BUNGEI-BU2|#シロクマ文芸部
「走らない橋の柱っていう話はどうだい?」
「だったら、笑わない藁の童の方が面白いんじゃね?」
「そうだな。笑わない藁の童の話しでも書くか…」
能戸高校文芸同好会の自称会長と自称部長の会話だ。相変わらずアイデアばかり浮かんでは消え…の活動が続いている。読書は好きだし、読んだ本の世界観について語り合うのも好きなのだが、自分が物語を作ろうとすると…うまくいかない。
「なぁ、はまらない浜の魬っていう言葉も浮かんだんだけど」
「なんとなくハマチの哀愁漂う世界が感じられるね。そっちもいいなぁ」
「お前、ハマチを書く?」
「いいよ。俺がハマチの話しを書くよ」
しばらくペンを走らせていたが、二人はまた何か思いついたようだ。
「腐らない草の鎖… は物語にはならないけど、アイテムに使えないかな」
「溜まらない玉の束子も使って欲しいね」
「香らない顔のカオスとか… あ、こっちの話の方が面白そうな気がしてきた!」
「眠れない合歓のネームとか… タイトルの最後をカタカナにするのもいいよな!」
「黙らないダメな男子…の話しでも書こうかしら!」
二人の後ろに、いつの間にか文芸同好会の実質会長が現れた。普段は部室に顔を出さず、幽霊みたいな存在なのだ。
「「そ、その話はやめたほうが良いと思いますよ。とてもつまらない感じがします」」
「そうね。私もそう思ったから、あなたたちの話を聞いて『走らない橋の柱』をネタに書かせてもらったわ」
いつの間にか机の上には、びっしりと字の詰まった原稿用紙が五枚ほど置かれていた。
[約1100字]
能戸高校文芸同好会の話がシリーズ化しそうで怖い😱名前もない彼らですが、全員二年生。今回は登場していませんが、一年生に兼部(積読部)している男子がいます。あと一名入会したら、同好会から部に昇格しますけれど、どうなることやら… な、お話。