格ゲーが盛んだった頃のゲームセンターの話② プレイヤー同士の交流
人によって様々だと思うが、私がゲーセンで格ゲーをプレイしていた当時はプレイヤー同士の交流が生まれる事が多かった。
これは格ゲーに限らずゲーセンでビデオゲーム系をよく遊んでいた人なら思い当たる人もいるかもしれない。
名前も知らない人と対面で対戦ができる。
今の家庭用ゲームでも同じ事はできるが、人が筐体を通してすぐ目の前にいるのはゲーセン対戦での魅力の一つだろう。
対戦が終わった後、対面筐体に行ってありがとうございましたの挨拶から始まり、お互いの感想を交わしどのように意識して立ち回っていたのか、何をやられるとキツイのかなどを意見を交換する。
このようなリアルでの交流がゲーセンに通っていた理由の一つでもある。
誰彼構わず話しかけに行くということはないが、お互いに勝ち負けを繰り返し、接戦になっていた際などは交流が生まれやすい。
完膚なきまでにボコボコにされた際なども、ある種の清々しさを感じながら対戦相手に話かけに行くことも多かった。
相手も勝って気分がいいので話に乗ってくれる。
談笑も交えながら相手に敬意を評しアドバイスなどを受けながら、次は絶対に勝つという懐刀を忍ばせていた。
相手から貰ったアドバイスを次の対戦に活かすのは、相手への最大の敬意でありリスペクトだと思っているので存分に活用させてもらっていた。
ただ、常から上記のようなフレンドリーな交流ができるとは限らない。
やはり負ければ悔しいので、その時の自分の心情次第では、お前を絶対に◯すという気持ちが先行し両替機と筐体を行き来するマシーンになることも往々にしてある。
その際は絶対に相手に顔が見られないようなルートを通り、時には離れた場所にある両替機まで行く。勝つまでは相手の顔は絶対に見たくないし、敗者の顔も絶対に見せたくはないという今思えばしょうもない考えだったが、他にも私と同じ気持ちで両替機に千円札を叩き込んでいた人は絶対にいると思うので、コメントをいただけるとありがたい。
まさか世界で私一人だけだったということはあるまい。
相手方にも様々な人がおり、無駄なコミュニケーションは取らず修羅となり、ひたすら対戦のみに明け暮れる人もいる。そういう人は対戦のスタイルや少し顔を見ただけで分かる拒絶オーラが出ている。
そこは一歩身を引きながらゲーム内の拳で語るのみである。
私が勝った後に対面で台パンをしている音が聞こえてきたり灰皿が落ちる音が聞こえてきたりすると、いいコミュニケーションが取れたなぁと感じていたりした。
様々な交流を繰り返していくと、ゲーセンだけで会う本名も連絡先も知らない友人が出来た。
知っているのはハンドルネームと使用キャラだけ。
ゲーセンに行くとそれなりの頻度で遭遇し、軽くゲームについてに雑談を行った後とりあえず乱入したりする。学校の友人関係とは少し違う、表現が難しい曖昧な関係の知人が数多く出来た。
当時高校生だった私にとってはほとんどが年上の人達だったが、まるで同世代の友人のように接してくれた。そこでコミュニケーション能力などの社会性が磨かれ、それは今現在に至るまでの私の根幹を為す、非常に貴重な体験だったと後に実感している。
対戦の合間に空腹になったら近所のラーメン屋に行きゲーム以外の他愛のない会話も交え、閉店後は店の入り口前にある自販機でコーヒーを買ってしばらくダベる。今のゲーセン格ゲーシーンでは中々見られなくなったが、当時はこういう事が多かったように感じる。
今でも連絡をとる人は少なくなってしまったが、格ゲーをしていればオンライン上でもまた会うことがあるかもしれない。
お互いに気づくことはないかもしれないが、また対戦してみたいとは思う。