APU2回生🇫🇮留学記〜準備編〜

初めましての方は初めまして。大分県別府市にある立命館アジア太平洋大学、通称APUを学び舎にしている大学2回生20歳です。現在、フィンランドのタンペレという街のTampere University of Applied Science（タンペレ応用科学大学）で留学生をしています。たった半年間の留学ですが、少しでも実りのあるものを、と思い自分で月毎に振り返りを書いています。今回は少しでもいろんな人とこの経験をシェアできたらいいなと思い、Note作成に至ったわけです。正直自分の振り返り用に書いているので読みづらい部分は多いと思いますが、お手隙の際にでも読んでいただけると幸いです。

〈留学での目標〉

① 帰国後IELTSで7.5以上とる
留学決定には学内審査があり、その条件の中にはIELTS（留学のための英語能力試験）でスコア6.5以上という条件がありました。私はギリギリの6.5でなんとか審査通過しましたが、やはりそのスコアは悔しいものでした。特に苦手とするスピーキングの点が案の定に足を引っ張っていました。今回は語学留学ではないため、中心の目標とはいきませんが、やはり言語能力、特にスピーキング力の向上には努めていきたいのでこの目標設定を行いました。

② 留学先での授業はA or A＋(5)の成績を修める
先ほども述べた通り、今回は語学留学ではなく専門授業をとって現地の学生たちと共に学ぶ交換留学です。ですから、もちろん成績もつきます。留学で修得した授業単位はAPUの授業単位に換算され、GPA(1~4でつけられるの授業成績の平均）の換算はありません。しかし学校から奨学金をいただいて授業を受けている身として、学ぶことを本意とする身として、換算されるのは単位だけだから成績は気にしない、ではなく単位も成績も最高の学びにしてやろうと思います。

③ 7カ国以上の異なる出身の友人を作る
学ぶことが今回の留学の本意、と言いましたが、もちろん異国の地で学ぶ機会の貴重さ、現地で関わる人たちとの関係構築も一つの学びだと考えています。様々な国からリュ学生が集まる今回の留学先で、さまざまな背景を持った学生と関わらない選択肢はないでしょう。そこで具体的な数値目標を持ちたい、と悩んだところこの目標が思いつきました。でも正直人とのつながりは数値評価が難しいので、具体エピソードや諸々を振り返りで書いていきたいと思います。

1. 留学しようと思った理由

　私は大学入学まで海外経験が無く、中学・高校は広島の公立高校で学んできました。中学生までは数学が苦手で、英語はそこそこ得意な文系学生でしたが、特に海外に強い興味を示すことはありませんでした。しかし18歳の高校入学と同時に度重なる緊急事態宣言、外出規制など狭苦しいコロナ禍の中で、私は１冊のコミックエッセイに出会いました。それが私に新たな視点を与え、人生の天気をもたらしました。その本は週末北欧部Chikaさんによる「マイフィンランドルーティン」という作品で、彼女はフィンランドに対する情熱と、現地の人々や文化への愛情をもち生活する姿が生き生きと描かれていました。その姿から自分の好きなものに真摯に向き合い、その先にある可能性を追求する姿勢を見出しました。特に彼女の別のコミックエッセイ、「北欧こじらせ日記」で描かれる、寿司職人としてフィンランドに移住すると決断を下した瞬間は私にとって強烈な衝撃でした。自らの限界や周囲の常識にとらわれず。自分の好きなものと夢に対して誠実に向き合う姿は、私にとって憧れの象徴であり、「いつか私も彼女のように自分の道を切り開いていきたい」と強く感じました。

　コロナ禍での学校生活は行事も友人との交流も制限され、思い描いた華々しい高校生活ではありませんでした。その中でも自分の夢を見つけ、「今できること」をやり通すことの重要性を教えてくれたのもこの本のおかげです。

　この体験を通して、私も「自らの殻を破る」ことの意味を考えるようになりました。それは単に新しい場所にいくことではなく、自分の中にある無意識的なおそれや限界を越え、未知の文化や環境に飛び込んでその中で成長することだと理解しました。Chikaさんがフィンランドという異文化の中で挑戦を続けているように、私もまた、留学を通じて自分自身を鍛え、視野を広げ、将来の選択肢を広げたいと強く思うようになりました。

　また、大学に入学すると、留学への現実性が大きく増しました。立命館アジア太平洋大学では半数以上が国外からの留学生という多文化環境で学ぶことができ、その中で留学生と関わるうちに自分と異なる言語、文化、背景を感じることができました。この時点でも、私にとっては十分に刺激的で自分の視野の広がりを感じました。しかし、「マイノリティ側になって人と交流することはもっと自分の『殻』を破るチャンスがあるのではないか」という期待もさらに膨らみました。自分の英語能力の不足も感じていましたが、成長を受け身に待っているだけでは夢も叶わないと思い、TOEFLやIELTSを受験し、1回生の秋に国外留学への申請条件をクリアし、フィンランドへの留学を叶えることができました。

　留学という挑戦は、単に新しい知識を得るだけでなく、自分自身の価値観を見つめ直し、異なる視点を取り入れることでこれからの人生において大きな成長の機会になると思います。こうした経験ができる機会は留学からしか得られないものだと考えるので、私は留学にいくこと決意しました。

2. ビザ・渡航手続き

　ビザ手続きにはかなり苦労しました。一番の反省は情報収集不足だったなぁと思います。今回の留学はセメスター授業後の滞在も含め、2024/8/10~2025/1/31の六ヶ月間の滞在になるので在留許可証が必要でした。まず、ビザ申請をオンライン上で進め始めたのが5/24、そして在留許可証が届いたのは7/10。一ヶ月以上かかることを予測していなかったため、メンタル的にもかなり焦りました。特に手間がかかったのがオンライン上での提出の残高証明書、大使館での面談予約です。

　残高証明書は留学現地で生活するだけの金銭的能力があるのかを確認するために必要です。そこでは収入源証明として母親の給与口座の残高証明を提出することにしました。ここではオンライン申請の際にも必要であったことを知らなかった私は、母親にギリギリになって必要であることを伝えたため、自分の計画性の無さにお叱りを受けてしまいました。また、大使館での面談に際にもオンライン提出したものの原本が必要なのですが、面談日の予約が中々取れず予定よりも遅れてしまい、残高証明書の有効期限を過ぎてしまう結果になりました。よって母親の新しい残高証明書を発行・郵送してもらう二度手間をとらせてしまいました。さらに一応持っていこうと自分名義の口座の証明書の発行を試みたところ、ゆうちょ銀行でのユーロ建英文表記の証明書発行が不可能だったため、急いで大分銀行の方に残高を移し、証明書を発行する流れになりました。銀行関連の手続きはかなり段階が多く、制限もあるため、事前に情報リサーチをしておくべきだったなと学びました。

　また、オンライン申請後の大使館の面談予約の際、私は事前にクオーターブレイクに家族と大使館に行って面談を受ける日程を決めていました。その予定日から約１週間前に予約メールを送ったところ、先３週間ほどは全部予約が埋まっていると知らされました。これほど大使館の面談予約が埋まっているとは思っていなかったのでかなり衝撃でした。結果大使館は平日にしか開いていないため、水木の２日間で木曜の授業を休んでいくことになりました。これも事前に大使館での申請手順とかかる時間を把握しておけば、余計な東京遠征費も掛からなかったのに、と思います。

3. 留学先の文化や生活習慣の調査

　留学先であるフィンランド文化や生活習慣については主に先述したChikaさんのコミックエッセイや先輩方から調査しました。まず最も大きな日本との違いは気候です。冬にはマイナス何十度にもなる極寒の地であるフィンランドは、日本の中でも温暖な広島で育ち、大分で暮らす私にとってはかなり大きな試練だと感じました。また、冬に近づくにつれて日照時間も短く、暗い日が続くため、精神的な辛さがあることも知りました。国について調べる中で、世界幸福度ランキング一位と言われるフィンランドですが、実は自殺率も高いという矛盾的な事実には、ひょっとするとこの気候も関わっているのではないかと思います。この違いの対策として、ビタミンDの摂取や強めのライトの光を浴びることでダメージ軽減することができると教わりました。

　また、フィンランドの食文化にも非常に興味がありました。コミックエッセイの中では「サーモンスープ」「シナモンロール」「マッカラ（ソーセージ）」「ロンケロ（ジンとフルーツリキュールのお酒）」など、食の大好きな私にとって魅力的なものに溢れていました。中でも、後で紹介しますが、サウナの後にソーセージとロンケロの組み合わせが最高、という経験があまりに羨ましく、フィンランドに行ったら絶対やる、と心に決めました。

　他にもフィンランド発祥であるサウナ体験、有名なデザイン企業の本社、オーロラなど、もちろん留学は大学での勉強が最優先ですが、自分の留学へのモチベーションを上げるためにも現地調査は大きな役割を果たしたように感じます。

4. 持ち物の準備

　私は21kgの特大スーツケース１つとリュックサック１つで渡航しました。スーツケースには片面が衣類とストレートアイロン、ヘアアイロン、もう片面が衛生用品、化粧類、インスタント味噌汁、お菓子などで埋まりました。できるだけ荷物を少なくしたくて、日本の調味料や食品類はあまり持っていきませんでした。リュックにはパソコン、上着、機内用スリッパ、水などをいれていきました。衣類はフィンランドが限りなく寒いことは聞いていたので、ユニクロの極暖ヒートテックとタイツをこれでもかと入れて持ってきました。

　入れていてよかったと思うのが物干しロープと洗濯挟み。物干しロープと言っても100均で売っているキャンプ用の吊り下げロープみたいなやつです。初めの一ヶ月に住んでいた部屋にベランダなどがなかったため、ヒーター付きの洗面所にロープをかけて洗濯を干していました。

　逆にいらなかったのがヘアアイロン。充電器やストレートアイロンは変換プラグがあれば使えたのですが、ヘアアイロンはなぜか火力がおかしくなり、危険そうだったので結局フィンランド留学で先輩が置いて行ってくれたアイロンを使っています。

5. 心理的な準備

　正直、半年間の比較的長期海外滞在は初めてなので、渡航前はもちろん怖かったです。しかし、一年生の時の韓国での１週間の研修や海外学習デザイン授業での自分の留学プラン、2年生での一ヶ月間のベトナム海外研修などを経て、大学まで海外経験０の私でしたが、ある程度の覚悟はできるようになりました。とはいえ準備期間がかなり忙しかったので不安で居続ける余裕もなく、あっという間に渡航日がやってきたので、渡航前に深刻な留学ブルーになることはありませんでした。家が見つからなさ過ぎて不安になった時期は長かったですが…

6. 渡航直前

　渡航１週間前に地元に戻り、家族や地元の友人と時間を過ごしました。出発は関西国際空港からだったので、8/9に大阪入りをして、8/10に空港に向かいました。空港では大切な人たちに見送ってもらえる私は幸せだなぁと思いながら時間を過ごし、1人の先輩とも待ち合わせをした場所に行くと、先輩以外にもサプライズで都合の合ったサークルのメンバー5人が集まってくれました。こう言ったサプライズが好きな人たちであることは重々知っていたつもりでしたが、まさか私がサプライズされる側になるとは思っていなかったので本当に驚きました。そして改めて私は周りの人に恵まれたのだと実感することができた瞬間でした。