Daoko 「Slash-&-Burn」 が深すぎる
アルバムの概要
前作から約4年ぶりとなる本作は、Daoko自身の作詞作曲楽曲を中心としたセルフプロデュースで制作。全12曲中11曲が未発表の書き下ろし楽曲となっている ※OTOTOY 引用
アルバムを通して聴いた感想をレビューします。
43分があっという間に過ぎる。EDM、ヒップホップなど色々な要素が上手くブレンドされている。
タイトルは「焼畑」を意味し、現在と過去を焼き払い、新たな芽を育てていく。という意味が込められているそう。
その名の通り、今までのアルバムとは色々な意味で少し違った雰囲気を醸し出している。
特筆すべきがこのアルバムの制作に関わっているアーティストだが
・DJ6月
・Guru Connect
・羽生たゐご
・食品まつり
・TAAR
・美島豊明
・小袋成彬
化学反応とも言うべきか、非常に個性的なメンツとなっている。
個人的には、良い意味でアルバムを通して一貫性が無いと感じるゆえ、聴いていて飽きないアルバムになっていると思う。
かなり贅沢なアルバムに仕上げられていると思うし、ただ流し聴きするというよりは、しっかり歌詞を追いながら曲と向き合いたいと思える作品。
以下、曲ごとのレビューを。
・天使がいたよ
作詞:Daoko/作曲:Daoko/編曲:HIDEYA KOJIMA、Daoko
メロウな曲。都会的で小気味の良いサウンド。
煌びやかなネオンが情景として思い浮かぶようなメロディー。一度聴くと耳に残る曲。
・FTS
作詞:Daoko/作曲:Nariaki Obukuro、Daoko/編曲:Nariaki Obukuro
ミュージシャン、小袋成彬氏による作曲、編曲が行われた楽曲。納得のテクノポップ。アングラな雰囲気を漂わせた曲。
・SLUMP
作詞:Daoko/作曲:Daoko/編曲:GuruConnect
憶測だが、タイトルにもある通りdaokoのアーティスト生活におけるスランプが描かれている。
曲調は淡々とした感じで進行し、これが音楽生活のスランプを上手く表現している気がする。
・BLUE GLOW
作詞:Daoko/作曲:Daoko/編曲:HIDEYA KOJIMA
ベースが特徴的なファンクな一曲。2分程度の短い曲だが、とても印象に残る耳障りの良さ。
HIDEYA KOJIMA氏が得意とするディスコティックな曲調が心地良い。
・GAME OVER
作詞:Daoko/作曲:Daoko/編曲:DJ6月
このアルバムの中でも特に完成度が高いと感じた楽曲。レトロなゲームのボス戦を思わせるメロディー。曲の終わりがまさにゲームオーバーの、英語のエンドロールが脳内で流れ出すあの感じ。
あと凄いのがリリック。どんなライフスタイルでこの歌詞を書き上げるに至るのか個人的にとても興味深い。歌詞だけ読んでも面白い。
編曲を担当されているDJ6月さんのアルバム「バッテンウルフ」もお勧め。
・捨てちゃってね
作詞:Daoko/作曲:Daoko/編曲:羽生まゐご
この曲はMVを観ると世界観がとても分かりやすい。メロウな雰囲気の、明る切ない曲調。夕暮れの、一人で歩く帰り道を連想させるような、どことなく淋しさを感じる曲。
・好×2+嘘×2
作詞:Daoko/作曲:Daoko/編曲:食品まつり
民謡チックな楽曲。食品まつりさんの個性とdaokoの可愛らしさが見事にマッチしていてとてもいい。楽曲の幅の広さに驚かされた。アルバムの真ん中あたりに収録されていることによって、いい感じにクールダウンさせてくれる。
・あぼーん(2024 Remastered)
作詞:Daoko/作曲:DJ6月、Daoko/編曲:DJ6月
こちらも 「GAME OVER」同様にDJ6月さん作曲/編曲の楽曲。Remasteredとある通り、この楽曲は2023年に発表された「あぼーん」のリマスター楽曲となっている。そのまんまだが、リマスター音源の方が音に厚みが出ているというか、音数が増えた印象。「GAME OVER」でも感じたが、一聴した感じ抜け感のあるポップな楽曲に感じるものの、なにか、どことなく哀愁を感じる。
・November Weddingday
作詞:Daoko/作曲:HIDEYA KOJIMA、Daoko/編曲:HIDEYA KOJIMA
特に捻りのないまっすぐなラブソング。かわいくて明るくポップな曲調。聴いていてなぜかカードキャプターさくらを思い出した。ここまでdaokoの曲を聴いていると、ただハッピーなだけの楽曲でなく、ダークな一面というか、裏があるんじゃないかと探してしまう自分が居た。
・ONNA
作詞:Daoko/作曲:Daoko/編曲:GuruConnect
タイトルからして、気の強い女性の心情を描いた楽曲かと想像したが、曲調、リリック共にどちらかというとダークな雰囲気。女性の心の暗い部分を上手く表現している曲だと感じた。
・なんちゃって
作詞:Daoko/作曲:Daoko/編曲:TAAR
編曲はご存知の方も多いと思うが、TAAR氏。
ストレートな感想は、ぬいぐるみを抱いた女の子が暗い部屋のベッドの上で聴いていそうな曲。
抜け感のあるリラックスした曲調。
なんとなくではあるが、この歌詞はdaoko自身の心情を歌ってるのではないかという気がした。
・赤目のビル
作詞:Daoko/作曲:Daoko/編曲・プログラミング:美島豊明
歌詞、曲調共に、この曲をラストに持ってきた意味が深いように感じる。小説の終わりのように、どこかスッキリとしないというか、リスナーに疑問を残す終わり方。勝手な想像だが、アルバムの最後に収録する曲として書き下ろされたものなのではないかと思ったりする。あまり掴みどころのない感じ。
最後に
タイトルに「焼畑」という意味が込められた今作。これからの前向きな希望も、今作を世に出すまでに感じた葛藤も、光も闇も詰め込まれたアルバムなのかもしれない。
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