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別世界に運ばれるカバー曲三選  

カバー曲を聴くのが好きだ。カバーされた曲から、知らなかった原曲を知ることも多い。 

カバー(cover)は、ポピュラー音楽の分野で、過去に他人が発表した曲を歌唱・編曲・演奏して発表することである。聞き手に新たな解釈を提示したもの。本人が発表した曲の場合はセルフカバーという。

Wikipediaより


「曲の新たな解釈」と聞くと、なるほど、と思う。カバー曲を聴くと、繰り返し聴いて馴染んだ曲の、新たな側面を見つけられる。


別世界に運んでくれるカバー曲ベスト3


ここで、別世界に運んでくれるカバー曲ベスト3を紹介したい。


「Summer time」 アンジェリーク・キジョー


ジョージ・ガーシュインが1935年に、オペラ「ポーギーとベス」のために作ったアリア。いろいろなジャンルのアーティストがカバーしている名曲である。

私の中では女性ジャズボーカルのビリー・ホリデーが定番。

美声とはいえないが何とも絶妙な歌心があり、酷い差別を受けていた
アメリカの黒人たちの暮らしぶりが浮かび上がる。


アフリカ、ベナン出身のアンジェリーク・キジョーはこの曲を母国語で歌う。

冒頭のハミングから何か違う気配がする。


彼女の声の伸びやかさ、張り、力強さが聴くものをアフリカに連れていく。




「Romance」  坂本龍一


気にいって長い間聴いていたのに、もとの曲に全く気づいていなかった。


てっきり沖縄の曲だと思っていた。

実はアメリカ音楽の父、スティーブン・フォスターの
「金髪のジェニー(Jeanie with the Light Brown Hair)が原曲なのだ。

歌詞は沖縄のウチナーの言葉に訳されており、歌っているのはオキナワチャンズという沖縄の歌い手たちだ。

アレンジが素晴らしく巧みで、ゆったりとした南国の時間の流れを感じる。

フォスターの曲と沖縄民謡とは親和性があるのだろうか。



とても不思議な感覚、ぜひ流れに身を任せてみてほしい。



「Waters Of March」 カサンドラ・ウィルソン

 
ボサノバの創始、アントニオ・カルロス・ジョビンの曲。


ポルトガル語のタイトルは、「Águas de Março」、「3月の水」。
ブラジルで3月というと夏の終わり頃、秋の始まりである。



 歌詞は、「小枝 石ころ 労苦の果て」「残った切り株 寂しい道」「ガラスの破片 いのち 太陽」のように、次々と単語が並べられ、時に韻を踏んだりし、ボサノバのリズムに乗って心地よく流れて行く。


 

ジョビンとブラジルの歌姫エリス・レジーナのデュエットはとても可愛らしい雰囲気。聴いていて微笑ましく楽しくなる。


しかし、今回ご紹介したいのはカサンドラ・ウィルソンのバージョン。


アメリカのジャズシンガー、作曲家であるカサンドラ・ウィルソンが歌うとどうなるか。

女性にしてはかなり低音の、時にささやくような歌声が
重厚でセクシー、叙情的。
アメリカ南部の土臭さもあるのに洗練されている。

 


彼女のバージョンを聴くと、日常で直面すること、感じること、些細なもの、当たり前のことの積み重ねが人生なのだなあと、ジーンとなる。


ところで、先述のアンジェリーク・キジョーが彼女とデュエットしている曲があり、二人の掛け合いの迫力がすごい。


カサンドラ・ウィルソンの手にかかると、アンジェリーク・キジョーのアフリカ味が、途端に洗練され緊迫感のあるものになり、面白い。


そういえば、これも、カバー曲。
原曲はマイルス・デイヴィスの名盤、『ビッチェズ・ブリュー』から「Miles Runs The Voodoo Down」


欲張ってしまい三選のつもりが四選になってしまった。


こうやって好きな曲を気軽に、youtubeをコピーして紹介できることがうれしい。
 

読んでくださって感謝。
またぼちぼち紹介していきます。





 


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