【SS】書庫冷凍｜＃毎週ショートショートnote

おひさま幼稚園には、小さいけれど図書室がある。そこでは静かにしなくてはいけないし、読んだ本は自分でちゃんと元の場所に戻すことが約束だ。約束を守れないと使えなくなる。

ある日、女の子に大人気のタクヤくんが図書室で電車の図鑑を読んでいたら、女の子が集まってきた。

「タクヤくんは電車が好きだね」

タクヤくんは約束を守り、黙って首を縦に振って答えた。女の子はまだ質問をする。

「どんな電車が好きなの？」

好きな電車の写真を指差した。

「どこに行くとき乗る電車？」

説明できるけれど面倒臭くなり『さぁ？』という風に首を傾けた。

「タクヤくんは…」

女の子はまだ質問をしようとしたけれど、とうとう堪忍袋の緒を切らせたようだ。タクヤくんはスッと席を立ち本を戻して図書室から出て行った。

女の子たちは呆気にとられ…その後、一部始終を見ていた先生から「今度同じことをしたら、もう図書室には入れません」と注意を受けた。

書庫には冷たい空気がしばらく漂っていた。

［410字］　文字数ピッタリ😍

タクヤくんは電車🚃が好き…にしました。

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