原発を続けるということ(2013.01.15)
現在、原子力規制委員会では「発電用軽水型原子炉の新安全基準」が検討されています。地震、津波、航空機落下事故、テロなどに対して備え、何らかのトラブルが起きても全電源喪失、過酷事故に至らせないために何が必要であるか、議論されています。
しかしながら事故の発生確率をゼロにすることはできません。確かに、軽微な放射性物質の漏洩ならば容認できるという意見もあるでしょう。東日本大震災までは、私もそのように考えていました。
ですがメルトダウンが起きる確率、さらに言えば福島第一原発より悲惨な事故が起きる確率さえ、ゼロにすることはできないのです。
ということは、最悪の場合そのような事故が発生するということを想定しなければなりません。福島第一ではぎりぎりのところで、もう手の施しようがない、という事態には至りませんでした。
事故当時の菅元総理は、発電所から200km離れた首都圏を放棄しなければならない事態を考慮した、と後に語っています。これは菅氏が自身の責任逃れのために発した妄言でしょうか。
日本の国土の何割かが失われ、大気中や海水中に汚染物質を制御不能な状態でまき散らす。そのような事故を今後、起こしてしまうかもしれない。
それでもなお、原発の推進こそが日本の進む道なのだという政治決断をすることは、あり得なくはないでしょう。
リスクを極小化することは必要です。しかし可能性を消し去ることができないのに、「もう二度と福島のような悲惨な事故を起こさない」などという綺麗事を言わないでほしい。私はそう、思います。