原子力政策 議論の透明性はどうなるのか(2014.07.15)

【エネルギー基本計画は具体的な議論へ】

2014年4月11日、しいエネルギー基本計画が閣議決定されました。この基本計画において、政府は原子力発電を「重要なベースロード電源」と位置づけた(21ページ)ことは既に報じられているとおりです。

そして6月13日、資源エネルギー庁はこの基本計画を具体化するための議論を開始する、と発表しました。この発表によれば、総合資源エネルギー調査会の「省エネルギー」「新エネルギー」「原子力」の3つの小委員会において議論を行うとのことです。

つまりこれからの原子力政策は原子力小委員会で具体的な議論が行われることになり、去る6月19日に第1回の会合が行われました。おや、第1回?今まではどのような議論が行われていたのでしょうか。2013年7月1日に総合資源エネルギー調査会の組織が見直されたことにより、改めて第1回となっていますが、今までの開催状況や資料等はこちらにあります。見直し前は原子力部会という名称です。前回の会合は2010年6月4日に行われていますので、およそ4年ぶりの議論再開となります。

【議論は公開で?】

昨年行われた組織見直しの後、原子力小委員会の下には3つのワーキンググループ(WG)が存在し、個別の問題について議論が行われてきました。「放射性廃棄物WG」「原子力の自主的安全性向上に関するWG」「地層処分技術WG」です。この3つのWGはいずれもインターネット中継が行われ、議論の様子を傍聴者以外も確認することができました。経済産業省、資源エネルギー庁も原子力政策をオープンな場で議論することの重要性を認識したのではないかと思われました。

ところが、6月にはじまった原子力小委員会では、会議自体は原則として公開されていますが、インターネット中継はなくなりました。報道による撮影も冒頭のみ認められる、という運用になっています。後日議事録が公開されるとはいえ、公開される情報量は大幅に少なくなったと言わざるを得ないでしょう。7月11日に行われた第2回会合において伴英幸委員は資料7を提出し、審議の動画公開を求めましたが、安井至委員長は「意見を言いにくい方がいる」との理由でこれを退けたと報じられています。

ところで安井委員長は前述の「原子力の自主的安全性向上に関するWG」でも座長を務めています。繰り返しになりますがこのWGは議論の模様をインターネット配信しているわけですから、彼が審議を中継することに理解のない人物というわけではないと考えられます。これでは、この原子力小委員会での議論は極力公開したくないようだ、と思われても仕方ないのではないでしょうか。

【やっぱり審議の様子を見たい!】

審議の動画を見たい!そのように思われた皆さんは、資源エネルギー庁原子力政策課まで意見を伝えてみてはいかがでしょうか。次回、第3回会合は7月23日に行われます。

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