【SS】ヘルプ商店街②|#毎週ショートショートnote
植物学者木下の助手をしている井上は、最近気にかかることがある。
「博士、近くのあの商店街って、声かけが多くなったと思いませんか?」
「そうか?商店街って、そういうもんだろ?」
「でも、僕に対してやたら干渉してくるというか…『彼女は元気か』とか『彼女にプレゼントするならウチに来な。オマケするよ』とか、変なんですよ」
「何だね、それは。井上もいよいよ通訳の彼女と、なんかあるのか?」
「何もないです!それに、 どうしてそういう話になるんですか?博士」
実は、商店街の声かけは、博士が仕組んだものだった。井上のことを好ましく思う通訳の女性と、朴念仁な井上をなんとかしたかった。
研究所でしょっちゅう地域交流のイベント開催しているので、博士も井上もそれなりに有名。商店街のみんなが、井上の恋話にヘルプ協力するのは当然のことだった。
「まあ、気にしないことだな」
博士はそう言いながら『大成功』と思うのだった。
[410字]
博士たちの勤める研究所は地域交流が盛んで、ハロウィンカボチャ、七夕飾り、向日葵迷路、お化け大会、ハロウィン祭り、クリスマスツリー … なんだかんだと毎回企画に精一杯協力しているから有名人で人気者、愛されています。
地元の商店街の人たちのヘルプ応援声かけが、良い方向に進みますように… と思いながらも、気まぐれな『お題』の行方に毎回ドキドキしています。