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好きな音楽 遍歴

 珍しいことだが、私が音楽を環境音として以外で聴いたのはなんと中学生になってからだ。

 それまでの音楽は、合唱と車内店内BGM、大晦日の音楽番組、猫ふんじゃったの速弾き自慢でしか認識すらしなかった。

 朝に歌う合唱曲がリクエスト式になって、友達が持ってきたCDを片っ端からかけて盛り上がるのを何にも分からず眺めていた。結局千本桜になった。

 好きなアニメ(銀の匙)のOP「オトノナルホウヘ」と、これ聞いときゃ可愛かろうと思っていた「つけまつける」は雰囲気で好きで、知っているといえるのはそれだけだった。
 ちなみにつけまの意味は知らなかった。

 流石に流行りに置いていかれると思ったのだろう、中学が始まろうという時、父親が2つのアルバムを買ってきたウォークマンに落として渡してくれた。

①若者に人気と聞いたbacknumberの「アンコール」
②若者に人気という認識のBUMPの「バタフライ」

 ①にはカラオケで大変お世話になった。今でも同世代で懐かしむ事ができる。
 高嶺の花子さんのネタ感と、アイスクリームが出てくるくだりが好きだった。友達は花束とかハッピーエンドとか、やけに悲しそうなものを選ぶ傾向にあった。
 中でも1番聞いた曲はアップルパイで、一緒に食べようとするのが美味しそうで良かった。香ばしい感じがした。
 あとわたがしも…題名が好きだった。
 食べ物のことしか考えてないな。
 他は「半透明人間」の比喩に感心した。

 音楽を全く聞いていないと歌詞を認識する力が弱いので、音として聞いた後に歌詞カードを詩として見ていた。文と曲では印象が全く変わるのが不思議だった。


 ②は漫画のあとがきから入った。3月のライオンが家にあって、暇なときにパラパラめくった記憶から、作者の羽海野チカさんが「好きなアーティストに主題歌を歌ってもらえて幸せです!」と書いていたのを思い出したからだ。
 自分に関わりがあると馴染みやすかった。

 シンセを多用した、当時は「変わってしまった」と批判も多いアルバムだった。が、私は音楽を全く知らないので透き通った音の単調さが聞きやすさにつながった。
 更に詩を別に読むので、少し難しい表現が沢山あると楽しかった。当時から詩を書くのは好きで得意だとすら思っていたから、聴き詰めて意味を理解してやるぞ!と意気込んだ。GOのミュージックビデオが印象的だった。

 ここで「君」を友達や自分自身として聴くことを学んで、恋愛の曲を乗り切るようになった。(綾波レイへのラブソング以外は解釈自由になっている)
 ちょうどこの時期に病んだので、BUMPの曲に励まされることになった。ここで攻撃的/悲劇的なアーティストにハマっていたらどうなっていたことか。

 アルバム毎に特徴が変わり続けているそれを片っ端から聴いて、「人は中学生でハマった音楽を一生聴き続ける」のなんでも聴けちゃうスキルを手に入れた。
 ボカロだけは大学になって、親友がヤマハ楽器としてのコンテンツ文化をレクチャーしてくれて初めて聴くようになったが。
 BUMPはbacknumberより遅効性で、大学生になってから関連した友達が出来るようになった。

 それからは聴く曲の幅も広がった。
 周りは日韓アイドルが好きだったが、男女ともいまいち興味が沸かなくて、勧められた(LINEでMVが送られてくる、そんな青春)MVの衣装や演出ばかり褒めていた。
 好きじゃないと歌詞や踊りが覚えられないので、SNSは撮る専をしていた。かえって良かった気がする。

 高校生、カラオケではコレサワ(可愛い映像担当、友達も出来た)とあいみょん(声が出せるしカッコいいから)、星野源、WANIMAをテキトーに歌った。

 気が許せる人とのカラオケではBUMPとジブリなど映画音楽を歌った。ボカロはシャルルだけ歌えた。

 大学。アパート一人暮らしをする中で、物音が立てにくくなったので、独り言を喋らない代わりにディーモという音ゲーアプリを入れた。歌詞のない音楽が多く、音を音として楽しめるようになった。指の動きが似ているのでカリンバも買って弾いた。
 友達が作曲をしているので学んで、アプリもちょっといじったが、音感が育ってないのでうまくいかなかった。
 ピアノコンサートに学割で通って、ラフマニノフにハマった。


 自分も音楽をやりたくなったから、何も分からないなりにピアノを始めようと思っている。中学で教室毎にピアノがあったのだが、戦場のクリスマスばかり弾く人がいて、それが綺麗だったので私も弾きたい。
カリンバは海の見える街を弾けるようになるのが目標だ。

 全てがスロースタートだが、一生は長いんだからなんでも出来る気がする。
 家の近くに重要文化財があって、しょっちゅう飛び込みでコンサートをしている。聴いていて、人を楽しませる事ができたら素敵だろうなと思う。

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