください!
結果の記述も、こちら↓ がフルバージョンです。
分析①頻繁に使われる単語
今回は、ヨルシカの歌詞をアルバム『だから僕は音楽を辞めた』『エルマ』『夏草が邪魔をする』『負け犬にアンコールはいらない』に収録された曲からランダムに選んだものと、「花に亡霊」と「春ひさぎ」「夜行」の3曲を合わせた34曲分の歌詞を集めました。(※アルバム『盗作』が出る前に分析したので、この3曲はアルバムに含まれていないことになっています。)その中で、多く使われた単語ランキングを見てみましょう!
やっぱりヨルシカの曲の大きなテーマというか、舞台は、夏なんですね。なんとなく感じていたことでもあったので、数値にも出てなんだか嬉しいです。
もう、この単語リストを見ているだけでも「人生」とか「心」とか「言葉」とか、なんだか自分が好きそうなテーマの言葉がたくさんあって、ああ、綺麗だなぁ、と思ってしまいます。
分析②どの語がどの語と一緒に使われるか
円の大きさは数の多さを表します。
下の緑のカタマリをみてもらうと、「夏」がけっこう大きい円で陣取っていますよね。
で、線でつながった先の円を見ると、それぞれの言葉がどの言葉とよく使われているか、というのがわかります。
「夏―終わる―胸」とか、めっちゃエモくないですか?
夏の終わりはなんだか胸が痛くなるよなぁ…なんて…
左の黄色のカタマリでは「泣く―夕―空―痛い―生きる」という連なりがありますね。
ヨルシカファンのみなさんなら特定の曲が頭に浮かんでいるのではないでしょうか。
分析③アルバムごとにはどう違うか
次に、アルバムごとに見ていきますね。
データを用意する時には、インターネットに掲載されている形式のまま、1行を1セルに入れていきました。
で、一番右の「度数」ってところがセルの数です。
つまり、『だから僕が音楽を辞めた』に収録された歌詞は386行分、『エルマ』に収録された歌詞は366行分…といった具合です。
アルバム名『.』となっているのはすでにお話した、アルバムに含まれない3曲です。
ではアルバムごとの頻出単語ランキングを見てみましょう。
2つ以上のアルバムで出てきた単語には同じ色でハイライトしました。
私がヨルシカを聴いていて、よく出てくると思っていた「夏」「雨」「雲」は、『夏草が邪魔をする』『負け犬にアンコールはいらない』に収録された曲でよく使われていることが分かりました!
私はこの2つにアルバムばっかり聴いていたのかもしれません(笑)いつもシャッフルで聴いてるんですけどね。
分析④コンセプトを設定してみる
頻出単語ランキング、単語の結びつき、アルバムごとの頻出単語ランキング…と見てきました。
次は、コンセプトごとに歌詞を見てみたいと思います。
まず、KH Coderのチュートリアルを参考にしつつ、ヨルシカの歌詞にありそうなコンセプトを4つ用意しました。
「人の生死」「恋愛」「言葉系」「情景」の4つです。
で、各コンセプトにありそうな言葉を設定しました。
こんな感じです。
これで、例えば「人の生死」に関わる言葉が使われている行のみを抜き出すことができます。
こんな感じ。
ヨルシカの歌詞って「~生きたい」とか「人生」とか、よく使われてますよね。ちなみに、私の一番好きな歌詞はヒッチコックです(タイミング✋)。
で、これもアルバムごとに見てみました。
四角の大きさが数の多さを表すので、「人の生死」に関する言葉は全アルバムでまんべんなく使われていることがわかります。
なんか、今思ったんですが、「生」と「死」分ければよかった…なんでまとめてしまったのでしょう。。。今後に期待。
「言葉系」は「だから僕は音楽を辞めた」『エルマ』『負け犬にアンコールはいらない』でそこそこ使われていて、『夏草が邪魔をする』では「言葉系」が使われない代わりと言っては何ですが「情景」が他のアルバムより断然多く使われていますね。
言葉を使う人間の様子よりも、情景からメッセージを伝えようとしている?
アルバムのテーマと関連しているのでしょうか。
ファンの方、教えてください。
まとめ
ヨルシカの歌詞を数値でまとめて分析してみました。
わかったこと
最初に掲げていた疑問は以下です。
①本当に「夏」「雲」「雨」が頻繁に使われているのか
A. ランキング上位は「夏」「忘れる」「全部」だった!
―他にn-bunaさんが好きな言葉って何なのか
A. ランキング参照!!
(ランクインしたからって一概に好きって言えるわけではないですけどね)
②私がこんなにもヨルシカの歌詞に惹かれる理由って何なんだろう
A. 生きること、死ぬことについて、歌われているから!(コンセプトごとの分析結果より。)それが、言葉を交わす人間の様子だったり、情景描写だったりで伝わってくる。きれいな部分だけじゃなくて、「痛い」「苦しい」などから読み取れる(語と語の結びつき分析結果より。)ように、人生のネガティブな部分がよく描かれているのも好き。
各問いに、けっこう妥当な答えが見つかったと思います。
最後のは個人の好みの話ですが。
なんとなく思っていたことが実際に数値化されて見える時って楽しいです。
歌詞を分析にかけてきれいに図に表された時とか、図を眺める時とか、フフフッって思ってました、楽しかったです(笑)
あと言っておきたいことは、今回は言葉のみを分析していますがヨルシカの素晴らしさはもちろんそれだけじゃないですよね!!
suisさんの美しい声や、オシャレな楽器も込みでの魅力ですよね!!
っていう、だけなんですけど。笑
昼鳶のベースやばいですよね。
ちなみに、私が院生仲間とやってるウェブサイトでは、ここで紹介しきれなかった分析も詳しく書いているので、この記事を楽しんでくださった方はぜひこちらものぞいてみてくださいね。もう少し深い話ができていると思います(2回目の宣伝✌)。