いまだに旅の途中
先々週、冬の離島から帰ってきた。
ひとり旅の味わいが身体に染みついていて、日常に帰ってきても、
いつもの生活とは違うみたいだ。
帰ってきた直後は、旅の最中にはしなかった食事づくりや、
家族のための片付け、掃除、洗濯、諸々の些事が煩わしかった。
しかし徐々に、日常のルーチンも旅の一部みたいに感じるようになった。
雪に包まれた島を散歩している感覚で、近所を歩く。
雑木林の葉っぱのつやつやしているさまをじっと見る。
並木道のカーブと陸橋の構図がいいなあと立ち止まる。
雲の形を眺めつつ息を吸う。
旅の復路、新千歳空港でお土産をみて回った。
仕事を休んで出かけたので職場にいろいろと買い込むため。
主に甘いもの。
魅力的な商品がたくさんある。
しかしそれらは、口にすると一瞬おいしい気がするが、おいしくない。
いくらすてきにパッケージしてあっても、日持ちするように作られたもの。
天売島や羽幌で食べた魚介や野菜の料理とは比べものにならない。
島の暮らしは不便が多いけれど、自然の影響が大きくて選択肢が少なく、
人と何かを比べて悩んだりしない感じがある。資本主義とちょっと距離がある。
そのような島の視点が自分の中にできて、その世界を内在させて日常を過ごす。
それが旅している感覚の理由かもしれない。
★旅のあいだの心の主題曲
Joshua Redman 『Stop This Train』
今でもよく頭の中を流れている。