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宮崎県の南ちょっと鹿児島 幸島の猿と岬馬【専業旅婦は日本だって旅する その7】

朝宿を発ち、近くの道の駅南郷へ行くと、そこから絶景の「ジャカランダの森」に上ることができる。
前日までジャカランダって何?だったが、美しい紫の花が今開花中らしい。
道の駅から抜けてハイキングコースを登っていくと、それでなくても日南の鮮明な空と海と木々の風景に、朝の清浄さが加わってたいそう美しい。

しかし実は肝心のジャカランダがどの花なのかをわかっておらず、紫の花を見つけては写真を撮っていたが、どうも違うらしい。

これは昼顔だった?


結局手前の木に咲く濃い紫🟣の方がジャカランダでした

道の駅で買った、小ぶりの不知火5個入りは、甘く酸っぱく濃厚で以降食後の楽しみとなる。


幸島に渡る9時に渡し船の予約をしていた。

何年か前の娘との旅行で都井岬周辺を候補に入れたものの、車でなければえらく到達しにくいことがわかって、当時免許取りたて🔰の娘とペーパーの母は諦めたのだ。
私には近づきたくないものがあって、その筆頭が車の運転だ。絶対に事故るし道に迷う。相手の押し出しに負けて譲るべき時でないのに譲るだろうし、見落とすべきでないものを見落とすだろう。
だから自分で乗るのは肩幅+40cm以内の幅の乗り物だけで一生過ごすのだろうし、一人なら公共交通機関か歩きで旅行する。

でも今回は車を運転してくれる同行者がいて、岬馬を見たいと言う。
そうだそうだ。小学生の国語の教科書に「イモを洗う幸島のサル」の文があったのを思い出した。幸島は都井岬と近いではないか?
馬を見たいし当然猿だって見たい。動物は好きなのだ。

教えられて目印の石に立って見ると
本当に紛れもなくサルの横顔が!
自然にできた不思議な石として
「ナニコレ珍百景」に出たそう


似せて造った像のはずだが
こっちの方が写実度が低い気がする

島に渡り30分ほどで迎えに来てもらうことにした。開けた砂浜まで来たらたくさんの猿がいる。今の時期子どもを抱える母ザルも10匹ほどいると聞いていたし、目が合うと攻撃される恐れがあると言われたが、母ザルの方からすぐ近くに寄って来てこちらを見つめる。
餌付けやちょっかい出すことは禁止だから、もちろんこちらから何のアクションも起こさないが、母ザルは明らかに子を見せに来ているようなので、「可愛い子だね」と声をかけた。しばらくすると今度は別の母子がやってきて、やっぱり子ザルを見せてくれているようだ。

しっかり掴まってお乳を飲んでいる

サル達は泳ぐこともできる筈だが、海を渡ってすぐの陸地には行かずにこの島で暮らす。
野生であるから子どもが生まれても亡くなるサルもいて、極端な増減がないまま100匹前後の個体がいるようだ。
京大野生動物研究センターで名前をつけられ、毎日点呼を取るため麦を撒く9〜10時過ぎまでのこの時間帯に、砂浜に集まってくるらしい。(出席をとっている!)

昭和の教科書に載ったように、幸島のサルは初めて餌であるイモを洗う個体が現れその文化行動が他の個体に広まった、という発見で有名になった。当時は餌付けのため与えられたイモだが、今は研究のため限られた機会にのみしか与えていない。
「それでも芋洗い文化は受け継がれているんですか?」
と尋ねたら、ちゃんと洗うらしい。イモについた土を落とすというより、海水の塩分で味を引き立たせてよりおいしく食べる意味合いで。
確かに甘みを引き立たせるためにあんこには少量の塩を入れるし、スイカに塩、タイではナムソーン(みかんジュース)に塩もある。当のイモ、芋けんぴにも入ってるか!
そう思うと立派な文化。

ところで、小学校の先生も「こうしま」と読んでいたが、「こうじま」であることを知ったのだった。


幸島を強く希望したのは私だが、連れ合いもとても面白がってくれたところで今度は都井岬の野生馬だ。

こちらも6月の今は仔馬連れの母子馬が10頭ほどいるらしい。

「おうまのおやこ」の歌のように、母子は常に近くで寄り添って草を喰むのが微笑ましい。
展示で今年生まれた仔馬13頭のうちすでに3頭は亡くなっている事を知る。地面に横たわった仔馬の写真は可哀想ではあるが、これが治療や飼育など人の手が入らない「野生」である事なのだと思う。弱い個体は生き残れないのだ。そして多分生き残った個体も、強い者しか繁殖できないしその負荷に耐えられない。
寄生虫駆除とエサに適さない草を刈ったりはするが、あとの生死は自然に任せているため、白骨化した死体さえ風化に任せているようだ。
しかしそこに書かれていたようにその野生の姿は生き物として大変「気高い」
そう、馬という生き物には気高さを感じるが、生命を自らですべて引き受けている野生馬は、たとえ毛並みや体格があまり良くなかろうとたいそう気高く思うのだ。

起きているほとんどの時間草を食べることに費やす

念願の幸島のサルと岬馬を見たところで、いったん宮崎県をちょっと離れることにする。都井岬のある串間市の隣はもう鹿児島県なのだ。


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