11. 日本が独立・自尊の国になるためにー国際連合と敵国条項の問題


昭和20(西暦1945)年8月15日はいわゆる終戦記念日です。日本がアメリカを中心とする連合国に降伏をした日として、我々日本人の脳裏に刻み付けられています。

国際連合は第二次世界大戦の後成立しました。
「まだ戦争中の一九四五年の四月から六月にかけて、サンフランシスコ会議で国際連合憲章が採用された。この会議には、第二次世界大戦のときの連合国がすべて参加し、その数は五〇に及んだ。憲章が必要な批准をえて、正式に成立したのは一九四五年一〇月二四日であり、実際に活動を開始したのは一九四六年一月一〇日である」(横田喜三郎・国際法 勁草書房3頁)。

西洋文明の基本はキリスト教です。それは「契約」を守るということです。
不平等条約は「西欧列強諸国との契約」だったのです。

だから、国際秩序を変えるということは、「戦争」するか「絶えまざる交渉をする」か、どちらかだ、ということです。
国連憲章は「条約」です、

国際連合に加入することを希望したが、長い間加入を認められない国があった。

日本も枢軸国であったので、戦勝国の集まりである国際連合に加入を認められなかった。日本は、昭和二七(一九五二)年六月に加入を申込み、昭和三一(一九五六)年一二月にやっと加入を認められたのです。

いわゆる「敵国条項」とは、国際連合を作った連合諸国に対して、枢軸国が、将来、再度侵略行為を行うか、又はその兆しを見せた場合、安全保障理事会を通さず軍事的制裁を行うことが出来ると定められた条項のことです。

国際連合憲章第53条、77条、107条に定められています。
現在では、敵国であったすべての国が国際連合に加盟済みであり、この条項が事実上の意味のないものになっており、1995(平成7)年国連総会において、「敵国条項」を削除する議案が圧倒的賛成を得て採択されました。

しかし現在もこの条項は残っております。
国際連合は戦勝国が作った組織体なのです。

したがって「敵国」であった枢軸国(日本)は何時、連合国(例えば、ロシアや中国から軍事制裁を受けても仕方がない条項なのです。

敵国条項は、「一九九五年、今から約十一年前になりますけれども、そのときのいわゆる国連の総会で死文化、死んだ文章、既に死文化しているとの認識を示す決議案というものが圧倒的多数の賛成で既に可決をされておりますんで、死文化したというのはもう現実であります」

(平成二十一年六月十九日提出、同六月三十日 国会議員提出の質問書及び内閣総理大臣の答弁書)という事実をもって、条約改正交渉をしないのは、先人の歴史に学んでいないと言われても仕方ないでしょう。

もう一度言います。国際連合は西洋諸国が信奉する「契約」なのです。だから、交渉しなければならないのです。

我々は黒船の来航により、開国を是認しました。いわゆる不平等条約(領事裁判権・関税自主権の欠如)をも締結し、嘉永6(西暦一八五三)年に始まる和親条約、安政5(1858)年の5か国(米英仏蘭露)と修好通商条約です。

これらの条約の撤廃に成功したのは、明治44(1911)年のことです。不平等条約の撤廃には半世紀を超える58年間もの長い努力を要したのです。

日米修好通商条約には「阿片の輸入厳禁たり。若し亜墨利加商船、三斤以上を持渡らば、其の過量の品は日本役人これを取上ぐべし」(第四条)と、阿片の輸入について記載されています。

何故、「阿片」が条項に記載されているのでしょうか?
次の問題です。

それはともあれ、明治44(1911)年に新日米通商航海条約が締結され、その後イギリス、フランス、ドイツなどの欧米列強諸国とも新条約を結び、関税自主権を回復し、不平等条約の改正を達成したのです。

西欧列強は、自分たちが作った国際秩序をもって「平等条約を結びたければそのような近代国家(?)」になれとばかりに、その秩序をもってアジア諸国に迫ってきました。

先人は、日清戦争、日露戦争をも戦い60年弱、不平等条約撤廃までかかったのです。

国連憲章は改正できないものではありません。憲章上の改正手続きに従って、「敗戦国条項の削除」を求め、各国の批准を求めたら良いのです(国連憲章第百九条及び百十条)。

交渉は戦わなければ、その成果は得られないのです。各国に「敗戦国条項削除」の国連憲章の批准を各国に求めたらよいのです。

政治エリートは、何に遠慮しているのでしょうか?
昭和二十(一九四五)年の敗戦を率直に認め、何が国益なのかを考えて行動してもらいたいものです。
(つづく)

(参考)(#1.質問書)
平成二十一年六月十九日提出 質問第五六九号 国連憲章の旧敵国条項(第五十三条、第百七条)に関する質問主意書

提出者岩國哲人 569 国連憲章の旧敵国条項(第五十三条、第百七条)に関する質問主意書

国連憲章第五十三条、第百七条(以下、旧敵国条項)は、旧敵国の全てが国際連合に加盟して半世紀が経 過した現在、一般的には、事実上死文化した条項と認識されているとされる。

日本はドイツとともに、一九九五年の国連総会において、旧敵国条項を憲章から削除する決議案を提出 し、賛成多数によって採択された。

もっとも、実際に削除されるためには、憲章の改正手続が必要であり、 憲章は国際条約に該当するため各国における批准を要する。

批准は、署名の後に、各国の国会あるいは議会の承認を得る等の所定の国内手続により条約に同意するこ との確認を行い、批准書が作成される。
署名した条約を国家が批准するかどうかは、信義上の問題は別として、法的には各国の自由である。

国連総会特別首脳会合で二〇〇五年九月十六日採択された「成果文書」においては、第二次世界大戦の敗 戦国である日本などが現在も国連憲章で「敵国」と規定されている旧敵国条項について「『敵国』への言及 の削除を決意する」と明記された。

成果文書の英文において使用された「resolveto」は、総会の機関決定を意味する「deci 一 deto」と異なり、削除を望む国が現行の国連憲章を改正する決議案を総会に提出し、国連加盟国の三 分の二(一二八ヵ国)以上の支持を得て採択、批准されて初めて削除が実現する。

当時、安全保障理事会の常任理事国入りを目指す日本政府は、安保理改革と併せて憲章改正を必要とする 旧敵国条項の削除を求める方針であったが、安保理改革と切り離した形での削除を求めない背景としては、 旧敵国条項が一九九五年の総会決議で「時代遅れ」と明記され、事実上死文化していることに加え「単独で 削除を求めた途端、日本は常任理事国入りをあきらめたと言われる」(佐藤行雄・元国連大使)との考えを 持っているとの報道もなされた。

こうした状況のもと、一九九五年から十四年を経た今日において、同採択を批准した国は効力発生に必要 な数には及ばず、旧敵国条項は依然として削除されていない。

これに関連して以下質問する。 一二〇〇一年七月発行の外務省パンフレット「日本と国連」によると、日本・ドイツ・イタリアは共に旧 敵国条項削除の協議を行っている旨の記載がある。

さらに、二〇〇六年四月六日の参議院外交防衛委員会において、麻生外相(当時)は、「敵国条項につ きましては、一九九五年、今から約十一年前になりますけれども、そのときのいわゆる国連の総会で死文 化、死んだ文章、既に死文化しているとの認識を示す決議案というものが圧倒的多数の賛成で既に可決を されておりますんで、死文化したというのはもう現実であります。

ただ、昨年の九月のあの国連、あれは首脳会合だったと記憶しますが、成果文書におきましても、この 条項において敵国への言及を削除するとの決意というものがなされております。

ただ、今おっしゃいます ように、これを正式な文章から削除するためには加盟国の三分の二の批准というものが必要とされており ますんで、これは安保理改革を含む話とちょうど関連をするところでもありますので、敵国条項の削除に ついては今後とも求めていくのは当然のこととして、今現実問題として死文化されておるというところま で、日本、ドイツ、いろいろ努力をした結果というものは既に十一年前にでき上がっておるところではご ざいます。」と答弁されている。

この点、右答弁以降、旧敵国とされる国々と協議等を行った実績はあるか。 二.署名した憲章を各国が批准するか否かは、各国の議会に決定権限がある以上、あくまでも任意の協力を 求めるという形ではあるが、憲章に署名はしたものの批准をしていない国々に対し、働きかけをしている  か。

三.本年六月現在においても、政府は国連安全保障理事会改革と併せる形で旧敵国条項の削除を求めてゆく 方針であるか。 右質問する。 

(#2.答弁書)
平成二十一年六月三十日受領
答弁第五六九号 内閣衆質一七一第五六九号 平成二十一年六月三十日 内閣総理大臣麻生太郎
衆議院議長河野洋平殿
衆議院議員岩國哲人君提出国連憲章の旧敵国条項(第五十三条、第百七条)に関する質問に対し、別紙答 弁書を送付する。

衆議院議員岩國哲人君提出国連憲章の旧敵国条項(第五十三条、第百七条)に関する質問に対する答 弁書 一.について 国際連合に関する諸問題について、関係国とは随時協議してきている。

二.について お尋ねの「憲章に署名はしたものの批准をしていない国々」の趣旨が明らかではなく、お答えすること は困難である。

三.について 我が国としては、平成十七年九月の国際連合首脳会合成果文書において、国際連合憲章第五十三条、第 七十七条及び第百七条における「敵国」への言及を削除することを決意する旨記述されたことも踏まえ、 国際連合安全保障理事会改革を含む国際連合改革の動向など、国際連合憲章の改正を必要とし得る他の事 情も勘案しつつ、適当な機会をとらえ、国際連合憲章第五十三条、第七十七条及び第百七条における「敵 国」への言及の削除を求めていく考えである。

                      以上


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