14.坐禅の功徳―香厳上樹

香厳和尚云く、「人の樹に上るが如し。口に樹枝をフクミ、手に枝を攀じず、脚は樹を踏まず。樹下に人有って西来の意を問わんに、対えずんば即ち他の所問に違く、若し対えなば又喪身失命せん。正インモの時、ソモサンカ対えん。」

(訳)香厳和尚が言われた、「人が樹に登るとする。しかも口で枝をくわえ、両手を枝から離し、両脚も枝から外すとしよう。その時、樹の下に人がいて、『禅とは何であるか』と問いかけてきたとする。答えなければ問うた人に申し訳がたたない。そうかといって答えようものなら、樹から落ちていっぺんにあの世行きだ。さあ、そういう事態に直面した時、いったいどう対応すべきか」(西村恵信訳注・無門関・岩波文庫39~41頁)

このように香厳和尚に問いかけられる、それに答えようとすれば口を開いて言葉を発しなければならない。口を開くと樹の枝をくわえていた樹の上から落ちてしまう。樹上から落ちてしまうと命がなくなる。
香厳和尚の問いにどのように答えるのかという禅問答です。

またまた玉木雄一郎国民民主党党首へのバッシングと役職停止処分3ケ月の処分に関心は行きます。
彼は言い訳をしたいでしょうし、国民民主党が何故、党を挙げて守ってくれなかったのかと、恨みの一つも言いたいでしょう。

そのような難局に当たっての禅問答です。
口を開く前に現代の日本人は、頭の中で考えるのです。
頭の中で考えたことはこれまでに体験したことが中心で、書物の中で読んだこと、他人から聴き知ったことです。

いわゆる頭でっかちの人が多くなってしまって行動する人が少なくなっているのです。考える前に行動する位でよいのです。
この問答は、口を開くことが重要である、ことを教えてくれているのではないでしょうか。 (つづく)              

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伊藤博峰
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